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【1】書式概要
SNSやネット掲示板に自分の悪口を書かれた、事実と違うことを投稿された、顔写真を無断で使われた——そういった被害を受けたとき、「どこに何を言えばいいんだろう」と途方に暮れる方は多いと思います。相手が匿名だったり、どんどん拡散されていったりすると、何もできないまま時間だけが過ぎてしまいがちです。
このセットは、ネット上の誹謗中傷被害を自分で段階的に対処するための書式を6点まとめています。まず被害の記録・スクリーンショット管理から始まり、X(旧Twitter)やInstagram等のプラットフォームへの削除申請書、プロバイダへの発信者情報開示請求書、身元が判明した相手への損害賠償請求書と謝罪要求書、そして警察への被害届補助書面まで、対応の流れに沿ってそのまま使える構成になっています。
なかでも発信者情報開示請求書(書式③)は、匿名の投稿者の氏名・住所・IPアドレスをプロバイダに開示させるための書面です。2022年のプロバイダ責任制限法改正で手続きが簡略化されており、以前より個人でも使いやすくなっています。また、2022年の侮辱罪厳罰化により刑事告訴の実効性も増しているため、書式⑤の警察への被害届補助書面の活用場面も広がっています。
すべてWord形式で提供しています。氏名・URL・投稿日時・被害内容を入力してすぐにお使いいただけます。IPアドレスのログ保存期間は短いため、被害を発見したら早めに対応を始めることが重要です。
【2】条文タイトル
※書式①(記録シート)は条文形式ではないため、条文を持つ書式②〜⑥のタイトルを記載します。
【書式② プラットフォームへの削除申請書】
第1条(削除を求めるコンテンツの情報) 第2条(削除を求める理由) 第3条(補足事項)
【書式③ 発信者情報開示請求書】
第1条(侵害情報の概要) 第2条(侵害されたと主張する権利) 第3条(開示を求める発信者情報) 第4条(開示を必要とする理由)
【書式④ 損害賠償請求書】
第1条(請求の趣旨) 第2条(請求の原因) 第3条(損害額の内訳) 第4条(支払条件・不履行の場合の措置)
【書式⑤ 警察への被害届補助書面】
第1条(被害の概要) 第2条(これまでの対応経緯) 第3条(被害届提出の理由)
【書式⑥ 謝罪・投稿削除要求書】
第1条(問題となる投稿) 第2条(請求内容) 第3条(不履行の場合の措置)
【3】逐条解説
【書式② プラットフォームへの削除申請書】
■ 第1条(削除を求めるコンテンツの情報)
削除してほしい投稿のURL・投稿日時・アカウント名・内容の概要を記入する欄です。URLは完全な形で記載してください。複数の投稿がある場合は全件を記入します。別紙一覧を添付するのも有効です。スクリーンショットを添付することで、「そのような投稿は確認できない」という返答を防ぐことができます。
■ 第2条(削除を求める理由)
名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害・肖像権侵害・ハラスメント・なりすましのうち、該当するものにチェックします。複数に該当する場合はすべてチェックしてください。プラットフォームの担当者は問い合わせ件数が膨大なため、根拠が明確に書かれた申請の方が優先的に処理されやすい傾向があります。
■ 第3条(補足事項)
自由記入欄です。「警察および弁護士にも相談中」という記載が末文にありますが、これは虚偽でない限りそのまま使ってください。プラットフォームの対応速度に影響することがあります。
【書式③ 発信者情報開示請求書】
■ 第1条(侵害情報の概要)
開示を求める投稿のURL・投稿日時(タイムゾーンJST)・アカウントを記入します。タイムゾーンの明記はIPアドレス照合に不可欠です。投稿日時が不正確だと開示が困難になるため、スクリーンショットで正確に確認してから記入してください。
■ 第2条(侵害されたと主張する権利)
名誉権・名誉感情・プライバシー権・肖像権の中から該当するものを選びます。名誉毀損は「虚偽の事実を摘示した」場合、侮辱は「根拠なく貶めた」場合に成立します。両方に該当することも多いため、迷ったら両方チェックして問題ありません。
■ 第3条(開示を求める発信者情報)
氏名・住所・電話番号・メールアドレス・IPアドレスのうち、必要な情報を選択します。特にIPアドレスとタイムスタンプはアクセスプロバイダへの二次開示請求に必要です。なお、IPアドレスのログ保存期間は3ヶ月程度が多く、発見後は速やかに請求することが重要です。
■ 第4条(開示を必要とする理由)
プロバイダが開示に応じるかどうかを判断するための説明欄です。「損害賠償請求等の法的手段を取るために必要」という理由が最も一般的です。プロバイダが任意開示に応じない場合は、裁判所への開示命令申立(非訟手続き)が別途必要になります。
【書式④ 損害賠償請求書】
■ 第1条(請求の趣旨)
請求金額を明示します。SNS誹謗中傷の慰謝料は、数万円〜数百万円と幅があります。一般の個人間であれば数十万円、インフルエンサーや著名人、事業者で業務損失が生じた場合はより高額になる傾向があります。
■ 第2条(請求の原因)
被請求者が「SNS上のアカウントの使用者であり、開示手続きにより身元が判明した者」であることを明記しています。身元が判明した経緯を具体的に記載しておくことで、「自分だとは証明されていない」という言い逃れを防ぎます。また、2022年の侮辱罪厳罰化(刑法第231条)への言及が刑事告訴の現実性を伝える効果を持ちます。
■ 第3条(損害額の内訳)
慰謝料のほか、医療費・カウンセリング費用・弁護士費用(発信者情報開示関連)・収入減・業務損失を項目ごとに記入できます。発信者情報開示にかかった弁護士費用も損害として計上できる場合があります。
■ 第4条(支払条件・不履行の場合の措置)
支払期限と振込先、そして不払い時の対応(民事訴訟・刑事告訴)を一条にまとめています。特に刑事告訴への言及が、任意払いを促す抑止効果を持ちます。
【書式⑤ 警察への被害届補助書面】
■ 第1条(被害の概要)
被害の種類(名誉毀損罪・侮辱罪・脅迫罪)・URL・投稿日時・内容・被害継続期間を整理する欄です。名誉毀損罪は「公然と虚偽の事実を摘示した」場合、侮辱罪は「事実を摘示しなくても公然と人を侮辱した」場合に成立します。どちらか判断が難しい場合は両方チェックしておき、警察の担当者に判断を委ねてください。
■ 第2条(これまでの対応経緯)
削除申請・発信者情報開示・損害賠償請求の実施状況を記入する欄です。警察は「民事で解決できる」と判断した場合に刑事手続きを後回しにすることがありますが、これまでの対応経緯を示すことで「民事だけでは対応できない」という主張の裏付けになります。
■ 第3条(被害届提出の理由)
刑事手続きを求める理由を記載する欄です。「民事対応と並行して」という表現が、民事と刑事の両面から対応する意思を示します。
【書式⑥ 謝罪・投稿削除要求書】
■ 第1条(問題となる投稿)
削除を求める投稿の特定情報を記載します。URL・投稿日時・侵害された権利を明確にすることで、「どの投稿のことか」という争いを回避します。
■ 第2条(請求内容)
投稿の即時削除・謝罪投稿の掲載・今後の投稿禁止の3点を要求します。②の謝罪投稿については、具体的にどのような内容・どのくらいの期間掲載してほしいかを追記しておくと、後の交渉がスムーズです。
■ 第3条(不履行の場合の措置)
損害賠償請求と刑事告訴の両方を予告する条文です。2022年の侮辱罪厳罰化後、刑事告訴への言及が実際の抑止力として機能するケースが増えています。
【4】FAQ
Q. 匿名の相手を特定できますか?
発信者情報開示請求(書式③)を使ってIPアドレスの開示を求め、次にそのIPアドレスを基にアクセスプロバイダに氏名・住所の開示を求めるという2段階の手続きで特定できる場合があります。ただし、プロバイダが任意開示に応じない場合は裁判所への申立が必要で、弁護士への相談を検討してください。
Q. IPアドレスのログはいつまで保存されていますか?
一般的に3ヶ月程度とされています。投稿を発見したらできる限り早く開示請求の手続きを始めてください。特に5chなどの掲示板は保存期間が短い傾向があります。
Q. プラットフォームが削除に応じてくれない場合はどうすればよいですか?
書式③の発信者情報開示請求に進みます。または裁判所に対して発信者情報開示命令の申立を行う方法もあります(2022年の法改正で新設された非訟手続き)。
Q. 既に投稿が削除されていますが、それでも損害賠償請求できますか?
できます。削除前のスクリーンショットとURLが証拠として残っていれば、請求の根拠になります。削除されても被害が消えるわけではないため、慰謝料請求は可能です。
Q. 「侮辱罪」と「名誉毀損罪」の違いは何ですか?
名誉毀損は「具体的な事実(たとえ真実でも)を公然と摘示した」場合、侮辱は「事実を示さずに、公然と人を貶めた」場合に成立します。「あいつは詐欺師だ」は名誉毀損、「あいつはゴミだ」は侮辱に近い表現です。どちらも刑事罰の対象です。
Q. 事業者として口コミ被害を受けています。書式は使えますか?
使えます。特に書式④の損害賠償請求書では「収入減・業務損失」の項目があり、事業上の損害も計上できます。風評被害・口コミ対策として個人事業主や法人でも活用できます。
Q. 投稿が大量にある場合はどうすればいいですか?
書式①の記録シートに一覧化し、URLリストを別紙として各書面に添付する形にしてください。件数が多い場合、各書面の「URL(全件)」欄に「別紙一覧のとおり」と記載して別紙を作成するとすっきりします。
【5】活用アドバイス
被害を発見したら、何より先にスクリーンショットを撮ってください。URLも完全な形でコピーして保存します。削除申請をした後に証拠が消えてしまうケースは非常に多く、後から「投稿があった事実」を証明できなくなります。書式①の記録シートを開いて、発見日時・URL・スクリーンショットのファイル名を記録するところから始めてください。
次に書式②のプラットフォームへの削除申請を行います。公式の違反報告フォームと並行して書式②を送付することで、対応を促すことができます。ただし、削除されると同時にIPアドレスのログも消える場合があるため、発信者を特定したい場合は書式③の発信者情報開示請求を削除申請と同時かそれより先に行うのが得策です。
発信者情報開示請求(書式③)は、コンテンツプロバイダ(X社・Meta社等)への請求が第一段階です。IPアドレスが開示されたら、そのIPアドレスを基にアクセスプロバイダ(インターネット回線業者)へ二次請求します。この流れを意識しながら書式③を使ってください。
相手の身元が判明したら、書式⑥(謝罪・削除要求書)と書式④(損害賠償請求書)を内容証明で送ります。状況次第で書式⑤(警察への被害届)と並行させることも可能です。民事と刑事の両面から迫ることで、相手が誠実に対応する可能性が高まります。
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