【1】書式概要
このテンプレートは、信頼関係に基づいたSMプレイをより安全かつ明確に行うために作成された「奴隷契約書」の雛型です。主従関係における役割や範囲、プレイの可否、秘密保持の条件などをあらかじめ確認・同意することで、後々のトラブルを回避し、互いに安心してプレイに集中できる環境を整えることができます。
たとえば、SM初心者のカップルが「何をしてもいい」と曖昧な取り決めで始めてしまい、予期せぬ行為に対する不安や後悔が生じた――そんな事態を避けるために、具体的なルールを事前に明文化することは非常に有効です。文面は、現実のSM関係者による体験に基づいた表現を意識し、冷たい書式にとどまらない「納得感のある合意書」として仕上げています。
日常のパートナーシップに加えて、信頼を伴う特殊な関係性を築きたい方、あるいは定期的なプレイのガイドラインを明文化しておきたい方に特におすすめです。イベントや長期的なプレイ関係、または一定期間の「従属的関係」の明確化にも使えます。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(服従と命令)
第4条(奴隷の義務)
第5条(主人の義務)
第6条(プレイの範囲)
第7条(身体的制限と安全)
第8条(感情と信頼)
第9条(秘密保持)
第10条(契約期間)
第11条(契約の解除)
第12条(合意と確認)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文では、双方の間で交わされる関係が、単なる遊びではなく一定の信頼と合意に基づいていることを確認します。言い換えれば、「お互いに納得して進めるための枠組み」を最初に明記しておくことで、後々の誤解を避けるのが狙いです。たとえば、片方が「プレイの一部だと思った」と言ったことが、相手にとっては「行き過ぎ」と感じられる可能性がある――そのズレを未然に防ぐための一文です。
第2条(定義)
ここでは、「奴隷」や「主人」といった用語の意味を確認しています。曖昧な言葉が異なる解釈を生まないように、先に定義しておくことは非常に大切です。たとえば「命令」といった言葉が、どの程度の強制力を持つのかといった認識の違いは、関係に影響を与えかねません。
第3条(服従と命令)
この条文は、奴隷側がどのように服従し、主人がどのように命令できるかの範囲と姿勢を明示しています。ただし、「絶対服従」であっても、何でも許されるという意味ではない点がポイントです。現実の関係では、「命令されたら全部従う」と誓っても、やはり限界があります。そこを見失わないバランス感覚が求められます。
第4条(奴隷の義務)
奴隷として果たすべき態度や行動が書かれています。単に「従う」ことだけでなく、感謝や敬意といった精神的な態度も含まれているのが特徴です。これは、形式的な上下関係にとどまらず、「お互いの尊重」という前提を強調する意図が読み取れます。
第5条(主人の義務)
この文書が単なる一方的な支配の手段ではないことが分かる条文です。主人側にも責任と役割があると明記されており、それによって奴隷の安心感が担保されます。たとえば、「限界を超えないこと」や「安全に配慮すること」など、思いやりが求められる内容が含まれています。
第6条(プレイの範囲)
実際に行うプレイの範囲や、何をしてよくて何がNGかを記載する欄です。これはかなり重要で、口約束ではなく、具体的に明記しておくことでトラブル防止につながります。たとえば、「軽い拘束はOKだが、痛みを伴うプレイはNG」といったように、個別に線引きしておくことができます。
第7条(身体的制限と安全)
身体的な特徴や健康上の制限がある場合に、それを踏まえたうえでプレイを行うための確認です。心身の健康を損ねないことを前提にしており、長期間の関係においても安全が保たれるよう設計されています。
第8条(感情と信頼)
感情的なつながりや信頼の確認に関する条文です。特に長期的な関係では、プレイ中だけでなく日常生活にも影響が出ることがあります。そうした中で、感情面での誤解を避けるための土台を作っているといえます。
第9条(秘密保持)
プレイ内容や契約の存在自体を他人に漏らさないための取り決めです。これは、特に社会的立場がある人同士での関係において、プライバシー保護の観点から重要です。たとえば、SNSやチャットアプリで不用意に情報を出さないようにするための抑止にもなります。
第10条(契約期間)
この関係がどれくらい続くのか、更新はあるのかといった期間の話です。明確な終わりや更新のタイミングを設けることで、区切りを意識しながら関係を継続できます。無期限ではなく一定期間で区切ることで、相手を思いやる見直しのタイミングにもなります。
第11条(契約の解除)
「もし合わなかったら、どう終わらせるか」を定めた条文です。突然の関係終了で揉めるのを避けるために、解除の条件を明文化しています。「終わり方」まで話し合える関係は、逆にとても信頼度が高いともいえます。
第12条(合意と確認)
最終的に、両者がきちんと読んで理解し、納得していることを確認するための条文です。同意があってこその関係であることを、再度お互いに確認する仕上げのパートになります。