M&A取引の初期段階で活用される「ノンネームシート」の雛型をご紹介します。このテンプレートは、製造業(精密機械部品・金属加工)の企業を例にして作成されており、売り手企業の概要を匿名で効果的に伝えるための構成になっています。
このノンネームシートには、案件コードから始まり、会社概要、財務情報、事業内容、取引先情報、譲渡理由、セールスポイント、不動産情報、希望条件、リスク要因と対策、そして成長機会まで、M&A取引において買い手が関心を持つであろう重要情報が網羅されています。
特に、企業の強みや競争優位性を示す「セールスポイント」セクションは充実しており、安定した顧客基盤や技術的優位性、品質管理体制、設備投資状況、成長分野での実績などが詳細に記載されています。また、「リスク要因と対策」セクションでは想定されるリスクとその対応策を予め示すことで、透明性を高め、買い手の懸念を軽減する工夫がなされています。
譲渡条件は明確に示されており、価格帯だけでなく、従業員の雇用継続や会社名・ブランドの維持希望、創業者のアドバイザー契約希望などの非金銭的条件も明記されています。これにより、単なる価格交渉ではなく、企業文化や従業員のケア、創業者の想いも尊重した形での事業承継を実現する基盤となります。
このテンプレートを活用することで、M&Aアドバイザーや売り手企業は、効率的かつ効果的に企業情報を整理し、秘密保持を維持しながらも潜在的な買い手の関心を引くことができるでしょう。また、買い手にとっても、企業の全体像を把握しやすく、初期段階での検討材料として非常に有用です。