【1】書式概要
この契約書雛型は、VRアトラクションの制作・運営を外部事業者に委託する際に使用できる業務委託契約書です。最新の改正民法に対応しており、VR技術を活用したアトラクション事業を展開する企業や施設向けに最適化されています。
本契約書は、VRコンテンツの制作からイベント運営まで包括的な業務委託関係を規定し、両者の権利義務を明確化します。特にVR業界特有の知的財産権の取り扱い、安全管理体制、機器・設備の準備責任などを詳細に定めており、トラブル防止に役立ちます。
適用場面としては、テーマパークやアミューズメント施設でのVRアトラクション導入、商業施設や展示会でのVRイベント開催、博物館や教育施設での体験型VRコンテンツ提供などが考えられます。また、VR技術を活用したプロモーションイベントを実施する企業にも適しています。
報酬体系も制作費、設備費、売上連動の運営費に分けて規定されており、双方にとって公平な取引関係を構築できます。契約期間や解除条件、秘密保持義務なども明確に定められているため、長期的なビジネス関係の構築に役立つでしょう。利用者の安全確保や保険加入についても詳細に規定されており、事故リスクへの対応も考慮されています。
VR技術の普及に伴い需要が高まるこの種の契約において、法的リスクを最小化しつつ円滑な業務遂行を可能にする実務的な内容となっています。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(委託業務)
第4条(業務実施体制)
第5条(業務実施計画書)
第6条(進捗報告)
第7条(VRコンテンツの検収)
第8条(設備及び機器)
第9条(報酬及び支払方法)
第10条(遅延損害金)
第11条(知的財産権)
第12条(第三者の権利侵害)
第13条(安全管理)
第14条(保険)
第15条(秘密保持)
第16条(個人情報の取扱い)
第17条(反社会的勢力の排除)
第18条(損害賠償)
第19条(契約期間)
第20条(解除)
第21条(契約終了後の措置)
第22条(権利義務の譲渡禁止)
第23条(協議解決)
第24条(存続条項)
第25条(準拠法)
第26条(管轄裁判所)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条項は契約の目的を明確に定めています。委託者が受託者にVRアトラクションの制作・運営業務を委託することを明示し、契約全体の基本的な枠組みを示しています。目的条項は契約解釈の際の指針となる重要な条項です。
第2条(定義)
契約で使用される重要な用語の定義を行っています。「VRアトラクション」「VRコンテンツ」「疑似体験装置」「利用者」「知的財産権」といった専門用語の意味を明確にすることで、解釈の齟齬を防ぎます。特にVR業界特有の用語が多いため、この定義条項は非常に重要です。
第3条(委託業務)
委託される業務の具体的内容を詳細に規定しています。VRコンテンツの制作業務(企画立案からデバッグまで)とVRイベントの運営業務(設営から安全管理まで)に大別し、それぞれの具体的な作業内容を列挙しています。また、受託者が自己責任で業務を実施する旨も明記されています。
第4条(業務実施体制)
受託者が業務を実施するうえでの体制要件を定めています。適切な人員配置や責任者の選任・通知義務、教育研修の実施義務などを規定し、委託者には不適切な従業員の交代を求める権利を与えています。これにより業務の質を担保します。
第5条(業務実施計画書)
受託者に業務実施計画書の作成・承認取得義務を課しています。計画書に含むべき事項(体制、スケジュール、品質管理方針など)を明示し、委託者による修正要求権も規定しています。承認された計画書に基づいて業務を実施する義務も明記されています。
第6条(進捗報告)
受託者の進捗報告義務を規定しています。報告時期(毎月末日、各工程完了時、要求時)と報告方法(書面または承認された方法)を明確に定めることで、プロジェクト管理の透明性を確保しています。
第7条(VRコンテンツの検収)
成果物の検収手続きを規定しています。受託者による検収請求、委託者による検収実施期限(14日以内)、不具合発見時の修補要求権と受託者の修補義務について定めており、成果物の品質確保の仕組みを整えています。
第8条(設備及び機器)
業務実施に必要な設備・機器の調達責任を明確にしています。受託者が自己負担で各種VR機器を用意する義務を課し、それらが関係法令・業界基準に適合するものであることを要求しています。
第9条(報酬及び支払方法)
報酬体系と支払方法を詳細に規定しています。制作費用、初期設備費用、売上連動の運営費用という3種類の報酬と、それぞれの支払時期・方法を明確にしています。特に制作費・設備費は段階的支払(契約時30%、中間30%、検収後40%)とし、運営費は月次精算の仕組みを導入しています。
第10条(遅延損害金)
委託者の支払遅延に対する制裁として、年率14.6%の遅延損害金を規定しています。これにより受託者の資金計画の安定性を確保します。
第11条(知的財産権)
VRコンテンツに関する知的財産権の帰属を明確に定めています。著作権を含む全ての知的財産権は委託者に帰属し、受託者は著作者人格権を行使しないことを約束しています。また、第三者の知的財産権侵害防止義務も規定されています。
第12条(第三者の権利侵害)
受託者に成果物が第三者の知的財産権を侵害しないことの保証義務を課し、万一侵害の主張があった場合の対応責任も明確にしています。これにより委託者は法的リスクから保護されます。
第13条(安全管理)
VRアトラクション運営における安全管理義務を詳細に規定しています。利用者の安全確保を最優先事項とし、安全マニュアルの作成・周知、安全研修の実施、機器の定期点検、緊急時対応体制の整備などを義務付けています。事故発生時の報告義務も明記されています。
第14条(保険)
リスク管理の一環として受託者に各種保険(施設賠償責任保険、製造物責任保険など)への加入義務を課し、保険証券の写しの提出も求めています。これにより万一の事故時の補償体制を確保します。
第15条(秘密保持)
双方の秘密情報の保護を規定しています。相手方の技術上・営業上の情報を秘密として扱い、無断開示を禁止しています。この義務は契約終了後も3年間継続することも明記されています。
第16条(個人情報の取扱い)
個人情報の取り扱いに関する法令遵守義務と安全管理措置の実施義務を受託者に課しています。VRアトラクションでは利用者の個人情報を取得する場合があるため、その適切な管理を確保するための条項です。
第17条(反社会的勢力の排除) 双方が反社会的勢力でないことの表明保証を行い、違反時には無催告解除権を規定しています。これは現代の契約では標準的な条項となっています。
第18条(損害賠償)
契約違反による損害賠償責任を規定しつつ、賠償範囲を直接損害に限定し、間接損害等を除外しています。これにより賠償リスクを予測可能な範囲に抑えています。
第19条(契約期間)
契約期間(1年間)と自動更新の仕組みを規定しています。契約終了の申し出がない限り同一条件で自動更新される方式を採用し、長期的な業務関係の継続性を確保しています。
第20条(解除)
契約解除事由を詳細に規定しています。契約違反、倒産手続開始、差押え、解散決議、手形不渡りなどの具体的事由を列挙し、これらの場合には無催告で解除できることを明記しています。解除権の行使が損害賠償請求を妨げないことも規定されています。
第21条(契約終了後の措置)
契約終了時に受託者が講じるべき措置(資料返還、秘密情報の返還・廃棄、個人情報の返還・廃棄)を規定し、措置完了後の報告義務も課しています。これにより契約終了後も情報の適切な管理を確保しています。
第22条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡等を原則禁止し、例外的に相手方の書面による事前承諾がある場合のみ可能としています。これにより契約関係の安定性を確保しています。
第23条(協議解決)
契約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法として、誠実協議による解決を規定しています。これは契約の柔軟な運用を可能にする条項です。
第24条(存続条項)
契約終了後も効力を存続させる条項を明記しています。知的財産権、第三者権利侵害、秘密保持、個人情報取扱い、損害賠償、契約終了後措置、協議解決、準拠法、管轄裁判所の条項は契約終了後も有効であることを規定しています。
第25条(準拠法)
契約の準拠法を日本法と規定しています。これにより契約解釈の基準が明確になります。
第26条(管轄裁判所)
紛争解決の際の管轄裁判所を特定の地方裁判所に限定しています。これにより訴訟となった場合の審理地が明確になり、予測可能性が高まります。