【1】書式概要
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この書式は、退職代行業を営む企業とサービスの利用者の間で交わされるサービス契約書です。退職を希望する人が退職代行会社に依頼するときに、双方の権利と責任をはっきりさせるための書類になります。
具体的には、退職代行サービスを利用する際に、利用者はどの程度の費用を払うのか、サービス提供者はどのような仕事をするのか、キャンセルしたい場合はどうするのか、個人情報をどのように扱うのかといった大切なことをあらかじめ決めておく文書です。
このテンプレートは改正民法に対応しているため、最新の法律ルールに基づいて作られています。会社を辞めるときのトラブルを防ぐために、また万が一の時に証拠として機能する重要な役割を果たします。
使う場面としては、退職代行会社が初めて顧客と契約を結ぶとき、新しいサービスメニューを作るとき、既存の契約書を見直すときなどが挙げられます。特に、退職に関する相談業務を行っている企業や、退職代行サービスを展開しているビジネスオーナーにとって、このテンプレートは必須のアイテムです。
Word形式で提供されているので、自社の名前や条件を自由に書き込んで、すぐに使うことができます。初めて契約書を作る方でも、知識のない方でも、基本的な内容が整理された雛型を参考にしながら、自分たちの状況に合わせてカスタマイズできるようになっています。
【2】条文タイトル ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第1条 サービスの概要 第2条 対象企業 第3条 サービスの実施方法 第4条 サービス料金 第5条 キャンセル・返金 第6条 個人情報の取扱い 第7条 秘密保持 第8条 免責事項 第9条 甲の義務 第10条 契約期間と終了 第11条 禁止事項 第12条 紛争解決 第13条 契約の変更・修正 第14条 準拠法 第15条 その他
【3】逐条解説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆第1条 サービスの概要
このセクションでは、退職代行会社が具体的にどのような仕事をするのかを定めます。例えば、会社への退職意思の伝達、退職に関する相談への対応、必要な書類の作成サポート、退職に関する質問への回答といった業務内容が明記されます。何をしてくれるのか、何をしてくれないのかを利用者が明確に理解できるようにすることで、後からのトラブルを防ぐ役割を果たします。この条項があることで、「思っていたのと違う」というようなトラブルが減少します。
◆第2条 対象企業
契約の対象となる会社がどこなのかを具体的に記入する場所です。退職する人の勤めている企業の名前と部署を明確にしておくことで、複数の会社を辞める場合の混乱を避けられます。例えば、関連会社が複数ある大企業に勤めている場合、どの会社を対象にするのかが曖昧だと、後から「別の会社だったの?」という誤解が生じるかもしれません。そうした状況を防ぐために、この条項で企業を特定しておく必要があります。
◆第3条 サービスの実施方法
退職代行会社がどのようにして仕事を進めるのか、具体的な手段と流れが書かれています。電話やメールを使ってどのようにやり取りをするのか、退職予定日をいつぐらいに設定するのか、どのくらいの期間で完了させるのかといったスケジュール面が示されます。2週間以内というように期限を設けることで、サービス利用者が見通しを立てやすくなります。また、どのような連絡手段を使うのかが明確になることで、急な対応が必要な場合にも対応がしやすくなります。
◆第4条 サービス料金
いくら払うのか、どのタイミングで支払うのか、銀行振込なのかクレジットカードなのか、といったお金に関することが書かれています。料金を先払いするのか後払いするのかは、トラブルが起こりやすいポイントなので、ここではっきりと決めておくことが重要です。例えば、「契約した日にすべてのお金を払う」と決まっていれば、後から「未払い分がある」という話になる可能性が減ります。
◆第5条 キャンセル・返金
契約した後に「やっぱりやめたい」と思った場合、どうなるのかを定めています。契約を結ぶ前にキャンセルしたら全額戻す、サービスが始まってから7日以内にキャンセルしたら半額戻す、といった具合に段階的に返金のルールが決まっています。こうしたルールがあることで、利用者も「この条件なら頼もうか」と判断しやすくなりますし、提供者側も「この期限までなら返金に応じよう」という責任の線引きが明確になります。
◆第6条 個人情報の取扱い
会社の人に直接退職の話をしてもらうわけですから、退職代行会社には依頼者の個人情報が知られることになります。その情報がどのように使われるのか、他の人に渡されないのか、サービスが終わった後はどうなるのかを定めています。個人情報は大切な資産なので、ここで守ってもらえるのか確認することが重要です。例えば、「他の人には渡さない」と約束されていれば、個人情報が変なところに流れることがないという安心感が得られます。
◆第7条 秘密保持
サービスを提供する過程で知ってしまった依頼者の事情や会社のこと、プライベートな話など、そうした情報を他に話さないという約束です。この約束はサービスが終わった後も2年間続くという決まりがあるので、長期にわたって秘密が守られます。もし退職代行会社が依頼者のプライベート情報を他の人に話すようなことがあれば、それは約束違反になるということが明確になります。
◆第8条 免責事項
退職代行会社が「ここまでは責任を持ちますが、ここからは責任を持ちません」という線引きをしている条項です。例えば、会社側が「承認しない」と言い張った場合、その結果について退職代行会社は責任を負わないということが書かれています。これは提供者を守るための条項でもありますが、依頼者にとっても「どこまで頼れるのか」を知るために大切な情報です。また、この会社は法律的なアドバイスはしないことも明記されていますので、法律の専門家が必要な場合は別途弁護士に相談すべきことが分かります。
◆第9条 甲の義務
依頼者側も守るべきルールが書かれています。正しい情報を教えること、連絡に対応すること、代行会社からの指示を受けることなどが含まれます。例えば、依頼者がウソの情報を提供してしまった場合、その結果まで代行会社が責任を持つわけにはいきませんという考え方が基礎にあります。依頼者も相応の誠実さが求められるということが分かります。
◆第10条 契約期間と終了
契約がいつから始まっていつまで続くのか、どうなったら契約が終わるのかが書かれています。退職の意思を会社に伝えて完了した時点で契約が終わるというように決まっています。また、どちらかが契約を続けたくない場合、30日前に「終わりたい」と伝えれば契約を終わらせることができるという規定もあります。こうしたルールがあることで、契約がいつまで続くのか不安になることがなくなります。
◆第11条 禁止事項
依頼者がしてはいけないこと、違法行為の指示、個人情報の不正な利用、第三者の権利を傷つけるような行動などが列挙されています。こうしたことをしてしまった場合、契約は解除されるということが暗に示されています。つまり、この契約は相互の信頼関係の上に成り立っているということが表現されているわけです。
◆第12条 紛争解決
何か問題が起きたときにどう解決するかが書かれています。まずは二者で話し合って解決することが原則で、それでも決まらない場合は裁判所で決めてもらうということが決まっています。どこの裁判所が判断するのかも事前に決めておくことで、もし裁判になった場合の手続きがスムーズになります。
◆第13条 契約の変更・修正
最初に決めたルールを後から変える場合、双方が書面で同意する必要があることが示されています。これにより、片方が一方的にルールを変えることができないようになっています。変更には手続きが必要という明確なルールがあることで、後から「こんなこと聞いてない」という争いが減ります。
◆第14条 準拠法
この契約は日本の法律に基づいているということを示しています。改正民法に対応しているというのはこの部分を指しており、最新の法律ルールに従って解釈されるということが保証されています。
◆第15条 その他
この契約書に書かれていないことが起きた場合、双方で話し合って決めるというルールが書かれています。また、もし契約の一部が無効になっても、全体が無効になるわけではないという保護規定も含まれています。つまり、一つの条項に問題があっても、他の条項は有効のままということが保証されるわけです。
【4】想定されるFAQ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Q1: この契約書はどんな企業に向いていますか?
A: 退職代行業を営む企業、退職相談サービスを提供している企業、人材紹介会社など、退職に関するサービスを提供している企業全般に向いています。また、大企業の人事部が退職手続きを外部に委託する場合にも活用できます。
Q2: 料金部分を自由に設定できますか?
A: はい、Word形式で提供されているので、基本料金や支払い方法をカスタマイズできます。銀行振込の他にクレジットカード、PayPalなど、自社のシステムに合わせて変更可能です。
Q3: 改正民法への対応とは具体的に何ですか?
A: 2024年に改正された民法に基づいた条項になっています。特に契約書の最新の法律要件を満たした形式となっており、新しい法律ルールに対応していることが保証されています。
Q4: このテンプレートをそのまま使っても大丈夫ですか?
A: テンプレートとしていろいろな企業に対応できるように作られていますが、ご自身の事業内容に合わせて必ずカスタマイズしてください。また、不安な場合は専門家に相談されることをお勧めします。
Q5: 契約書を複数の場面で使い回しても大丈夫ですか?
A: Word形式なので、企業ごと、サービスメニューごとに必要に応じてカスタマイズして使えます。ただし、対象企業や料金などのポイントは、その都度変更する必要があります。
Q6: これだけで退職手続きは完結しますか?
A: この契約書は、退職代行サービスを利用する際の取り決めを定めたものです。実際の退職手続きには、退職願の作成、給与や有給休暇の計算など、他の書類も必要になる可能性があります。
Q7: 秘密保持はいつまで続きますか?
A: 契約終了後も2年間秘密保持の義務が続きます。この期間を延ばしたい場合や、短くしたい場合は、ご自身でカスタマイズしてください。
Q8: キャンセル料の設定は変えられますか?
A: はい、キャンセル料の割合や期間はカスタマイズできます。例えば、全額返金対象期間を14日に延ばすなど、ご自身の事業ポリシーに合わせて変更できます。
Q9: 紛争が起きた場合はどうなりますか?
A: まずは当事者で話し合うことになっています。話し合いで解決しない場合は、指定された地方裁判所で判断してもらうことになります。
Q10: この契約書だけでは不足する可能性がありますか?
A: 基本的な項目は網羅されていますが、サービスの内容や企業の規模によっては、追加の条項が必要になる可能性があります。別途、利用規約やプライバシーポリシーとの整合性も確認してください。
【5】活用アドバイス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このテンプレートを最も効率的に活用するには、まず自社のサービス内容をしっかり把握することから始めましょう。実際にどのような業務を提供しているのか、料金体系はどうなっているのか、対応可能な企業の規模はどの程度なのかといったことを明確にした上で、そのポイントをこの契約書に落とし込んでいく流れがスムーズです。
次に、提供するサービスの内容に合わせて条項を調整することが重要です。例えば、退職のシミュレーションやキャリアカウンセリングまで含めるなら、第1条で業務内容を追加する必要があります。対応できる企業の規模に制限がある場合は、第2条で事前に明記しておくと、後からのトラブルが防げます。
料金設定をする際は、業界相場を参考にしながらも、自社のコストと利益バランスを考慮して決定してください。安すぎると事業が成り立たず、高すぎるとお客さんが見つからないというバランスが大切です。第4条でしっかり金額を記入することで、後からの金額交渉を避けられます。
キャンセルポリシーについても、自社の営業方針に合わせて調整することをお勧めします。利用者を守りつつ、自社の運営費も確保するというバランスが必要です。第5条の返金ルールは、業種によっても変わってくるので、競合企業の対応を調べた上で決定するのが効果的です。
個人情報の取扱いについては、第6条でしっかり明記することで、トラブル時の防御になります。特に、GDPR等の海外のルールに対応している場合は、その旨を追記しておくと、国際的な信頼性が高まります。
秘密保持の期間についても、自社の業界慣行に合わせて調整してください。競合他社の状況を参考にしながら、2年という基本の期間でいくのか、それとも3年や5年に延ばすのかを判断しましょう。長くすればするほど、依頼者からの信頼は高まりますが、その分自社の制約も増えるということを念頭に置いてください。
免責事項については、サービスの限界を明確にすることで、期待値のズレを防ぐことができます。第8条では、自社ができないことを明確に列挙することで、「あの会社は何もしてくれなかった」というトラブルを防げます。
実際に使う際は、毎回テンプレートをコピーして、企業ごと、顧客ごとにカスタマイズして使う流れが効率的です。Word形式なので、自社のロゴやカラーを入れて、自社ブランドの契約書として出来上がらせることもできます。
定期的にこの契約書を見直すことも大切です。事業が拡大したり、新しい法律ができたりすれば、それに合わせて条項を更新する必要があります。少なくとも年1回は、現在の事業内容や法律に対応しているかをチェックされることをお勧めします。
【6】この文書を利用するメリット ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
退職代行のような、人間関係が微妙な場面に関わるサービスだからこそ、初めから契約書で期待値を合わせておくメリットは非常に大きいです。
まず、トラブルを未然に防ぐことができます。退職という人生の大切な場面に関わるサービスなので、期待と現実のズレが生じやすいです。事前に「どこまでやってくれるのか」「どのくらい費用がかかるのか」「何かあった時はどうするのか」という内容を明確にしておくことで、後からの不満やクレームが格段に減ります。
次に、ビジネスの信頼性が高まります。きちんとした契約書を用意している企業は、「この会社はちゃんとしている」という印象を与えます。利用者は安心して依頼できますし、業界内での評判も良くなります。
また、改正民法に対応した契約書を使うことで、最新の法律ルールに守られた環境で事業ができます。古い契約書を使い続けていると、法律が変わったときに対応できず、トラブルが増えてしまうリスクがあります。このテンプレートなら、そうしたリスクを軽減できます。
さらに、スピーディーに事業を展開できます。わざわざ弁護士に依頼して一から契約書を作ってもらう必要がなく、このテンプレートをカスタマイズするだけで使えます。コストと時間の両面で大きな節約になります。
利用者側にとっても、契約書があることで安心感が生まれます。退職という決断をした人の中には、不安や迷いを抱えている人も多いです。しっかりした契約書があれば、その不安が少しでも軽くなります。
万が一トラブルが起きた場合でも、契約書があれば証拠になります。「こういう条件で契約していた」「こういう条件は含まれていなかった」というような話になったときに、契約書が強力な味方になります。
また、複数の顧客を同時に抱えている場合、テンプレートを活用することで、申し込み対応から契約までのプロセスが効率化されます。毎回一から書く必要がなくなるので、その分、実際のサービス提供に力を入れられます。
さらに、自社のポリシーを明確にできます。キャンセルポリシーや個人情報の取扱い、秘密保持など、自社の基本的な考え方を整理して、それを顧客に伝えることができます。こうしたプロセスを通じて、自社の事業の質も向上します。
加えて、新しい従業員の教育にも使えます。「うちの契約内容はこうなっている」「顧客にはこのように説明する」という基準ができるので、従業員教育が効率化されます。
最後に、このテンプレートはWord形式で編集可能なので、事業が成長したり、サービスラインナップが増えたりしたときにも、柔軟に対応できます。一度作ったら終わりではなく、事業とともに成長させていく資料として機能します。
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