【1】書式概要
この契約書は、複写機やコピー機を企業や事業所に貸し出す際に使用する書類です。機器を貸す会社と借りる会社の間で、レンタル料金の支払い方法や機器の使用条件、保守サービスの内容などを明確に取り決めるために作成します。
複写機販売会社やOA機器レンタル業者が新規顧客と契約を結ぶ場面で特に重要になります。例えば、オフィスを新設する企業が複写機を導入する時や、既存の機器を入れ替える際にこの契約書を使います。レンタル料金の計算方法、メーター読み取りのルール、故障時の対応手順、契約期間や自動更新の条件など、後々トラブルになりがちなポイントをあらかじめ文書化しておくことで、双方が安心して取引できる環境を整えます。
この書式はWord形式で提供されており、自社の状況に合わせて料金体系や契約期間、設置場所などを自由に編集できます。複写機の機種名や機械番号、ソーターの有無といった具体的な仕様も簡単に記入できる構成になっています。レンタル業を営む方はもちろん、これから複写機のレンタル事業を始める方にとっても、契約書作成の手間を大幅に省ける実用的なテンプレートです。
貸す側の権利をしっかり守りながら、借りる側にも分かりやすい内容になっているため、契約書の作成経験が少ない方でも安心して使えます。特に中小企業の事務機器販売業や、地域密着型のOA機器サービス会社にとって、日常業務で即座に活用できる便利な書式といえるでしょう。
【2】条文タイトル
- 第1条(契約の目的)
- 第2条(契約内容)
- 第3条(契約期間)
- 第4条(レンタル料金)
- 第5条(使用実績の報告)
- 第6条(料金の請求と支払い)
- 第7条(操作指導)
- 第8条(保守サービス)
- 第9条(消耗品の供給)
- 第10条(所有権と管理義務)
- 第11条(商業利用の制限)
- 第12条(使用用紙)
- 第13条(設置場所)
- 第14条(搬入・搬出費用)
- 第15条(保険)
- 第16条(損害賠償)
- 第17条(料金改定)
- 第18条(期限の利益の喪失)
- 第19条(契約の解除)
- 第20条(解約金)
- 第21条(機器等の返還)
- 第22条(契約終了時の清算)
- 第23条(協議条項)
- 第24条(管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(契約の目的)
この条文では契約の基本的な枠組みを定めています。貸す側が複写機を提供し、借りる側がその対価として料金を支払うという、レンタル取引の根幹部分を明確にしています。機器の所有権は貸主に残ったまま、借主は使用する権利だけを得る仕組みです。
第2条(契約内容)
契約の具体的な中身は別紙の「物件仕様」に記載するという構造を示しています。機種名や料金体系、設置する場所といった個別の情報は、契約ごとに変わる部分なので別記として整理する方式です。こうすることで、契約書本体を毎回一から作り直す手間が省けます。
第3条(契約期間)
契約がいつからいつまで有効なのかを明記する部分です。面白いのは自動更新の仕組みで、契約満了の1ヶ月前までにどちらかが解約を申し出なければ、自動的に6ヶ月延長されます。これにより、いちいち更新手続きをしなくても契約関係が継続する利便性があります。ただし解約したい場合は1ヶ月前までに必ず連絡が必要という点に注意が必要です。
第4条(レンタル料金)
借主が支払うべき料金の算出方法を定めています。具体的な金額や計算式は別記の料金表に委ねる形になっており、基本料金とコピー枚数に応じた従量課金を組み合わせるケースが一般的です。
第5条(使用実績の報告)
複写機のメーターカウント、つまり何枚コピーしたかを毎月報告する義務について書かれています。例えば毎月20日が締め日なら、21日の朝9時時点のメーター数値を連絡票に記入して3営業日以内に提出するという流れです。この報告に基づいて料金が計算されるため、正確な記録が求められます。
第6条(料金の請求と支払い)
メーター連絡票を受け取った貸主が、3営業日以内に請求書を発行し、借主が指定された方法で支払うという手順を定めています。例えば月末締めで翌月末払いといった支払いサイクルが別記に記載されます。
第7条(操作指導)
借主から依頼があれば、契約期間中いつでも無料で機器の使い方を教えるという貸主のサービス内容です。新しい社員が入った時や、機能の使い方が分からない時などに活用できる条項で、レンタル契約ならではのメリットといえます。
第8条(保守サービス)
定期的な点検と故障時の修理対応について規定しています。貸主の技術スタッフが定期的に訪問して機器をチェックし、トラブルがあれば修理に来てくれる仕組みです。ただし営業時間外の緊急対応は割増料金が発生する可能性があるため、夜間や休日の修理依頼には追加費用を覚悟しておく必要があります。
第9条(消耗品の供給)
契約開始時に1ヶ月分の消耗品を無償提供し、ドラムやディベロッパーといった高額部品も必要に応じて無料交換するという内容です。トナーや用紙などの日常的な消耗品についても貸主が供給する仕組みで、借主が自分で購入する手間が省けます。
第10条(所有権と管理義務)
機器と消耗品の所有権は貸主にあり、借主は丁寧に扱って保管する義務を負います。勝手に改造したり、他の人に又貸ししたり、担保に入れたりすることは禁止されています。あくまで借りているだけという立場を明確にする条文です。
第11条(商業利用の制限)
複写機を使ってコピーサービスを商売として行う場合は、事前に貸主の許可を得る必要があるという制限です。例えばコンビニのようにコピーサービスを有料で提供する場合は、通常のレンタル契約とは別の条件が適用されることがあります。
第12条(使用用紙)
機器に使用する紙は貸主が指定したものを使うというルールです。安い紙を使って機器が故障するトラブルを防ぐための条項で、推奨用紙のリストが別途提供されるのが一般的です。
第13条(設置場所)
契約書に記載された場所以外で機器を使ってはいけないという制限です。もし別の場所に移動したい場合は、必ず貸主の書面による承認を得る必要があります。移動作業自体も貸主が行うため、勝手に動かして壊すリスクを避けられます。
第14条(搬入・搬出費用)
機器を運び入れる時、場所を移す時、返却する時の運搬費用は全て貸主が負担するという条項です。借主にとっては追加費用がかからない安心材料になります。
第15条(保険)
機器に保険をかける義務があり、その保険料は貸主が支払うという内容です。火災や水害などで機器が損傷した場合に備えた動産総合保険が一般的で、借主は保険料負担なく万が一の事態に備えられます。
第16条(損害賠償)
借主の不注意や故意で機器を壊してしまった場合は、修理費用を負担する義務があるという条項です。通常の使用での自然故障は貸主が修理しますが、明らかに借主側に責任がある破損は賠償対象になります。
第17条(料金改定)
貸主は1ヶ月前に通知すれば料金を変更できるという規定です。物価上昇や機器の更新などに対応するための条項ですが、一方的に大幅値上げできるわけではなく、あまりに不合理な改定なら借主は解約を検討できます。
第18条(期限の利益の喪失)
支払いを2回以上滞納したり、契約違反をしたり、倒産の危機に陥ったりした場合、借主は分割払いの権利を失って全額を即座に支払う義務が生じるという厳しい条項です。反社会的勢力との関係が発覚した場合も同様の措置が取られます。取引の信頼関係が崩れた時の最終手段として機能します。
第19条(契約の解除)
通常の解約は1ヶ月前に通知すればできますが、即座に解約したい場合は1ヶ月分の料金を支払えば可能という選択肢も用意されています。また、第18条の事態が起きた場合は貸主が無条件で即時解約できる仕組みです。
第20条(解約金)
契約を途中で解除した場合、残りの債務に加えて解約金を支払う義務があるという内容です。特に借主都合で解約して別の機器を導入する場合も同様の扱いになり、安易な契約解除を防ぐ抑止力になっています。
第21条(機器等の返還)
契約が終わったら速やかに機器と消耗品を返却する義務を定めています。返却が遅れた場合は1日あたりの違約金が発生するため、契約終了日をきちんと把握しておく必要があります。
第22条(契約終了時の清算)
契約が終了したら、理由を問わず残っている支払いを全て精算するという条項です。分割払いの途中でも終了すれば一括で支払う義務が生じます。
第23条(協議条項)
契約書に書いていないことや解釈が曖昧な部分が出てきた場合は、双方で話し合って解決しましょうという紳士協定的な条項です。いきなり裁判にならず、まず話し合いの機会を持つことを約束しています。
第24条(管轄裁判所)
万が一裁判になった場合、どこの裁判所で争うかをあらかじめ決めておく条項です。通常は貸主の本社所在地の地方裁判所が指定されることが多く、借主が遠方の場合は裁判になると大変という事実上の抑止効果もあります。
【4】活用アドバイス
この契約書を使う際は、まず別記の「物件仕様」部分を最優先で埋めましょう。機種名や機械番号、設置場所といった具体的な情報がないと契約として成立しません。特に料金体系の部分は慎重に記入し、基本料金と従量料金のバランスを自社の方針に合わせて調整してください。
契約期間の設定では、自動更新条項をよく理解しておくことが大切です。解約を忘れると自動的に半年延長されてしまうため、顧客管理システムに更新日をきちんと登録しておくと安心です。また、借主側の立場なら、解約したい時期の2ヶ月前にはスケジュールを確認する習慣をつけると良いでしょう。
メーター連絡票の提出期限は意外と守られないことが多いので、リマインドの仕組みを作っておくことをおすすめします。例えば締め日の前日にメールで通知するとか、専用のウェブフォームを用意してオンラインで報告できるようにすると、双方の手間が減ります。
保守サービスの範囲についても、営業開始前に顧客と具体的に確認しておくと後々のトラブルを防げます。「営業時間外の対応は割増料金」という条項があるため、緊急時の連絡方法と料金体系を明確にしておくと親切です。
【5】この文書を利用するメリット
まず何より時間の節約になります。契約書をゼロから作る作業は専門知識が必要で、数日かかることも珍しくありません。このテンプレートを使えば必要事項を記入するだけで、その日のうちに契約書が完成します。
次に、抜けや漏れを防げる安心感があります。複写機レンタルに必要な条項が網羅的に盛り込まれているため、「あの条項を入れ忘れた」という失敗を避けられます。特に保守サービスや消耗品供給といったレンタル特有の条項は、自分で考えると見落としがちな部分です。
さらに、貸主と借主の権利義務がバランスよく配置されているため、一方的に不利な契約にならない公平性があります。借主からも納得を得やすい内容になっているので、契約交渉がスムーズに進みます。
Word形式で編集できる柔軟性も大きなメリットです。自社のロゴを入れたり、特殊な条項を追加したり、不要な部分を削除したりと、ビジネスの実情に合わせてカスタマイズできます。PDF形式では実現できない自由度の高さです。
最後に、専門家に依頼するコストを削減できる経済的なメリットがあります。弁護士や行政書士に契約書作成を依頼すると数万円の費用がかかりますが、このテンプレートならはるかに低コストで同等の品質を手に入れられます。
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