【1】書式概要
この契約書は、料理教室や料理関連事業を運営する協会や企業が、外部の料理研究家やフリーランスのレシピ開発者に対してオリジナル料理レシピの作成を依頼する際に使用する業務委託契約書です。
現代の料理業界では、多くの料理教室運営者や料理関連ビジネスを展開する事業者が、質の高いオリジナルレシピを継続的に提供する必要に迫られています。しかし、すべてのレシピを内部で開発することは時間的にも人的リソース的にも困難な場合が多く、専門的なスキルを持つ外部のレシピ開発者に委託するケースが増加しています。
この契約書を使用する場面としては、料理教室の新メニュー開発、料理本の出版企画、ウェブサイトでのレシピコンテンツ配信、企業の商品開発に伴うレシピ提案など、様々なシーンが想定されます。特に、レシピの著作権を明確に譲渡し、後々のトラブルを防ぐことで、安心してビジネスを展開することができます。
また、改正民法に対応した内容となっているため、現在の契約実務にそのまま対応可能です。レシピ1点あたりの対価設定や権利関係の整理、機密保持の取り決めなど、料理業界特有の課題を網羅的にカバーしているため、初めて外部委託を検討する事業者の方でも安心してご利用いただけます。
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文は契約の基本的な枠組みを定めています。委託者(甲)が受託者(乙)に対して業務を依頼し、受託者がそれを引き受けることを明確にした、いわば契約の出発点となる規定です。シンプルな内容ですが、双方の合意形成の証拠として重要な意味を持ちます。
第2条(委託業務の内容)
委託する具体的な業務範囲を詳細に規定した条文です。料理レシピの作成だけでなく、関連する画像提供や付帯業務まで含めることで、後から「これは契約に含まれていない」といったトラブルを防ぐ効果があります。例えば、レシピと一緒に盛り付け写真や調理過程の画像も必要な場合、この条文によって明確にカバーされます。
第3条(委託業務の対価)
報酬に関する最も重要な条文の一つです。レシピ1セットあたり2000円という具体的な金額設定に加え、将来的な追加報酬請求を制限する条項が含まれています。これは特に重要で、例えば委託先が作成したレシピを使って料理本がベストセラーになった場合でも、追加の印税支払いは発生しないことを明確にしています。
第4条(表明保証)
受託者が提供するレシピがオリジナル作品であることを保証させる条文です。インターネット上には無数のレシピが存在するため、意図的でなくても類似したレシピを作成してしまうリスクがあります。この条文により、もし盗用が発覚した場合の返金や損害賠償の責任を明確にしています。
第5条(権利の譲渡)
レシピに関するすべての権利を委託者に完全譲渡することを定めた条文です。これにより委託者は、受託者に断りなく自由にレシピを利用、改変、商用利用することが可能になります。例えば、レシピを元にした料理教室の開催や、レシピ本への掲載、ウェブサイトでの公開などが自由に行えます。
第6条(機密保持)
双方が知り得た機密情報の保護を定めた条文です。特に注目すべきは、受託者が作成したレシピ自体も機密情報として扱われる点です。これにより、受託者が他社に同じレシピを提供したり、SNSで公開したりすることを防ぎます。料理業界では独自性が競争力の源泉となるため、この規定は極めて重要です。
第7条(契約期間)
契約の存続期間と更新条件を定めた条文です。自動更新条項により、双方が特に異議を申し立てない限り契約が継続される仕組みになっています。また、契約終了後も一部の条項(対価制限、表明保証、権利譲渡、機密保持)が存続することで、長期的な権利保護を実現しています。