【1】書式概要
この共同経営契約書テンプレートは、事業者同士が店舗や事業を共同で運営する際に必要な法的枠組みを提供します。改正民法に完全対応しており、最新の法律要件を満たした内容となっています。
共同経営は事業拡大の効果的な手段ですが、適切な契約書がなければトラブルの原因になりかねません。このテンプレートでは、配当金の取り決め、保証金の取扱い、契約解除条件など、共同経営に必要な重要事項を漏れなく網羅しています。
特に飲食店や小売店などの店舗ビジネス、フランチャイズ展開を検討している事業者、事業提携を模索している中小企業経営者に最適です。また、新規事業を共同で立ち上げる場合や、既存事業を他社と共同運営する際にも活用できます。
テンプレートには以下の重要条項が含まれています: ・事業内容と目的の明確化 ・配当金や利益分配方法の詳細規定 ・保証金の取扱いと返還条件 ・譲渡禁止や中途解約に関する条項 ・反社会的勢力排除条項 ・紛争解決方法と合意管轄
経営パートナーとの関係をスタート時点で明確にし、将来的なトラブルを未然に防ぐために、専門的な知識がなくても簡単にカスタマイズできる内容になっています。事業の共同経営を検討されている方は、このテンプレートを活用して確かな法的基盤の上でビジネスをスタートさせましょう。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(事業の賃貸)
第3条(法令上の手続の履行)
第4条(事業種目)
第5条(配当金)
第6条(保証金)
第7条(譲渡禁止)
第8条(中途解約)
第9条(解除)
第10条(反社会的勢力の排除)
第11条(原状回復)
第12条(合意管轄)
第13条(契約期間)
第14条(定めなき事項)
【2】逐条解説
第1条(目的)- 共同経営契約の基本的意義
共同経営契約の土台となる条項です。特定名称(「●●●」)の事業を当事者間で共同経営するための条件を明確化します。この目的条項は契約全体の解釈基準となり、後々のトラブル防止に役立ちます。事業提携や業務提携を検討する際に、まずこの目的を明確にすることが重要です。
第2条(事業の賃貸)- 事業運営権の効果的な移転方法
事業そのものを賃貸するという特殊なビジネスモデルを規定しています。元事業者(甲)が共同経営者(乙)に事業を賃貸し、乙が自己名義で運営することを定めています。また、運営コストは全て乙負担とすることで、責任分担を明確化しています。一般的な店舗賃貸契約とは異なり、事業ノウハウも含めた運営権の移転を意味する重要条項です。
第3条(法令上の手続の履行)- 契約の法的有効性確保
会社法などの法令遵守を確保するための条項です。特に株主総会の特別決議など会社法上必要な手続きを契約発効の条件としており、適法性を担保しています。法的リスクを未然に防ぎ、後から契約無効を主張されるリスクを軽減する効果があります。
第4条(事業種目)- 事業範囲の明確化と競業避止
事業内容を明確に限定し、健全な共同経営関係を維持するための条項です。事業種目を別紙で特定することで明確性を確保し、甲乙合意による変更可能性も残しています。また、共同経営者(乙)に競合事業の禁止を課すことで、利益相反を防止しています。フランチャイズ契約に近い性質を持つこの条項は、事業の一貫性を保護します。
第5条(配当金)- 安定した収益分配の仕組み
利益分配方法を明確に定めています。月額固定金額(●●万円)を甲に支払う固定配当制を採用しており、収益の安定性を確保しています。飲食店や小売業など収益変動が大きい業種でも、甲の安定収入を保証する役割があります。
第6条(保証金)- リスク管理と契約履行保証
契約履行を担保するための保証金について規定しています。金額明示と共に、無利息であること、返還時の相殺条件を明記しています。事業譲渡や共同経営において、不履行リスクを軽減する重要な安全装置となります。
第7条(譲渡禁止)- 契約関係の安定性確保
権利義務の第三者への移転を全面的に禁止する条項です。事業譲渡、転貸、担保設定を禁止することで、信頼関係に基づく契約の安定性を維持します。特に人的信頼関係が重要な共同経営において、関係者の無断変更を防ぐ効果があります。
第8条(中途解約)- 契約終了の柔軟性と保護
甲による一方的解約権と解約条件を定めています。3ヶ月前予告と解約金支払いを条件とすることで、乙の事業継続への期待を一定程度保護しています。ビジネス環境の変化に対応できる柔軟性と、当事者保護のバランスを図った条項です。
第9条(解除)- 契約違反への対応と即時解除事由
契約の即時解除が可能な重大事由を詳細に列挙しています。契約違反、差押え、倒産手続き、手形不渡り、信用失墜行為などが該当し、これらの場合は催告なしで即時解除が可能です。ビジネスリスクから自社を守るための重要な防衛条項となります。
第10条(反社会的勢力の排除)- コンプライアンスと社会的責任
いわゆる暴排条項です。反社会的勢力との関係がないことの相互確約、関係発覚時の解除権、解除に伴う損害賠償請求権の放棄を規定しています。企業の社会的責任を果たし、健全な経営環境を確保するために不可欠な条項です。
第11条(原状回復)- 契約終了時の円滑な移行
契約満了時の店舗明け渡し条件を定めています。原則として原状回復義務を課しつつも、甲の同意があれば造作等の残置も認めるという柔軟な対応を可能にしています。契約終了後のスムーズな事業移行に役立ちます。
第12条(合意管轄)- 紛争解決の効率化
訴訟発生時の管轄裁判所を特定しています。特定地方裁判所を専属的合意管轄とすることで、紛争解決の予測可能性と効率性を高めています。地理的に便利な裁判所を選定することで、訴訟コスト削減にも寄与します。
第13条(契約期間)- 長期的事業関係の構築
契約期間と自動更新の仕組みを規定しています。明示的な不更新の意思表示がない限り自動更新される構造となっており、長期的・安定的な事業関係の構築を促進します。事業計画の長期性を担保する重要な条項です。
第14条(定めなき事項)- 柔軟な問題解決の仕組み
契約書に明記されていない事項の解決方法を定めています。当事者間の誠実な協議によって解決するという協議条項であり、予測不能な事態への対応力を確保します。ビジネス環境の変化に柔軟に対応するための安全弁として機能します。
まとめ
共同経営契約書は、事業提携やフランチャイズ展開、店舗運営の共同化など様々なビジネスシーンで活用できる重要な法的ツールです。上記の各条項を理解し、自社のビジネスモデルに合わせて適切にカスタマイズすることで、安定した共同経営関係を構築することができます。法律の専門家のアドバイスを受けながら、この契約書テンプレートを活用されることをお勧めします。