〔改正民法対応版〕代物弁済契約書(不動産による代物弁済)

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〔改正民法対応版〕代物弁済契約書(不動産による代物弁済)

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【1】書式概要 

 

この代物弁済契約書は、債務者が金銭債務の返済に代えて不動産を債権者に譲渡する際に使用する契約書です。2020年の民法改正に完全対応しており、特に「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」への変更点をしっかりカバーしています。

 

債務者が資金繰りに困難を抱えている場合や、債権者が不動産の取得を望む場合など、双方の合意のもとで金銭債務を不動産で決済する場面で活用できます。本契約書には所有権移転登記の手続き、物件の引渡し、公租公課の負担割合、契約不適合があった場合の対応など、実務上必要な条項をもれなく盛り込んでいます。

 

さらに近年重要性が増している反社会的勢力排除条項も含まれているため、安心して取引を進められるでしょう。債権回収の選択肢として、または債務整理の一環として、この契約書があれば手続きをスムーズに進めることができます。

 

【2】条文タイトル

 

第1条(代物弁済の目的)
第2条(代物弁済の効力)
第3条(物件の引渡し)
第4条(所有権移転登記)
第5条(担保責任)
第6条(公租公課)
第7条(契約不適合責任)
第8条(契約の解除)
第9条(危険負担)
第10条(反社会的勢力の排除)
第11条(秘密保持)
第12条(権利義務の譲渡禁止)
第13条(契約の変更)
第14条(紛争解決)
第15条(管轄裁判所)
第16条(準拠法)

 

【3】逐条解説

 

第1条(代物弁済の目的)

 

この条項では、契約の基本的な目的を明確に定めています。債務者が債権者に対して負っている金銭債務の弁済に代えて、不動産を譲渡することを約束する内容です。

 

例えば、Aさんが建設会社Bに対して3,000万円の債務を負っているものの、資金繰りが厳しい状況で、かわりにAさんが所有するアパートを譲渡することで債務を清算する場合などに適用されます。この条文では「本件債務」と「本件不動産」という用語を定義しており、以降の条文でこれらの用語が繰り返し使用されることで、契約書全体の可読性を高めています。

 

第2条(代物弁済の効力)

 

代物弁済の法的効果を定めた重要な条項です。不動産の所有権移転登記が完了した時点で債務が弁済されたとみなす旨と、その効力は契約締結時に遡って生じることを明記しています。

 

民法482条を引用することで法的根拠を明確にしており、実務上の安定性を確保しています。例えば、契約締結日が4月1日で実際の所有権移転登記が4月20日に完了した場合でも、弁済の効力は4月1日に発生したものとして扱われます。これにより、その間に発生した利息などの計算が明確になります。

 

第3条(物件の引渡し)

 

不動産の物理的な引渡しに関する条項です。「現状有姿」という表現は、物件がその時点での状態のまま引き渡されることを意味し、債権者はその状態を受け入れることになります。

 

また、不動産に関する書類の引渡しも規定しており、これには権利証や固定資産税の納税証明書、設計図面等が含まれます。例えば、マンションであれば管理規約や修繕積立金の資料なども引渡し対象になるでしょう。債権者が不動産を適切に管理し、将来的に処分するためにも、これらの書類は非常に重要です。

 

第4条(所有権移転登記)

 

所有権移転登記の手続きとその費用負担について定めています。通常、登記費用は登録免許税や司法書士報酬などが含まれます。

 

この条項では「速やかに」という表現を用いて登記手続きの時期を定めていますが、実務上は「本契約締結後10営業日以内に」などと具体的な期限を定めることも多いです。また、債務者が登記手続きを怠った場合の対応策として、債権者が代位して登記申請を行う権限(登記委任状の交付など)についても追加で定めることも検討すべきでしょう。

 

第5条(担保責任)

 

物件の瑕疵(かし)に関する担保責任を定めています。ここでの瑕疵とは、主に法的な瑕疵(抵当権などの担保権の存在)を指しています。

 

民法改正により瑕疵担保責任の概念は「契約不適合責任」に変更されましたが、本契約書では両方の概念を使い分けています。法的な瑕疵については従来通り「瑕疵」という用語を用い、物理的な状態の問題については第7条で「契約不適合」として規定しています。例えば、物件に抵当権が設定されていた場合、債務者はその抵当権を抹消する責任を負います。

 

第6条(公租公課)

 

固定資産税や都市計画税などの公租公課の負担割合を定めています。一般的に不動産取引では、契約締結日や引渡し日を基準として日割り計算を行います。

 

例えば、1月1日から12月31日までが課税期間で、年間固定資産税が12万円の物件について、6月30日に契約を締結した場合、前半の6か月分(6万円)は債務者負担、後半の6か月分(6万円)は債権者負担となります。実務上は、すでに債務者が年間分を納付済みの場合、債権者はその清算金を債務者に支払うことになります。

 

第7条(契約不適合責任)

 

改正民法に対応した契約不適合責任の条項です。旧民法の「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更されたことを反映しています。

 

契約不適合とは、引き渡された物件が種類、品質、数量などにおいて契約内容と一致していないことを指します。例えば、「南向き」と説明されていた部屋が実際は「東向き」だった場合や、「70平米」と説明されていた面積が実際は「65平米」だった場合などが該当します。

 

この条項では、債権者の救済手段として、①修補請求、②代替物引渡請求、③不足分引渡請求、④代金減額請求の順で規定しています。特に不動産の場合、修補や代替物の引渡しが難しいケースも多いため、代金減額請求が実質的な救済手段となることが多いでしょう。

 

第8条(契約の解除)

 

契約不適合や瑕疵が重大な場合の契約解除権について定めています。「契約の目的を達成することができない重大な契約不適合または瑕疵」という要件は、些細な問題では契約解除できないことを意味しています。

 

例えば、建物に雨漏りがあるが修繕可能な程度であれば契約解除事由にはなりませんが、建物の基礎部分に重大な欠陥があり住むことができない場合は契約解除事由となります。また、不動産に抵当権が設定されており、その抹消が不可能である場合も契約解除事由となるでしょう。

 

第9条(危険負担)

 

引渡し前に不動産が滅失・損傷した場合のリスク分担を定めています。改正民法では危険負担の原則が変更され、基本的には「債務者主義」が採用されています。

 

例えば、契約締結後、引渡し前に地震で建物が損壊した場合、債権者は代金減額や契約解除を主張できます。ただし、この条項では「民法の規定に従う」としているため、実際には個別事案ごとに民法の解釈を適用することになります。

 

第10条(反社会的勢力の排除)

 

反社会的勢力との関係排除を定める条項です。近年の契約書では標準的に盛り込まれています。

 

この条項では、①両当事者が反社会的勢力に該当しないこと、②反社会的勢力と関係を持たないことを確約し、これに違反した場合の対応として、相手方に報告を求める権利や契約解除権を定めています。例えば、取引相手が暴力団と関係があることが判明した場合、即座に契約を解除できる法的根拠となります。

 

第11条(秘密保持)

 

契約内容や取引に関する情報の秘密保持義務を定めています。不動産取引では、売買価格や債務情報などセンシティブな情報が含まれるため、こうした秘密保持条項は重要です。

 

例えば、債務者が経営難であることが公になると信用不安につながる恐れがあるため、代物弁済という事実自体も秘密として保持される必要があるケースもあるでしょう。ただし、法令に基づく開示(税務調査への対応など)は例外として認められています。

 

第12条(権利義務の譲渡禁止)

 

契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を制限する条項です。代物弁済は当事者間の信頼関係に基づく取引であるため、相手方の承諾なく権利義務を第三者に譲渡することは認められません。

 

例えば、債権者が代物弁済で取得予定の不動産の権利を、引渡し前に第三者に売却することは、この条項によって禁止されます。また、債務者が本契約上の義務を第三者に肩代わりさせることも禁止されます。

 

第13条(契約の変更)

 

契約内容の変更手続きを定めています。口頭での合意だけでなく、書面による変更手続きを要求することで、後々のトラブルを防止する効果があります。

 

例えば、引渡し日を変更する場合や、対象となる不動産の範囲を修正する場合などは、必ず書面で合意することが求められます。実務上は「変更合意書」という形で文書化されることが一般的です。

 

第14条(紛争解決)

 

紛争が生じた場合の解決方法について定めています。まずは当事者間の協議によって解決を図ることを原則としています。

 

この条項は、すぐに訴訟に持ち込むのではなく、まずは話し合いで解決する姿勢を示すものです。例えば、引渡し後に発見された欠陥について、修繕方法や費用負担などを協議によって決定することが想定されています。

 

第15条(管轄裁判所)

 

訴訟になった場合の管轄裁判所を定めています。一般的には、物件所在地を管轄する裁判所や、当事者の住所地または営業所所在地を管轄する裁判所が指定されます。

 

この条項により、遠方の裁判所に訴えられるリスクを回避できます。例えば、東京の不動産について大阪の債権者と契約する場合、管轄裁判所を東京地方裁判所と定めておけば、債権者は原則として東京でしか訴えを提起できなくなります。

 

第16条(準拠法)

 

契約の解釈や効力を判断する際の準拠法を定めています。国際的な取引では特に重要ですが、国内取引でも明記しておくことで法的安定性が増します。

 

例えば、債務者または債権者が外国企業の場合、日本法が適用されることを明確にしておくことで、準拠法に関する争いを事前に防ぐことができます。

 

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