【1】書式概要
この誓約書は、配偶者が不倫や浮気をしてしまった後に、夫婦関係の修復を図るために作成する重要な書面です。不貞行為を行った配偶者が、被害を受けた配偶者に対して今後の行動について明確な約束をし、万が一再び同様の行為を行った場合の責任を明確にするものです。
夫婦間に信頼関係の亀裂が生じた際、口約束だけでは不安が残るものです。この誓約書を活用することで、不貞を行った配偶者の真摯な反省の意思を形に残し、今後の夫婦関係再構築の基盤とすることができます。特に、再発防止への強い意志を示すとともに、万が一の場合の責任の所在を明確にすることで、被害を受けた配偶者の心の安定を図ることが可能になります。
この書式が活用される具体的な場面としては、夫や妻の不倫が発覚した後、離婚ではなく夫婦関係の継続を選択した場合が挙げられます。また、一度不貞行為があったものの、子どもの将来や経済的な事情から婚姻を継続したいと考える夫婦が、今後の関係性について明確なルールを設けたい時にも重宝します。さらに、不倫相手との関係を完全に断ち切らせたい場合や、今後同様の問題が発生した際の対処方法を事前に決めておきたい場合にも効果的です。
改正民法に対応した内容となっており、現在の法制度下での有効性を考慮した構成になっています。夫婦間の信頼回復と将来への安心感を得るための実用的な書式として、多くの方にご活用いただけるものです。
【2】条文タイトル
第1条(誓約)
第2条(慰謝料)
第3条(慰謝料の支払条件)
第4条(離婚の予約)
【3】逐条解説
第1条(誓約)について
この条項は誓約書の核心部分で、不貞行為を行った配偶者が今後の行動について明確な約束をする内容です。単純な謝罪にとどまらず、具体的な相手との関係断絶を明言することで、被害を受けた配偶者への誠意を示します。例えば、職場の同僚と不適切な関係になってしまった場合、「今後一切私的な連絡を取らない」「業務上必要最小限の接触にとどめる」といった具体的な行動指針を含めることが重要です。この条項により、曖昧な約束ではなく明確な行動規範を設定することができます。
第2条(慰謝料)について
不貞行為による精神的損害に対する責任を認める条項です。改正民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求権の根拠を明確にしています。実際の夫婦生活において、不倫による精神的苦痛は計り知れないものがあります。この条項では、そうした被害の存在と加害者としての責任を文書で明確に認めることで、問題の深刻さを再認識させる効果があります。また、将来的に何らかの紛争が生じた際の証拠資料としても重要な意味を持ちます。
第3条(慰謝料の支払条件)について
この条項の特徴は「停止条件付き」という仕組みにあります。つまり、第1条の誓約を守り続けている限りは慰謝料の支払い義務は発生せず、誓約違反があった時点で初めて支払い義務が確定するという構造です。例えば、元不倫相手との連絡を再開したり、新たな不適切な関係を持ったりした場合に条件が成就します。この仕組みにより、継続的な抑制効果を期待できると同時に、夫婦関係の修復期間中に過度な経済的負担を課すことを避けられます。
第4条(離婚の予約)について
民法770条1項1号の「不貞な行為」に該当することを認めた上で、将来的な誓約違反があった場合の離婚予約を定めています。この条項は二重の効果を持ちます。一つは、再び不貞行為に及んだ場合の明確な結果を示すことによる抑制効果です。もう一つは、被害を受けた配偶者が将来的に離婚を選択する際の手続きを簡素化する効果です。実際の運用では、例えば「SNSで異性と親密なやり取りをした」「元不倫相手と会食した」といった行為が誓約違反に該当するかどうかを事前に明確にしておくことが重要になります。