【1】書式概要
この契約書は、チラシやカタログなどの広告物を各家庭のポストに投函するポスティング業務を外部に委託する際に使用する書式です。近年、新聞購読率の低下により新聞折込広告の効果が限定的になったことから、ポスティングによる直接配布が注目を集めています。
多くの企業や個人事業主が自社商品やサービスの宣伝のため、専門のポスティング業者や個人に配布業務を依頼するケースが増加しており、その際に必要となる重要な契約書です。不動産会社が新築物件の案内を配布したい場合、飲食店が開店告知やメニューを近隣住民に知らせたい場合、美容院が割引クーポンを配布したい場合など、様々な業種で活用されています。
この書式では、配布エリアの指定方法、配布枚数に応じた報酬体系、業務時間の制限、禁止事項の明確化など、ポスティング業務特有の条項を詳細に定めています。特に「チラシお断り」表示のある住宅への配布禁止や、複数枚の重ね投函禁止など、実務で問題となりがちな事項についても具体的に規定しています。
改正民法に完全対応しており、個人情報保護や反社会的勢力排除条項も盛り込んだ現代的な内容となっています。Word形式のため、会社名や報酬額、担当エリアなどを簡単に編集でき、すぐに実用できる状態でお渡しします。委託者と受託者双方の権利と義務を明確に定めることで、トラブルの未然防止に役立つ実用的な契約書です。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(委託業務) 第3条(業務遂行) 第4条(業務委託料) 第5条(業務報告) 第6条(配布物の管理) 第7条(担当エリア) 第8条(業務時間) 第9条(禁止事項) 第10条(機密保持) 第11条(権利義務の譲渡禁止) 第12条(損害賠償) 第13条(契約期間) 第14条(解除) 第15条(反社会的勢力の排除) 第16条(残存条項) 第17条(合意管轄) 第18条(協議事項)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条項では契約全体の趣旨を明確にしています。ポスティング業務という特殊な性質を持つ委託関係において、お互いの立場と責任範囲をはっきりさせることで後々のトラブルを防ぐ役割があります。単純に「チラシを配ってください」というだけでは曖昧すぎるため、正式な業務委託契約として位置づけることが重要です。
第2条(委託業務)
委託する業務内容を具体的に定める条項です。ポスティングといっても様々な形態があるため、配布物の種類や配布方法について明確にしておく必要があります。例えば、A4サイズのチラシなのか、冊子タイプのカタログなのかによって作業量も変わってきます。また、別紙仕様書を活用することで、契約書本体を変更することなく詳細な指示を追加できる柔軟性も確保しています。
第3条(業務遂行)
受託者の基本的な義務を定めた条項です。ポスティング業務は一人で行うことが多く、直接的な監督が難しいという特性があります。そのため「誠実に」という文言を入れることで、手抜きや不正行為を防止しています。また、住民とのトラブルが発生した場合の責任の所在を明確にすることで、委託者が巻き込まれるリスクを軽減しています。
第4条(業務委託料)
報酬の計算方法と支払い方法を定める重要な条項です。ポスティング業務では「日当制」と「出来高制」の組み合わせが一般的で、この契約書でもその形を採用しています。例えば、基本日当3,000円プラス1枚あたり2円といった設定が考えられます。源泉徴収についても触れており、税務上の処理も適切に行える仕組みになっています。
第5条(業務報告)
業務の透明性を確保するための報告義務を定めています。ポスティング業務は「本当に配ったのか」という疑念が生じやすい性質があるため、毎日の配布実績を報告させることで品質管理を図ります。報告方法も電話、メール、直接来社など複数の選択肢を用意し、実情に応じて選べるようになっています。
第6条(配布物の管理)
配布するチラシや冊子の取り扱いについて定めた条項です。配布物には企業の機密情報が含まれている場合もあるため、適切な管理を求めています。また、配布しきれなかった分を確実に返却させることで、不正使用や情報漏洩を防いでいます。実際に、余ったチラシが古紙回収に出されて情報が流出したケースもあるため、この点は特に重要です。
第7条(担当エリア)
配布エリアの決定方法と管理について規定しています。効率的な配布のためには地理的な区分けが不可欠で、この条項により重複配布や配布漏れを防ぎます。例えば「A町1丁目から3丁目まで」といった具体的な指定を行うことで、作業の効率化と品質管理を両立させています。
第8条(業務時間)
ポスティング業務特有の時間制限を定めた条項です。早朝や夜間の配布は住民の迷惑になりやすいため、適切な時間帯での作業を義務づけています。一般的には午前9時から午後6時程度が望ましいとされており、この時間外の作業を禁止することで近隣トラブルを防止しています。
第9条(禁止事項)
ポスティング業務でよく問題となる行為を具体的に禁止した条項です。特に重要なのが「ちらし投函お断り」表示の尊重で、これを無視すると不法侵入罪に問われる可能性もあります。また、複数枚の重ね投函は受取人に悪い印象を与えるため、品質管理の観点からも禁止しています。
第10条(機密保持)
業務で知り得た情報の秘匿義務を定めています。ポスティング作業では配布先リストや企業の宣伝戦略に関する情報に触れる機会があるため、これらの情報保護は不可欠です。個人情報保護法への言及により、現代的な情報管理基準にも対応しています。
第11条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位を勝手に第三者に移すことを禁止する条項です。ポスティング業務は信頼関係に基づく契約であり、委託者が想定していない人物に業務を任せることは適切ではありません。この条項により、契約の安定性を確保しています。
第12条(損害賠償)
契約違反があった場合の責任関係を明確にした条項です。例えば、受託者が配布物を故意に廃棄した場合や、委託者が報酬を支払わなかった場合など、具体的な損害が発生した際の賠償責任を定めています。
第13条(契約期間)
契約の有効期間と更新について定めた条項です。ポスティング業務は継続的な関係になることが多いため、自動更新条項を設けることで契約手続きの簡素化を図っています。例えば、3ヶ月契約で特に問題がなければ自動的に6ヶ月延長されるといった仕組みです。
第14条(解除)
契約を途中で終了させる場合の手続きを定めています。軽微な違反については催告による改善機会を与え、重大な違反については即座に解除できる二段階の仕組みを採用しています。破産や営業停止など客観的事実による解除事由も明記し、実務的な対応が可能になっています。
第15条(反社会的勢力の排除)
現代の契約書には欠かせない反社チェック条項です。ポスティング業務でも、反社会的勢力が関与することで企業イメージが損なわれるリスクがあります。詳細な該当事由を列挙することで、実効性のある排除体制を構築しています。
第16条(残存条項)
契約終了後も効力を持続させる条項を指定しています。機密保持や損害賠償などは契約終了後も重要な意味を持つため、この条項により継続的な拘束力を確保しています。
第17条(合意管轄)
万が一の訴訟に備えた管轄裁判所の指定です。ポスティング業務は地域性が強いため、適切な地域の裁判所を指定することで、迅速かつ効率的な紛争解決を可能にしています。
第18条(協議事項)
契約書で想定しきれない事態への対処方針を示した条項です。ポスティング業務は現場で様々な問題が発生する可能性があるため、誠実な話し合いによる解決を原則とすることで、柔軟な問題解決を図っています。
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