【1】書式概要
この「ホームページ保守契約書」は、Web制作会社とクライアント間の保守管理契約を明確に規定する重要な雛型です。長期的なWebサイト運営において不可欠な業務内容や責任範囲を詳細に定め、トラブルを未然に防ぐための完成度の高い文書となっています。
この契約書雛型は、改正民法に対応しており、ドメイン管理、サーバー管理、ID・パスワード管理、バックアップ、ページ更新といった基本的な保守業務から、デザイン制作やプログラミングなどの追加サービスまで幅広く網羅しています。報酬体系、契約期間、秘密保持義務、再委託条件、禁止行為、免責事項など、実務に即した条項が整理されているため、Web制作に関わる方々に安心して利用いただけます。
特に、サービス終了時の処理や権利譲渡、合意管轄などの重要事項も盛り込まれており、後々のトラブル回避に役立ちます。ウェブサイト制作会社やフリーランスのWeb制作者、保守契約を結ぶ企業の担当者にとって、確かな法的根拠に基づいた契約関係を構築するための信頼できるテンプレートです。金額や期間などの空欄部分には、個別の状況に応じた内容を記入するだけで、すぐに実務で活用できます。
〔条文タイトル〕
第1条(業務内容)
第2条(報酬)
第3条(契約期間)
第4条(再委託)
第5条(ID管理)
第6条(禁止行為)
第7条(免責)
第8条(中途解約)
第9条(契約解除)
第10条(契約の終了後の処置)
第11条(不可抗力免責)
第12条(秘密保持)
第13条(権利の譲渡及び質入)
第14条(合意管轄)
【2】逐条解説
前文
契約当事者である「甲」(受託者/Web制作会社)と「乙」(委託者/クライアント)の関係性と契約目的を定義しています。「保守業務」の定義も明確にされており、契約の基本的な枠組みを設定しています。
第1条(業務内容)
保守業務の具体的な内容を5つの項目に分けて詳細に規定しています。ドメイン管理、サーバー管理、ID・パスワード管理、バックアップ(週1回)、ページ更新(原則5営業日以内)など、Web保守において必要な基本業務を網羅しています。特にページ更新に関しては、修正や新規ページ作成、レイアウト変更などの範囲や期限が明確化されており、実務に即した内容です。
第2条(報酬)
報酬体系を明確に規定しています。基本委託料(月額)、ページ修正料、新規ページ作成料などの固定費用と、デザイン制作やプログラム制作などの別途見積もり項目を区別しています。支払条件(月末締め翌月末日銀行振込)や振込手数料の負担(乙負担)も明確です。見積書での別途条件がある場合はそちらが優先される旨も記載されています。
第3条(契約期間)
契約の有効期限と自動更新(1年間)について規定しています。特段の申し出がない限り自動的に延長される仕組みで、継続的な保守業務の安定性を確保しています。
第4条(再委託)
甲が業務の一部または全部を第三者に委託できる条件(乙の事前承諾が必要)を規定しています。業務の柔軟性を確保しつつも、乙の承諾を要件とすることで信頼関係を維持する条項です。
第5条(ID管理)
契約履行に必要なIDやパスワードの管理責任を甲が負うことを規定しています。甲がサーバーへのアクセス権を持ち、厳重に管理する義務を明確にしています。
第6条(禁止行為)
甲乙双方が遵守すべき禁止事項と、乙がサーバー利用において特に遵守すべき禁止事項を規定しています。著作権侵害、誹謗中傷、プライバシー侵害、公序良俗違反、法令違反などの一般的な禁止事項に加え、サーバーに負荷をかける行為やスパムメール送信などの技術的な禁止事項も明確です。
第7条(免責)
甲の責任範囲を限定する条項です。乙の過失によるデータ毀損、サーバーメンテナンスによる一時的な閲覧不能、乙の支払遅延によるドメイン喪失やサーバー閲覧不能、乙の規約違反によるサーバー利用停止などについて甲は責任を負わないことを規定しています。
第8条(中途解約)
契約の解約条件(1ヶ月前までの書面通知)を規定しています。甲乙双方が同条件で解約できる対等な関係性を示しています。
第9条(契約解除)
即時解除が可能となる事由を詳細に規定しています。契約違反、支払停止、差押え、破産等の法的手続き、営業悪化など、重大な信用不安が生じた場合の対応を明確にしています。
第10条(契約の終了後の処置)
契約終了時の債権債務清算とドメイン・サーバー契約の引継ぎ義務、および引継ぎ作業料金について規定しています。契約終了後のスムーズな移行を確保するための重要条項です。
第11条(不可抗力免責)
天災地変や戦争、法令改正、ストライキなど、甲の責に帰さない事由による履行遅滞や不能について免責する条項です。予見不可能なリスクに対する合理的な対応を規定しています。
第12条(秘密保持)
相互の機密情報保護について規定しています。第三者委託時の秘密保持義務の継承や、秘密保持義務の対象外となる情報(既に公知、既に保有、第三者から適法に入手、法令による開示強制)についても詳細に定めています。
第13条(権利の譲渡及び質入)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡・担保提供を制限する条項です。相手方の書面による同意を要件とすることで、契約関係の安定性を確保しています。
第14条(合意管轄)
訴訟発生時の裁判管轄を甲の本店所在地とする合意を規定しています。紛争解決の手続きを明確化することで、不要な争いを防止する効果があります。
締結文
契約書の正本を2通作成し、甲乙がそれぞれ1通ずつ保有することを規定しています。契約締結日と当事者の署名捺印欄も設けられています。