【1】書式概要
この契約書は、結婚式場やホテル、レストランなどのブライダル施設を運営する事業者と、演奏家との間で取り交わすための業務委託契約書です。挙式や披露宴での生演奏を依頼する際に必要となる重要な書面で、お互いの権利義務を明確に定めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
特に近年のブライダル業界では、個性的で思い出に残る演出が求められており、生演奏のニーズが高まっています。しかし、演奏家との契約関係が曖昧だと、当日の演奏内容や報酬面でのトラブルが発生しがちです。この契約書を使用することで、演奏料金の明確化、楽曲選定の方法、衣装規定、代替演奏者の手配方法など、実務上重要なポイントをすべて事前に取り決めることが可能になります。
改正民法にも対応済みで、現在の商取引の実情に合わせて作成されているため、安心してご利用いただけます。Word形式での提供となりますので、お客様の事業内容や取引条件に応じて自由に編集・カスタマイズが可能です。結婚式場の運営会社、ホテルのブライダル部門、レストランウェディングを手がける飲食店、フリーランスの演奏家の方々にとって、実用性の高い契約書として活用いただけるでしょう。
【2】条文タイトル
第1条(定義) 第2条(委託業務) 第3条(業務内容) 第4条(業務実施の基本方針) 第5条(委託料) 第6条(楽曲の選定及び編曲) 第7条(機材及び楽器) 第8条(代替演奏者) 第9条(衣装) 第10条(守秘義務) 第11条(個人情報の取扱い) 第12条(権利義務の譲渡禁止) 第13条(競業避止) 第14条(損害賠償) 第15条(契約期間) 第16条(解約) 第17条(協議事項) 第18条(管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(定義)
契約書の冒頭で使用される専門用語を明確に定義する条項です。ブライダル演奏業務では「本業務」「演奏業務」「顧客」「施設」といった言葉が頻繁に登場するため、後々の解釈の違いを防ぐために詳細に規定しています。例えば「顧客」を新郎新婦に限定するのか、その親族まで含むのかで、打ち合わせの範囲が大きく変わってきます。
第2条(委託業務)
演奏業務を委託する基本的な合意を表明する条項です。シンプルな内容ですが、この条項により委託者と受託者の基本的な役割分担が確定します。
第3条(業務内容)
演奏者が実際に行う業務の具体的な範囲を7項目にわたって詳細に列挙しています。単純な演奏だけでなく、事前の打ち合わせ出席や研修参加、楽譜作成まで含まれているのがポイントです。例えば、新郎新婦が希望する楽曲が特殊な編成の場合、編曲作業も業務に含まれることが明記されています。
第4条(業務実施の基本方針)
演奏者の職業倫理や行動規範を定める条項です。結婚式という人生の重要な節目における演奏ですから、技術的な面だけでなく、適切な態度や服装での参加が求められることを明確にしています。
第5条(委託料)
報酬体系を詳細に規定した最も重要な条項の一つです。挙式と披露宴で料金を分け、さらに追加演奏やリハーサル、打ち合わせにも個別に料金を設定しています。支払い時期や振込手数料の負担者まで明記することで、金銭トラブルを防いでいます。
第6条(楽曲の選定及び編曲)
演奏楽曲の決定プロセスを定める条項です。通常は事前に用意された選曲リストから選択しますが、特別な楽曲を希望される場合の対応方法も規定されています。著作権の問題もあるため、このような手続きが重要になります。
第7条(機材及び楽器)
楽器の準備や管理責任を明確に分担する条項です。会場備え付けのピアノと演奏者持参の楽器で責任の所在が異なることを詳細に規定しています。高価な楽器の損傷トラブルを防ぐために欠かせない条項です。
第8条(代替演奏者)
演奏者が急病などで演奏できなくなった場合の対応を定める条項です。結婚式は一度きりのイベントですから、代替演奏者の手配方法や責任の所在を事前に明確にしておくことが極めて重要です。
第9条(衣装)
演奏者の服装規定を定める条項です。会場の格式や雰囲気に合わせた適切な服装が求められるため、具体的な指示に従う義務と、衣装費用の負担について取り決めています。
第10条(守秘義務)
顧客のプライバシー保護を目的とした条項です。近年のSNS普及により、結婚式の様子が無断で拡散されるトラブルが増えているため、写真・動画の取扱いについても厳格に規定しています。
第11条(個人情報の取扱い)
個人情報保護法に対応した条項です。演奏業務では新郎新婦の連絡先や式の詳細な情報を知り得るため、適切な管理と利用制限を定めています。
第12条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位を第三者に勝手に譲渡することを禁止する条項です。演奏者の技術や人柄を評価して契約するため、無断での代替は認められません。
第13条(競業避止)
演奏者が同業他社で同時に活動することを制限する条項です。ただし、過度な制限は演奏者の生活に支障をきたすため、競合他社の範囲は協議で決定するバランスの取れた内容になっています。
第14条(損害賠償)
契約違反や業務上の過失による損害の賠償責任を定める条項です。結婚式の進行に支障をきたした場合の具体的な責任を明記することで、双方の責任意識を高めています。
第15条(契約期間)
契約の有効期間と自動更新の仕組みを定める条項です。継続的な取引関係を前提として、双方が満足している場合は自動的に更新される仕組みを採用しています。
第16条(解約)
契約の終了方法を定める条項です。通常の解約と重大な契約違反による即時解除の2パターンを規定し、暴力団関係者の排除条項も含まれています。
第17条(協議事項)
契約書に記載のない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定める条項です。訴訟よりもまずは話し合いによる解決を目指す姿勢を示しています。
第18条(管轄裁判所)
万が一の紛争時における裁判所を事前に指定する条項です。どちらの地域の裁判所で争うかを明確にすることで、紛争解決の手続きをスムーズにします。
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