【1】書式概要
この契約書は、賃貸ビルのオーナーが建物管理業者に管理業務を委託する際に必要となる重要な書面です。不動産を所有している方が、日常的なビル管理業務を専門業者に任せる場合、口約束だけでは後々トラブルの原因となりかねません。
改正民法に完全対応したこの契約書テンプレートは、委任者であるビルオーナーと受任者である管理会社との間で取り交わす約束事を明確に定めています。管理業務の範囲、報酬の支払い方法、報告義務、費用の負担など、実際の管理運営で発生しがちな問題を事前に整理できる構成となっています。
Word形式で作成されているため、パソコンで簡単に編集・修正が可能です。金額や期間、具体的な条件など、個別の事情に合わせて自由にカスタマイズできます。印刷してそのまま使用することも、電子データとして保存・共有することも可能です。
賃貸ビルを新規取得した際、既存の管理会社との契約見直し時、管理業務の内容を明確化したい場合など、様々な場面で活用できます。特に複数の物件を所有している不動産投資家や、相続で建物を取得した方には必須の書類といえるでしょう。
【2】条文タイトル
第1条(委任事項) 第2条(委任事務の処理) 第3条(報告義務) 第4条(費用の前払い及び償還) 第5条(再委託) 第6条(報酬) 第7条(契約期間) 第8条(中途解約) 第9条(損害賠償) 第10条(守秘義務) 第11条(反社会的勢力の排除) 第12条(協議事項)
【3】逐条解説
第1条(委任事項)
この条文は契約の根幹部分で、ビルオーナーが所有する賃貸ビルの管理全般を管理会社に委託することを定めています。「管理全般」という表現により、清掃、設備保守、入退去手続き、賃料収納など、ビル運営に必要な幅広い業務が含まれることになります。ただし、具体的な業務内容は別途仕様書で明確化することが実務上重要です。
第2条(委任事務の処理)
管理会社の基本的な義務を規定した重要な条文です。「善良なる管理者の注意義務」とは、その道の専門家として期待される注意深さで業務を行うことを意味します。例えば、建物の不具合を発見した際の迅速な対応や、入居者からの苦情処理などが該当します。また、管理会社が業務を怠った場合の責任も明確にしています。
第3条(報告義務)
透明性の高い管理運営を実現するための条文です。月次報告では、入居状況、収支状況、修繕履歴、クレーム対応状況などが報告されるのが一般的です。オーナーは必要に応じて追加の報告を求めることができるため、物件の状況を常に把握できる仕組みとなっています。
第4条(費用の前払い及び償還)
管理業務で発生する実費の取り扱いを定めています。例えば、緊急修繕や設備更新など、まとまった費用が必要な場合に管理会社が立て替えることができる仕組みです。事前請求制度により、オーナーは予算管理がしやすくなり、管理会社も資金繰りの負担を軽減できます。
第5条(再委託)
管理会社が清掃業者や設備保守業者など第三者に業務を外注する場合のルールです。事前承認制により、オーナーは実際の作業者を把握でき、品質管理にも関与できます。ただし、再委託をしても管理会社の責任は継続するため、オーナーの保護が図られています。
第6条(報酬)
管理会社への対価支払いに関する条文です。月額固定制が一般的で、消費税は別途という記載により税込・税抜の混同を防げます。支払いサイクルも明確化されており、管理会社の安定した経営と継続的なサービス提供が期待できます。
第7条(契約期間)
契約の有効期間と更新方法を定めています。自動更新条項により、双方が満足している場合は煩雑な手続きなしに契約継続が可能です。一方で、3ヶ月前の事前通知により、計画的な契約終了も可能としています。
第8条(中途解約)
契約期間中の解約手続きを規定しています。3ヶ月の予告期間により、双方が新しい体制への移行準備を行えます。オーナーが一方的に解約した場合の損害賠償請求権も定めており、管理会社の利益保護も図られています。
第9条(損害賠償)
管理会社の過失による損害が発生した場合の責任関係を明確化しています。例えば、管理会社の不注意で水漏れが拡大した場合などが該当します。一方で、自然災害など不可抗力による損害は免責とされており、現実的な責任分担となっています。
第10条(守秘義務)
管理業務で知り得た情報の機密保持を定めています。入居者の個人情報、建物の収支状況、オーナーの投資戦略など、センシティブな情報が対象となります。契約終了後も継続する義務として規定されており、情報漏洩リスクを最小限に抑えています。
第11条(反社会的勢力の排除)
近年の社会情勢を反映した重要な条文です。暴力団関係者との契約を未然に防ぎ、発覚した場合の即座の契約解除を可能としています。不動産業界では特に重要視される条項で、健全な取引環境の維持に寄与します。
第12条(協議事項)
契約書に記載のない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。まずは当事者間の誠実な話し合いによる解決を目指す姿勢を示しており、円満な契約関係の維持に資する条文です。
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