基本契約書
第1条(目的)
この条文は契約全体の理念を示す重要な規定です。企業と選手の関係を一方的なスポンサーシップではなく、相互利益を追求するパートナーシップとして位置づけています。企業は選手の競技力向上を支援し、選手は企業の事業発展に協力するという互恵的な関係を明確にしています。
第2条(前提条件)
マネジメント会社が選手を代理して契約を締結する権限を有することを確認する条文です。スポーツ界では選手本人ではなくマネジメント会社が契約手続きを行うことが一般的で、後日の権限争いを防ぐために重要な規定となっています。
第3条(定義)
契約書で使用される重要な用語を定義しています。パフォーマンスサポートには施設利用から栄養指導まで幅広いサービスが含まれ、アドバイザリー業務では選手の経験を活かした商品開発への助言などが想定されています。
第4条(基本契約と個別契約)
包括的な基本契約と具体的な個別契約の関係を整理しています。基本契約で大枠を定め、個別の業務については都度詳細な契約を締結する仕組みです。個別契約の内容が優先されることで、柔軟な対応が可能になります。
第5条(パフォーマンスサポートの提供)
企業が選手に提供するサポートについて定めています。選手のスケジュールや体調への配慮、関係する規制の遵守など、選手の競技活動を最優先にする姿勢を示しています。
第6条(施設利用)
企業が保有するトレーニング施設等の利用について規定しています。利用規則の遵守義務や事故発生時の報告義務など、安全管理の観点から重要な内容が含まれています。
第7条(サプリメント・医薬品等の提供)
アンチ・ドーピング規程への配慮が特に重要な条文です。近年、意図しないドーピング違反が問題となっており、企業側の確認義務と選手側の使用義務を明確にしています。
第8条(アドバイザリー業務)
選手が企業に対して提供するアドバイス業務について定めています。選手の経験や知見を活かした商品開発への助言などが想定され、企業にとって貴重な情報源となります。
第9条(広告宣伝活動)
選手の広告宣伝活動への参加について規定しています。選手の競技スケジュールへの配慮や、ブランドイメージを損なわない行動の義務など、双方の利益を保護する内容となっています。
第10条(肖像権等の使用許諾)
選手の肖像権使用について詳細に定めた重要な条文です。使用目的、媒体、地域、期間を明確に限定することで、権利の乱用を防いでいます。選手のイメージ保護にも配慮されています。
第11条(競合避止)
企業の投資を保護するため、競合他社との契約を制限する条文です。ただし、既存契約は除外されており、選手の既得権益にも配慮されています。
第12条(対価)
報酬の支払いについて定めています。消費税の取扱いや支払方法を明確にし、振込手数料を企業負担とすることで、選手の受取額を保護しています。
第13条(経費負担)
各種経費の負担区分を明確にしています。交通費や宿泊費は企業負担とし、その他の経費は協議により決定する柔軟な仕組みとなっています。
第14条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を禁止しています。個人的な信頼関係に基づく契約の性質を保護する重要な規定です。
第15条(再委託の禁止)
マネジメント会社が業務を第三者に再委託することを原則禁止しています。契約の履行責任を明確にし、サービスの質を保証するためです。
第16条(秘密保持)
双方が知り得た秘密情報の保護について定めています。3年間の存続期間を設けることで、契約終了後も一定期間の保護を確保しています。
第17条(個人情報の取扱い)
個人情報保護規程に基づく適切な取扱いを義務づけています。選手のプライバシー保護は現代の契約において不可欠な要素です。
第18条(反社会的勢力の排除)
コンプライアンスの観点から反社会的勢力との関係を排除する条文です。企業・選手双方の社会的信用を保護するために重要な規定です。
第19条(契約期間)
1年間の契約期間と自動更新の仕組みを定めています。3ヶ月前の更新拒絶通知により、双方に十分な準備期間を与えています。
第20条(優先的交渉権)
契約期間満了時の優先的交渉権について定めています。企業の投資を保護しつつ、選手の選択の自由も確保するバランスの取れた規定です。
第21条(解除)
契約違反や支払不能等の場合の解除権について定めています。催告期間を設けることで、軽微な違反による即座の解除を防いでいます。
第22条(契約終了後の措置)
契約終了時の後処理について定めています。資料の返還や肖像権使用の停止など、権利関係を明確に整理しています。
第23条(損害賠償)
契約違反による損害賠償について定めています。通常損害に限定することで、過度な賠償責任を避けつつ、故意・重過失の場合は例外とする合理的な規定です。
第24条(不可抗力)
天災等の不可抗力による履行不能について定めています。予見不可能な事態への対応を事前に取り決めることで、紛争を防止しています。
第25条(協議解決)
契約の解釈について疑義が生じた場合の解決方法を定めています。まずは当事者間の誠実な協議による解決を図る姿勢を示しています。
第26条(準拠法)
日本の国内契約であることを明確にしています。外国企業や外国人選手との契約でも日本の規範が適用されることを確認しています。
第27条(管轄裁判所)
紛争が生じた場合の管轄裁判所を定めています。専属的合意管轄とすることで、裁判所の重複や混乱を防いでいます。
個別契約書
第1条(目的)
基本契約に基づく具体的なイベント出演について定めています。基本契約の広告宣伝活動条項を受けて、個別の出演業務を明確にしています。
第2条(イベント出演)
出演するイベントの詳細を具体的に定めています。日時、場所、出演内容、撮影の有無など、現場で混乱が生じないよう詳細な取り決めが行われています。
第3条(出演料)
イベント出演に対する対価を定めています。消費税の取扱いや支払方法、振込手数料の負担者を明確にし、金銭トラブルを防止しています。
第4条(経費負担)
出演に関する各種経費の負担区分を明確にしています。交通費、宿泊費、衣装代など、必要な経費を企業が負担することで、選手の負担を軽減しています。
第5条(中止・変更)
不可抗力による中止や選手の体調不良による変更について定めています。リスク分担を明確にし、やむを得ない事情への対応を事前に取り決めています。
第6条(運営協力)
イベントの円滑な運営のための協力義務を定めています。選手側の協力義務と企業側の準備義務を明確にし、成功的なイベント実施を図っています。
第7条(撮影・録音)
イベントの記録のための撮影・録音について定めています。著作権の帰属や使用範囲を明確にし、後日の権利関係の争いを防いでいます。
第8条(第三者の撮影・録音)
報道機関等による撮影・録音の管理について定めています。選手のイメージ保護と報道の自由のバランスを取った規定となっています。
第9条(安全管理)
イベント実施時の安全管理について定めています。企業の安全管理義務と緊急時の対応手順を明確にし、事故防止に努めています。
第10条(契約の解除)
個別契約の解除について定めています。重大な違反がある場合の解除権を認めつつ、催告期間を設けることで軽微な違反による解除を防いでいます。
第11条(本基本契約の適用)
個別契約に定めのない事項は基本契約に従うことを明確にしています。基本契約と個別契約の関係を整理し、契約の一体性を保っています。