【1】書式概要
この契約書は、ゴルフクラブの会員権を債務の担保として活用するための専門書式です。金融機関や貸金業者が融資を行う際、または商取引において信用供与を行う場合に、借主が所有するゴルフクラブ会員権を担保として設定することで、債権の保全を図ることができます。
近年、ゴルフクラブ会員権は資産価値の高い担保物件として注目されており、特に高額な融資や長期間の取引において重要な役割を果たしています。この書式は改正民法にも対応しており、現在の制度に適合した内容となっています。
実際の使用場面としては、中小企業の運転資金調達時にゴルフクラブ会員権を担保提供する場合や、個人事業主が設備投資資金を借り入れる際の担保設定、さらには商品の掛け売りや継続的な商取引における信用保証の手段として活用されています。また、既存の借入金の借り換えや追加融資の際にも、この担保設定により有利な条件での資金調達が可能になることがあります。
この書式はWord形式で提供されるため、パソコンで簡単に編集が可能です。当事者名や会員権の詳細、管轄裁判所など、具体的な取引内容に応じて自由にカスタマイズしていただけます。専門的な知識がなくても、必要な箇所を入力するだけで適切な契約書が作成できる実用性の高い書式となっています。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(保証) 第3条(担保物件の処分) 第4条(費用の負担) 第5条(担保権の解除) 第6条(契約費用) 第7条(協議事項) 第8条(合意管轄)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文は契約の根幹を定めるものです。借主が債権者に対して負担する現在および将来の債務を担保するため、ゴルフクラブ会員権を譲渡担保として提供することを明確にしています。ここでいう債務には、商取引上の売掛金や手形債務、さらには金銭消費貸借契約に基づく借入金などが含まれます。
譲渡担保の効力を確実にするため、内容証明郵便による通知とともに、預託証書や名義書換に必要な書類の引き渡しを求めています。例えば、月商1000万円の製造業者が運転資金500万円を借り入れる際に、3000万円相当のゴルフクラブ会員権を担保として提供するような場合に適用されます。
第2条(保証)
会員権に他の担保権が設定されていないことを借主が保証する条文です。既に他の債権者が同じ会員権に対して担保権を設定している場合、後から設定された担保権は劣後することになるため、この保証は極めて重要です。
実際のケースでは、借主が複数の金融機関から融資を受けており、同一の会員権に重複して担保設定を行おうとする場合があります。この条文により、そのような事態を防止し、担保権者の地位を保護しています。
第3条(担保物件の処分)
担保権を実行できる事由を具体的に列挙した条文です。単純な債務不履行だけでなく、手形の不渡りや破産申立、差押えなどの信用不安事由も含まれています。特に注目すべきは、反社会的勢力との関係についても処分事由として明記されている点です。
例えば、借主企業が2回の手形不渡りを出した場合、銀行取引停止処分となる前に担保権を実行できるよう配慮されています。また、民事再生手続の申立があった場合でも、速やかに担保権を実行することで債権回収を図ることが可能です。
第4条(費用の負担)
担保権実行に要する諸費用を借主が負担することを定めています。ゴルフクラブ会員権の名義書換には通常数万円から数十万円の費用がかかるため、この負担関係を明確にしておくことが重要です。
実務上は、担保権実行時の売却手数料、名義書換料、登録免許税などが対象となります。これらの費用は最終的に回収額から差し引かれるため、借主にとっては実質的な負担となります。
第5条(担保権の解除)
債務が完済された場合の担保権解除手続きを定めています。通常の弁済による場合と、債務不履行後でも売却前に完済された場合の両方を想定しています。
例えば、借入金1000万円に対して2000万円相当の会員権を担保提供していた場合、完済時には会員権は借主に戻されます。また、一時的に返済が滞った場合でも、売却手続きが完了する前に完済すれば担保権は解除されます。
第6条(契約費用)
契約書作成にかかる費用負担を定めています。通常は印紙代や公証人手数料などが想定されますが、当事者間で別途取り決めがない限り、それぞれが負担することになります。
実際の取引では、融資額に応じて印紙税が発生し、例えば500万円の融資契約であれば2000円の印紙が必要です。また、公正証書を作成する場合には、その手数料も考慮する必要があります。
第7条(協議事項)
契約書に記載されていない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。まずは当事者間での協議による解決を図ることを基本としており、訴訟に発展する前の段階での円満解決を目指しています。
実務では、担保価値の評価方法や売却時期について当事者間で意見が分かれることがあります。このような場合、まずは話し合いによる解決を試みることで、双方にとって納得のいく結果を得られる可能性があります。
第8条(合意管轄)
契約に関する紛争が発生した場合の裁判管轄を定めています。専属的合意管轄とすることで、他の裁判所に訴訟を提起することを排除し、紛争解決の迅速化を図っています。
例えば、東京に本店を置く会社が大阪の会員権を担保として提供する場合、通常であれば大阪地方裁判所が管轄となりますが、この条文により合意した裁判所での解決が可能となります。これにより、債権者にとって利便性の高い紛争解決が期待できます。
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