【1】書式概要
カーシェアリング事業者向けの包括的な利用規約テンプレートです。本テンプレートは、カーシェアリングサービスの提供に必要な法的枠組みを網羅し、会員と事業者間の権利義務関係を明確に定めています。
このテンプレートは、民法改正に対応した最新の内容となっており、カーシェアリング事業の立ち上げや規約の見直しを検討している事業者に最適です。会員資格、予約・使用手続き、料金体系、車両管理、事故対応、違反処理など、カーシェアリング事業運営に必要な全ての側面をカバーしています。
特に、カーシェアリング特有の課題である駐車違反の処理や返還遅延、車両の故障・事故対応などについて詳細な規定を設けており、トラブル発生時の対応をスムーズに行うための指針となります。また、反社会的勢力の排除条項や管轄裁判所の規定など、法的リスク管理の観点からも充実した内容となっています。
事業規模や地域特性に合わせて、料金や補償内容など一部カスタマイズが必要な箇所には「●●●」と記載されており、各事業者の状況に応じた調整が可能です。このテンプレートを基に、自社のカーシェアリングサービスに適した利用規約を効率的に作成することができます。
〔条文タイトル〕
第1条(規約の適用)
第2条(入会資格)
第3条(入会契約の締結等)
第4条(料金等)
第5条(保証事項)
第6条(登録運転者の変更等)
第7条(契約の解除)
第8条(不可抗力事由による契約の中途終了)
第9条(入会契約の有効期間)
第10条(予約・使用手続き)
第11条(貸し渡し手続き等)
第12条(返還の請求等)
第13条(個別契約の終了)
第14条(日常点検整備等)
第15条(管理責任)
第16条(禁止行為)
第17条(借受時間内の運転者)
第18条(ペナルティ料金)
第19条(駐車違反の場合の処置等)
第20条(賠償責任)
第21条(事故処理)
第22条(保険および補償)
第23条(故障・汚損・臭気による処置等)
第24条(不可抗力事由による免責)
第25条(予約の取り消し等)
第26条(カーシェアリング車両の返還手続き)
第27条(カーシェアリング車両の返還時期)
第28条(カーシェアリング車両返還場所変更違約料)
第29条(カーシェアリング車両が返還されない場合の処置)
第30条(遺留品の取扱い)
第31条(カーステーションの移転・閉鎖)
第32条(反社会的勢力等の排除)
第33条(管轄裁判所)
【2】逐条解説
第1条(規約の適用)
この条文では規約の適用範囲と優先順位を定めています。カーシェアリングシステムを利用する際の基本的な契約関係を明確にし、本規約と貸渡規約等との優先関係、さらに規約改定の手続きについて規定しています。
第2条(入会資格)
会員となるための資格要件を規定しています。個人・法人共に申込可能ですが、運転免許の有無や未成年者の同意、支払い手段の有効性、過去の契約違反歴など、会員資格を制限する条件を詳細に列挙しています。
第3条(入会契約の締結等)
入会契約の申込方法、成立時期、登録運転者の限定と届出、運転免許証等の確認手続きについて規定しています。特に法令に基づく本人確認義務の履行方法を明確にしています。
第4条(料金等)
料金の定義と周知方法、料金改定の手続きについて規定しています。料金表の改定には14日前の告知を必要とすることで、会員への不意打ちを防止しています。
第5条(保証事項)
会員および登録運転者が車両利用時に保証すべき事項を規定しています。運転資格の保有、飲酒運転の禁止、健康状態の確認、交通法規の遵守など、安全運転のための基本的な項目を保証事項としています。
第6条(登録運転者の変更等)
登録運転者の変更手続きについて簡潔に規定しています。変更には事業者の承認が必要であることを明確にしています。
第7条(契約の解除)
事業者側からの契約解除事由を列挙しています。支払遅延、契約違反、破産申立、他の会員への迷惑行為など、具体的な解除事由と、解除時の債務の期限の利益喪失について規定しています。
第8条(不可抗力事由による契約の中途終了)
天災地変などの不可抗力による契約終了と、それによる損害の免責について規定しています。事業者の責に帰さない事由による契約終了の取扱いを明確にしています。
第9条(入会契約の有効期間)
入会契約の期間(1年)と自動更新の条件を規定しています。期間満了の2ヶ月前までに申出がなければ自動更新される仕組みとなっています。
第10条(予約・使用手続き)
車両予約の申込方法、予約変更手続き、車両使用不能時の対応について規定しています。特に予約変更が多数回に及ぶ場合の予約解約権限を事業者に付与しています。
第11条(貸し渡し手続き等)
個別契約の成立時期、予約キャンセルの条件、車両が貸し出せない場合の対応について規定しています。予約成立後であっても不可抗力の場合には予約解約できることを明確にしています。
第12条(返還の請求等)
会員または登録運転者が規約に違反した場合の車両返還請求権について規定しています。事業者は通知・催告なしに返還を請求できる権利を有します。
第13条(個別契約の終了)
借受時間中の契約終了条件、不可抗力や事故による契約終了、代替車両の提供等について詳細に規定しています。特に会員の責に帰する事由による事故の場合の料金支払義務を明確にしています。
第14条(日常点検整備等)
車両借受時の点検義務、損傷等の確認義務、異常発見時の対応について規定しています。点検により使用不能となった場合の対応も含みます。
第15条(管理責任)
車両の使用・保管における注意義務、装備品の確保責任、管理責任の開始・終了時期について規定しています。善良な管理者の注意義務を基準としています。
第16条(禁止行為)
車両使用中の禁止行為を詳細に列挙しています。運送事業目的での使用、転貸、改造、競技使用、法令違反、ペット同乗、喫煙など具体的な禁止事項を明確にしています。
第17条(借受時間内の運転者)
同乗する他の登録運転者に運転させる場合の責任関係を規定しています。契約締結者が責任を負うことを明確にしています。
第18条(ペナルティ料金)
保険適用外の車両修復費用や緊急対応費用に関するペナルティ料金について規定しています。詳細は別途定める料金表等に委ねています。
第19条(駐車違反の場合の処置等)
駐車違反が発生した場合の対応手続き、反則金の納付義務、違反処理の確認方法、違約金、放置違反金の事業者負担時の求償権など、駐車違反に関する詳細な規定を設けています。
第20条(賠償責任)
車両使用による損害の賠償責任、車両損傷時の営業補償(ノンオペレーションチャージ)について規定しています。会員の責に帰さない場合を除外しています。
第21条(事故処理)
事故発生時の対応義務、保険会社への書類提出、第三者との示談時の事前承諾、修理工場の指定など、事故対応の具体的手続きを規定しています。
第22条(保険および補償)
車両に適用される保険・補償の限度額、限度額超過分の会員負担、保険適用外となる場合について規定しています。対人・対物・車両・人身傷害の各補償限度額を明記しています。
第23条(故障・汚損・臭気による処置等)
車両の異常・故障発見時の対応、会員の過失による汚損・臭気等の場合の費用負担、故障等による車両使用不能の損害賠償免責について規定しています。
第24条(不可抗力事由による免責)
天災地変等による車両返還遅延や貸し渡し不能の場合の免責事項を規定しています。不可抗力の場合の連絡義務も定めています。
第25条(予約の取り消し等)
会員都合による予約取消時の取消手数料について規定しています。詳細は料金表に委ねています。
第26条(カーシェアリング車両の返還手続き)
車両返還手続きの完了方法、返還時の車両状態、損傷等発見時の連絡義務、遺留品の扱いについて規定しています。
第27条(カーシェアリング車両の返還時期)
返還期限、早期返還時の料金返還不可、延長手続きと未承諾延長時の追加料金について規定しています。
第28条(カーシェアリング車両返還場所変更違約料)
無断での返還場所変更禁止と、違反時の違約料計算方法について規定しています。回送費用に一定の係数を乗じる計算式を採用しています。
第29条(カーシェアリング車両が返還されない場合の処置)
長時間の未返還や乗り逃げ時の対応措置、損害賠償や回収費用の負担について規定しています。刑事告訴や情報登録等の対応も含みます。
第30条(遺留品の取扱い)
車両内の遺留品に関する免責事項を規定しています。事業者は遺留品の回収・紛失について責任を負わないことを明確にしています。
第31条(カーステーションの移転・閉鎖)
カーステーションの移転・閉鎖手続きを規定しています。14日前の告知を必要としています。
第32条(反社会的勢力等の排除)
反社会的勢力の排除条項を詳細に規定しています。暴力団員等との関係性や、威力・脅迫的言動の禁止など具体的に列挙しています。
第33条(管轄裁判所)
紛争発生時の管轄裁判所を事業者の本店所在地とすることを規定しています。訴訟の際の裁判管轄を明確にしています。