最後に、訴訟を望んでいるわけではなく、誠意ある対応があれば柔軟に対処する用意があることを伝えます。これにより、相手に「今なら和解のチャンスがある」と思わせ、前向きな対応を引き出しやすくなります。
【3】活用アドバイス
この書式を活用する際は、まず証拠の収集が最も重要です。相手の投稿をスクリーンショットで保存し、投稿日時が分かるようにしておきましょう。自分の作品の公開日時を証明できる投稿履歴やタイムスタンプも準備しておくと安心です。
書式の各項目は、自分のケースに合わせて具体的に書き換えてください。特に「令和〇年〇月」といった日付や「〇〇〇〇」といった作品名は、正確に記入することが大切です。曖昧な表現ではなく、できるだけ具体的な事実を記載しましょう。
賠償金額の設定は慎重に行ってください。あまりに高額すぎると相手が応じにくくなり、逆に低すぎると問題の重大性が伝わりません。一般的には、精神的苦痛に対する慰謝料として3万円から10万円程度、商業利用があった場合はその利益相当額を上乗せする形が現実的です。
この文書を送付する前に、可能であれば一度SNSのダイレクトメッセージなどで穏便に削除を依頼してみるのも一つの方法です。それでも対応がない場合に、この正式な請求書を送ることで、段階を踏んだ対応をしたことが記録に残ります。
送付方法は、内容証明郵便を利用すると「いつ・どんな内容を送ったか」が公的に証明されるため、後々の証拠として有効です。ただし、まずは普通郵便やメールで送り、反応を見てから内容証明にステップアップする方法もあります。
【4】この文書を利用するメリット
この文書を使用する最大のメリットは、専門知識がなくても相手に対して本格的な請求ができる点です。弁護士に依頼すると初期費用だけで数万円かかることもありますが、このテンプレートを使えば自分で対応できるため、コストを大幅に抑えられます。
また、正式な書式を使うことで相手に「この人は本気だ」と思わせる心理的効果があります。SNS上での口頭でのやり取りでは軽く見られがちですが、住所や連絡先が明記された文書が届けば、相手も事の重大性を認識せざるを得ません。
さらに、この文書は削除要請だけでなく、金銭的な補償も求める内容になっているため、精神的な苦痛や失われた機会に対する正当な対価を得るチャンスにもなります。特に相手が商業利用していた場合、その利益の一部を取り戻すことができる可能性があります。
万が一、この請求書を送っても相手が応じない場合でも、この文書は訴訟を起こす際の重要な証拠となります。「事前に請求したが応じなかった」という事実が、裁判での有利な材料になるのです。
Word形式で編集可能なため、一度作成すれば今後同様のトラブルが発生した際にも繰り返し使用できます。クリエイターとして活動を続ける上で、自分の権利を守るための「お守り」として持っておくと安心です。