〔拒否例文〕発信者情報開示請求に係る意見照会書に対する回答書

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〔拒否例文〕発信者情報開示請求に係る意見照会書に対する回答書

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【1】書式概要

 

 

この文書は、SNSや匿名掲示板などで投稿した内容について、相手方から「発信者情報開示請求」を受けた際に、開示に同意しない旨を回答するための書式です。インターネット上で飲食店のレビューを書いたり、職場のパワハラについて告発したり、芸能人や政治家について意見を述べたりした場合、投稿された側から「名誉毀損だ」「プライバシー侵害だ」として開示請求されることがあります。そんな時、プロバイダーや運営会社から「意見照会書」という書類が届き、開示に同意するかどうか意見を求められます。

 

 

この書式は、そうした場面で「開示には同意しません」と回答するための5つの具体的なパターンを収録しています。飲食店への批判投稿、パワハラの告発、友人のプライバシー暴露、政治家への批判、芸能人への辛口コメントといった、よくあるケースごとに、どのような理由で開示を拒否できるのかを具体的に説明した回答書の例文を用意しました。

 

 

Word形式で提供されるため、ご自身の状況に合わせて内容を編集・修正することが可能です。専門的な知識がなくても、本人目線で書かれた文章をそのまま使えるので、弁護士に依頼せずとも自分で対応することができます。突然届いた開示請求に慌てることなく、冷静に、そして適切に対応するための実用的なツールです。

 

 

 


【2】解説

 

発信者情報開示請求とは何か

 

 

インターネット上で誰かに批判的な投稿をすると、その相手から「誰が書いたのか教えろ」と請求されることがあります。これが発信者情報開示請求です。通常、SNSや掲示板は匿名で利用できますが、運営会社は投稿者のIPアドレスなどの情報を持っています。相手がこの情報を開示するよう求めてきた場合、運営会社は投稿者本人に「開示に同意しますか?」と意見を聞いてきます。この時に提出するのが意見照会書への回答です。

 

 

開示請求が認められると、最終的に氏名や住所が相手に知られることになり、損害賠償請求や刑事告訴をされる可能性があります。だからこそ、開示に同意するかどうかは慎重に判断する必要があります。ただし、開示請求されたからといって必ず開示されるわけではありません。投稿内容が違法でなければ、開示を拒否することができるのです。

 

 

第1 本件開示請求に対する意見

 

まず冒頭で「発信者情報の開示には同意いたしません」と明確に意思表示します。これが回答書の結論部分です。開示に同意するかしないかを曖昧にせず、はっきりと示すことが重要です。その上で「以下、その理由を述べます」として、なぜ開示すべきでないのかを詳しく説明していく構成になっています。

 

 

第2 開示に同意しない理由

 

ここが回答書の本体部分で、開示を拒否する具体的な理由を述べていきます。この書式では5つの異なる事例パターンに応じて、それぞれ適切な理由が記載されています。

 

 

事例1:飲食店への批判投稿の場合

1. 本件投稿の性質について

飲食店に対して「まずい」「汚い」と書いた投稿について、これは個人的な意見や感想であって、具体的な事実を述べたものではないことを説明します。例えば「食中毒が出た」と書けば事実の指摘ですが、「まずい」というのは味覚の問題で人によって違います。このような主観的評価は消費者の正当な権利として認められるべきものです。

 

 

2. 名誉毀損には当たらないと考える理由

名誉毀損が成立するには、具体的な事実を書くことが必要です。裁判でも、単なる意見や評価は名誉毀損にならないとされています。また、一個人の口コミだけでお店の評価が大きく下がるとは考えにくく、飲食店への批判は日常的に行われているものです。さらに、消費者が他の人に情報提供する目的は公共性があり、実際に来店して感じた感想は嘘ではありません。

 

 

3. 表現の自由と消費者の権利について

憲法で保障される表現の自由や、消費者が情報を共有する権利の重要性を指摘します。口コミやレビューは消費者にとって大切な情報源であり、こうした情報交換を過度に制限すれば社会全体の不利益になります。主観的な感想まで開示請求の対象にすると、消費者が正当な意見を言えなくなってしまいます。

 

 

4. 開示する必要はないと考える理由

お店側には、SNSで反論したり、サービスを改善したり、良い評価を増やすなど、他の対応方法があるはずです。個人情報の開示はプライバシーへの重大な侵害であり、明らかな権利侵害がある場合に限るべきです。

 

 

事例2:パワハラ告発の場合

1. 投稿内容は真実に基づいている

パワハラの事実を具体的に説明します。自分が目撃したこと、被害者から聞いた話、録音データの存在など、客観的な証拠があることを示します。嘘や根拠のない誹謗中傷ではないことを強調します。

 

 

2. パワハラ告発は公共の利害に関わる重要な問題である

パワハラは社会全体の問題であり、告発することは公益につながります。真実に基づく事実を公共の利益のために公表した場合、たとえ名誉毀損に該当しても違法性が認められないという考え方があります。

 

 

3. 公益目的で投稿した

個人攻撃ではなく、パワハラの現状を変えたい、被害者を減らしたいという思いから投稿したことを説明します。社内で相談しても改善されなかったため、やむを得ずSNSで問題提起したという経緯を述べます。

 

 

4. 名誉毀損には当たらないと考える理由

真実性があること、公共性と公益目的があること、表現方法も必要な範囲内であることを主張します。

 

 

5. 開示する必要性がない

匿名で告発したのは、実名だと報復を受ける恐れがあったためです。内部告発者の保護という観点からも、開示は問題があると指摘します。

 

 

事例3:友人のプライバシー暴露の場合

1. プライバシー侵害には当たらないと考える理由

本人が既に公開している情報や、多くの人が知っている事実を書いたに過ぎず、秘密を暴露したわけではないことを説明します。プライバシーとして保護されるのは、一般に知られていない情報です。本人がSNSで公開していたり、友人関係で話していたりする内容は、プライバシーの対象ではありません。

 

 

2. 名誉毀損には当たらないと考える理由

離婚経験があることや夜に出かけることは、それ自体が人格を否定するものではありません。現代社会では離婚も珍しくなく、それだけで評価が下がるとは言えません。また、本人が公開している情報に基づいた内容であり、嘘を書いたわけではありません。

 

 

3. 表現の自由との関係

友人の行動について感想を述べることは、表現の自由として認められる範囲です。本人が公開している情報について意見を述べることまで制限されると、日常的なコミュニケーションができなくなってしまいます。

 

 

事例4:政治家への批判の場合

1. 批判の対象が公人(政治家)である

政治家は一般人よりも強い批判を受ける立場にあります。政治家の活動は税金で賄われ、国民生活に大きな影響を与えるからです。裁判でも、公人への批判については表現の自由を重視し、名誉毀損のハードルが高く設定されています。民主主義社会では、国民が政治家を監視し批判することが極めて重要です。

 

 

2. 投稿内容は報道や公開情報に基づいている

「税金を使って遊び歩いている」という表現は、視察名目での海外出張が頻繁だという報道や、その成果が不明瞭という指摘に基づいています。確かに誇張表現かもしれませんが、完全な嘘ではなく、報道や公開情報をもとに意見を述べたものです。

 

 

3. 公共の利害に関する重要な問題である

政治家の税金の使い方は国民にとって重要な関心事です。個人攻撃ではなく、政治家としての資質や税金の使途について疑問を呈したものであり、表現の自由によって保護されるべきです。

 

 

4. 意見表明や論評の範囲である

「投票する価値なし」「辞職しろ」という表現は確かに強いですが、政治家に対する評価や要求を述べたものであり、政治的言論として許容される範囲です。少し過激だからといって直ちに違法とされてしまうと、国民は政治家を批判できなくなります。

 

 

5. 真実性または真実相当性がある

報道や公開情報に基づいており、それを信じるに足りる相当な理由がありました。たとえ完全に正確でなくても、真実だと信じる合理的理由があれば、名誉毀損は成立しないとされています。

 

 

6. 名誉毀損には当たらないと考える理由

公人への批判、公共の利害に関する事項、公益目的、真実相当性、論評の範囲という要件を満たす場合、違法性は認められません。

 

 

7. 開示の必要性がない

政治家への批判まで開示請求の対象にすると、国民が批判を萎縮してしまい、民主主義の根幹が揺らぎます。政治家はSNSや記者会見で反論できるはずです。

 

 

事例5:芸能人への批評の場合

1. 投稿の内容と意図について

「見た目も中身も終わってる」という表現は感情的でしたが、芸能人としてのパフォーマンスや活動に対する個人的な感想であり、人格そのものを否定する意図はなかったことを説明します。

 

 

2. 芸能人は公的な存在である

芸能人は活動を通じて多くの人の注目を集め、評価される立場にあります。一般人より批判や厳しい意見を受ける立場であり、批評や感想を述べることは表現の自由として認められます。

 

 

3. 匿名掲示板での表現の特性

匿名掲示板では、芸能人に対する率直な意見が日常的に書かれています。利用者もそのような場だと理解しており、多少強い表現があることは想定されています。掲示板の性質を考えると、この程度の表現は社会通念上許容される範囲です。

 

 

4. 主観的な感想であり、事実の摘示ではない

「見た目が終わっている」「売れ残り感がすごい」というのは主観的な感想です。「犯罪を犯した」「不倫をしている」といった具体的事実を書いたわけではありません。名誉毀損には具体的な事実の摘示が必要ですが、これは単なる主観的評価です。

 

 

5. 社会的評価の低下が具体的に生じていない

一個人の匿名掲示板への書き込みで、タレントの仕事や評価が大きく影響を受けるとは思えません。実際に仕事が減ったなどの具体的損害は示されていません。

 

 

6. 侮辱罪には当たらないと考える理由

侮辱罪が成立するには、社会通念上許される限度を明らかに超える表現が必要です。芸能人に対する批評の範囲内であり、その限度を超えるものではありません。「(笑)」は軽い冗談のニュアンスであり、深刻な攻撃の意図はありませんでした。

 

 

7. 社会通念上の受忍限度内である

芸能人として活動する以上、支持もあれば批判もあるのは当然です。この程度の批評は通常受ける範囲の批判であり、受忍すべき限度内です。

 

 

8. 開示の必要性がない

主観的な評価の範囲内であり、事実の摘示もなく、社会的評価を著しく低下させるものでもありません。SNSで反論するなど他の方法があるはずです。

 

 

第3 結論

最後に、これまで述べた理由をまとめて、改めて「発信者情報の開示には同意いたしません」と結論を示します。この部分で全体の主張を簡潔に整理し、開示すべき理由がないことを明確にします。

 

 

この書式を使う際の注意点

この書式はあくまでも一般的なパターンを示したものです。実際に使う際には、ご自身の投稿内容や状況に合わせて内容を修正する必要があります。特に、事実関係の部分(いつ、どこで、何を見たか、どんな報道があったかなど)は、具体的に書き換えてください。

 

 

また、この回答書を提出したからといって必ず開示が拒否されるわけではありません。最終的には裁判所が判断します。ただし、きちんとした理由を述べて開示に同意しない意見を出すことで、安易に開示が認められることを防ぐ効果はあります。

 

 

法的な判断が難しい場合や、相手が訴訟を起こしてきた場合などは、弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

 


【3】活用アドバイス

 

この書式を効率的に活用するためのポイントをいくつか紹介します。

 

まず、意見照会書が届いたら慌てずに内容をよく読んでください。どの投稿が問題とされているのか、相手が何を理由に開示請求しているのかを確認しましょう。そして、自分の投稿がどのパターンに近いかを判断します。飲食店への批判なのか、パワハラ告発なのか、友人のことなのか、政治家や芸能人への批評なのか。該当するパターンの書式を選んでください。

 

次に、Word形式のファイルを開いて、実際の状況に合わせて内容を修正していきます。特に重要なのは以下の点です。

 

  1. 日付と宛先:回答書の日付を記入日に、宛先を意見照会書に書かれている開示関係役務提供者名に変更します。

 

  1. 投稿内容の具体的な記述:書式では「料理もまずいし、汚い」などの例が書かれていますが、実際の自分の投稿内容に置き換えてください。ただし、全文を書く必要はなく、問題とされている部分を中心に記載すれば十分です。

 

  1. 事実関係の修正:「実際に来店した」「報道で見た」「本人から聞いた」など、事実関係の部分は正確に書き換えてください。嘘を書いてはいけません。後で証拠を求められる可能性もあります。

 

  1. 証拠の有無:パワハラ告発のケースなどで「録音データがある」と書いていますが、実際にない場合はその部分を削除してください。逆に、他の証拠がある場合は追加で記載しましょう。

 

  1. 表現の調整:書式は本人目線で書かれていますが、自分の言葉で表現したい部分があれば修正しても構いません。ただし、あまり感情的になりすぎないよう注意してください。

 

回答書を作成したら、一度全体を読み返して、論理的におかしな部分がないか、事実と異なる記載がないかをチェックしてください。可能であれば、信頼できる人に読んでもらって意見を聞くのも良いでしょう。

 

提出期限は意見照会書に書かれているはずです。期限に余裕を持って提出するようにしましょう。郵送の場合は書留や特定記録郵便など、送ったことが証明できる方法を使うことをお勧めします。

 

また、回答書を提出した後も、コピーや控えを必ず保管しておいてください。後で裁判になった場合などに必要になる可能性があります。

 

最後に、この書式はあくまでも開示に同意しない場合の回答例です。もし自分の投稿が明らかに違法だと思う場合や、既に相手と和解する意向がある場合などは、無理に開示を拒否する必要はありません。状況に応じて柔軟に判断してください。

 

 

 


【4】この文書を利用するメリット

 

 

この書式を利用することには、いくつかの大きなメリットがあります。

 

1. 弁護士費用を節約できる

通常、開示請求に対応するために弁護士に依頼すると、数十万円の費用がかかることがあります。しかし、この書式を使えば自分で回答書を作成できるため、その費用を節約できます。特に、投稿内容が明らかに違法でない場合や、金額的に弁護士に依頼するほどではない場合に有効です。

 

 

2. 迅速に対応できる

意見照会書には回答期限が設定されています。弁護士を探して相談する時間がない場合でも、この書式があればすぐに回答書を作成して提出できます。期限内に適切な回答を出すことで、不利な判断を避けることができます。

 

 

3. 法的な論点を網羅できる

この書式は、名誉毀損やプライバシー侵害が成立しない理由を、法的な観点から整理して記載しています。事実の摘示でないこと、公共性があること、真実性があること、表現の自由との関係など、主張すべきポイントが網羅されているため、素人でもしっかりした回答書を作成できます。

 

 

4. 5つの具体的パターンで幅広く対応

飲食店への批判、パワハラ告発、友人のプライバシー暴露、政治家への批判、芸能人への批評という、インターネット上でよくある5つのケースに対応しています。多くの人が直面する状況をカバーしているため、自分の状況に近いパターンを見つけやすく、修正も最小限で済みます。

 

 

5. 本人目線の自然な文章

弁護士が書くような堅苦しい表現ではなく、本人が自分の言葉で書いたような自然な文章になっています。そのため、裁判所や運営会社に対しても、誠実に対応している印象を与えることができます。

 

 

6. Word形式で自由に編集可能

Word形式で提供されるため、自分の状況に合わせて自由に編集できます。必要な部分を追加したり、不要な部分を削除したりすることが簡単にできます。また、フォントやレイアウトも自分の好みに調整できます。

 

 

7. 精神的な負担を軽減できる

突然開示請求の意見照会書が届くと、多くの人が不安になります。何をどう書けばいいのか分からず、パニックになることもあるでしょう。しかし、この書式があれば「どう対応すればいいか」の道筋が見えるため、精神的な負担を大きく軽減できます。

 

 

8. 表現の自由を守れる

不当な開示請求に対してきちんと反論することは、自分自身の表現の自由を守るだけでなく、社会全体の言論の自由を守ることにもつながります。消費者が自由に意見を言える環境、内部告発ができる環境、政治家を批判できる環境を守るために、この書式が役立ちます。

 

 

9. 予防効果がある

しっかりとした理由を述べて開示を拒否することで、相手側や裁判所に対して「この人は安易に開示できない」という印象を与えることができます。結果として、不当な開示請求を防ぐ効果が期待できます。

 

 

10. 学習ツールとしても使える

この書式を読むことで、名誉毀損やプライバシー侵害に関する基本的な考え方を学ぶことができます。今後インターネット上で発信する際に、どのような表現が問題になりやすいか、どのような配慮が必要かを理解する助けにもなります。

 

 

 

 

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