【1】書式概要
この反社会的勢力対応規程は、企業が暴力団や総会屋などの反社会的勢力との関係を断ち切り、健全な経営を維持するための社内ルールを定めた重要な文書です。近年、金融機関や取引先から反社会的勢力との関係遮断を求められるケースが急増しており、多くの企業にとって必須の規程となっています。
この規程を導入することで、取引開始前の相手方チェック体制、問題発生時の対応手順、社内報告ルートなどが明確化され、万が一のトラブル時にも組織的かつ適切な対応が可能となります。特に新規取引先との契約時や株主の属性確認、不当な要求を受けた際の初動対応において威力を発揮します。
上場企業はもちろん、中小企業においても取引先からの要請や金融機関の融資審査で反社対応体制の整備状況を問われることが一般的になっており、この規程の整備は企業の信頼性向上と事業継続のための必須要件といえるでしょう。Word形式で提供されるため、自社の実情に合わせて条文の修正や追加が容易に行えます。
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文は規程全体の方向性を示す重要な条項です。単に反社会的勢力を排除するだけでなく、「毅然とした態度」「いかなる名目の利益供与も行わない」という明確な方針を宣言しています。実際の運用では、この条文を根拠として社員教育や取引先への説明を行うことになります。
第2条(定義)
反社会的勢力の具体的な範囲を詳細に規定した条項で、この規程の核心部分といえます。暴力団員だけでなく、元暴力団員、準構成員、関係企業まで幅広くカバーしており、属性要件と行為要件の両面から判定基準を設けています。たとえば、直接的な暴力団員でなくても、脅迫的な言動を行う取引先は行為要件に該当する可能性があります。
第3条(対応部署)
対応窓口を総務部に一元化することで、情報の集約と迅速な判断を可能にしています。実務では総務部が各部署からの相談を受け、必要に応じて警察や弁護士との連携を図ることになります。
第4条(対応措置)
既存の取引先が後から反社会的勢力と判明した場合の対応を定めています。契約書への暴力団排除条項の導入や年1回の定期チェックなど、予防と早期発見の仕組みを構築しています。たとえば、取引開始後に相手方の役員が暴力団関係者と判明した場合、この条項に基づいて契約解除の手続きを進めることになります。
第5条(管理態勢の整備)
不当要求を受けた際の具体的な対応手順を定めています。現場での報告体制、総務部での判断、警察への通報タイミングなど、段階的な対応フローが示されています。また、データベース構築や外部機関との連携体制整備により、組織的な対応力を強化しています。
第6条(監査役会等への報告等)
重要な案件については監査役会への報告を義務付けており、経営レベルでの把握と対応判断を確保しています。役員が関与する事案や重大な案件については、この条項により適切なエスカレーションが行われます。
第7条(事実関係の調査)
不当要求の背景に自社の不祥事がある場合の調査体制を定めています。単に要求を拒否するだけでなく、根本原因の究明と再発防止への取り組みも重要な要素として位置づけています。
第8条(周知徹底)
規程の実効性確保のための教育・啓発活動について定めています。年1回の研修実施や理解度テストにより、全社員が適切な知識と対応能力を身につけることを目指しています。実際の研修では、具体的な事例を用いたロールプレイングなども有効です。
第9条(反社会的勢力に対する被害の防止)
規程の運用状況を定期的に確認し、継続的な改善を図るための条項です。対応措置や報告体制が適切に機能しているかを総務部がチェックし、必要に応じて見直しを行います。
第10条(制定および改廃)
規程の変更手続きを明確化しており、取締役会決議により正式な社内ルールとしての位置づけを確保しています。社会情勢の変化や新たな手口への対応が必要になった際の改正手続きもこの条項に基づいて行われます。
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