【1】書式概要
この規程は、特定の地域や事業所での勤務に限定して雇用される正社員について定めた社内規則のテンプレートです。近年、転勤を伴わない働き方を求める人材が増加する中で、優秀な人材を確保・定着させるために多くの企業が導入している制度です。
勤務地限定正社員制度は、従来の転勤の可能性がある正社員とは異なり、あらかじめ指定された地域内でのみ勤務することを前提とした雇用形態です。子育てや介護といった家庭の事情、配偶者の転勤が困難な事情、地域密着型の生活スタイルを重視する従業員のニーズに応える制度として注目されています。
この規程テンプレートは、そういった制度を導入したい企業が即座に活用できるよう、必要な条項を網羅的に整備したものです。非正規社員からの登用制度、正社員との相互転換制度、異動の取り扱い、賃金の決定方法、解雇事由まで、実務で必要となる項目を体系的にまとめています。
特に人事担当者の方、労務管理に携わる方、新しい雇用制度の導入を検討している経営陣の方にとって、制度設計の出発点として活用いただけます。Word形式で編集可能なため、自社の実情に合わせて条文の修正や追加を行うことができ、そのまま社内規程として運用することが可能です。
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文は規程全体の適用範囲を明確にしています。勤務地限定正社員に特有の事項のみを定め、その他の労働条件については既存の正社員就業規則を参照する構造になっています。これにより規程の重複を避け、管理を効率化できます。実際の運用では、有給休暇の取得方法や懲戒処分の手続きなどは既存の就業規則に従うことになります。
第2条(定義)
勤務地限定正社員の概念を明確に定義し、具体的な勤務地は個別の労働契約書で特定する仕組みを設けています。例えば「東京都内の事業所に限定」「大阪支店のみ」といった形で、採用時に明確な範囲を設定することで後のトラブルを防ぎます。
第3条(労働条件の変更)
規程の変更可能性を定めつつ、勤務地については変更の対象外とすることを明記しています。これは勤務地限定という制度の根幹部分を保護する重要な条項です。経営環境の変化に対応しながらも、従業員が最も重視する勤務地の安定性は確保されます。
第4条(登用制度)
非正規社員から勤務地限定正社員への登用制度を定めています。勤続年数の要件と所属長の推薦を組み合わせることで、一定の質を確保しつつ公平な機会を提供しています。毎年決まった時期に実施することで、従業員にとって予測可能な制度となっています。
第5条(推薦による登用)
勤務地限定正社員から通常の正社員への転換制度です。キャリアアップの道筋を明確にすることで、優秀な人材の長期定着を図っています。家庭環境の変化などで転勤が可能になった従業員に対する配慮でもあります。
第6条(転換制度)
通常の正社員から勤務地限定正社員への転換、およびその逆の転換を定めています。人生の各段階での働き方の変化に柔軟に対応できる制度設計となっています。例えば、親の介護が必要になった正社員が勤務地限定に転換し、その後状況が変わって再び通常の正社員に戻るといったケースに対応できます。
第7条(異動)
勤務地限定の範囲内での異動は会社の権限で行えるが、範囲外への異動には本人の同意が必要という重要な原則を定めています。これにより、制度の趣旨を守りながら必要な人事異動も可能になります。例えば、同一県内の別の事業所への異動は可能だが、他県への異動には同意が必要といった運用になります。
第8条(賃金)
賃金決定の基準を明示し、詳細は別の賃金規程に委ねる構造です。職務内容や能力を重視する現代的な賃金制度に対応した条文となっています。勤務地限定だからといって一律に賃金が低いわけではなく、個別の評価に基づいて決定されることを明確にしています。
第9条(解雇)
解雇事由を具体的に列挙しています。特に注目すべきは第6号で、勤務地の事業場閉鎖を解雇事由として明記している点です。これは勤務地限定という制約がある以上、その地域での事業継続が困難になった場合の対応を予め定めたものです。通常の正社員であれば他の事業所への異動で対応できる場面でも、勤務地限定正社員の場合は解雇もやむを得ないケースがあることを示しています。
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