【1】書式概要
この書式は、飲食店でお客様にツケ払いを認める際に必要となる約束事を書面化した誓約書のテンプレートです。個人経営の居酒屋や小料理店などで常連のお客様から「今度払うから」とツケでの支払いを求められた場合、口約束だけでは後々トラブルの原因となります。そんな時にこの誓約書があれば、支払期日や金額上限を明確にでき、万が一の未払いリスクを軽減できます。
Word形式で提供されているため、店舗名や支払条件など必要な部分を簡単に編集して、すぐにお使いいただけます。改正民法にも対応した内容となっており、保証人の設定や延滞時の取り決めもしっかり盛り込まれています。特に経営者の方や店長さんなど、日々の営業で現金以外の支払い方法について悩まれている方に最適な書式です。飲食業界では珍しくないツケ払いの慣習を、きちんとした約束事として残すことで、お客様との信頼関係を保ちながら経営リスクを管理できます。
【2】条文タイトル
第1条(支払義務) 第2条(支払期日) 第3条(支払方法) 第4条(利用限度額) 第5条(延滞損害金) 第6条(保証人) 第7条(誓約事項) 第8条(契約解除) 第9条(個人情報の取扱い)
【3】逐条解説
第1条(支払義務)
この条文では、お客様が飲食代金を必ず支払うという基本的な約束を明文化しています。伝票への署名義務も定めることで、後から「頼んでいない」「金額が違う」といった言い逃れを防げます。例えば、常連の田中さんが「いつものコース料理で」と注文した場合でも、必ず金額を確認してもらい署名をもらうことになります。
第2条(支払期日)
月末締めの翌月払いという一般的な商慣習に基づいた支払サイクルを設定しています。「翌月15日まで」や「翌月末まで」など、店舗の資金繰りに応じて期日を調整できます。事前連絡の義務を設けることで、お客様とのコミュニケーションを保ち、突然の音信不通を防ぐ効果があります。
第3条(支払方法)
現金持参が基本ですが、銀行振込も選択できるようにしています。振込手数料の負担者を明確にすることで、後々の金銭トラブルを避けられます。地方の料亭などでは「お米での支払い」といった特殊な取り決めがある場合もあり、「その他」欄で柔軟に対応できます。
第4条(利用限度額)
1日あたりと累計の両方で上限を設けることにより、店舗の損失リスクを管理できます。新規のお客様なら1日5千円・累計3万円程度から始めて、信頼関係が築けたら段階的に引き上げるといった運用が考えられます。
第5条(延滞損害金)
支払いが遅れた場合のペナルティを定めています。年率は一般的な商事債権の利率である6%程度が妥当でしょう。あまり高い利率を設定すると利息制限法に抵触する可能性があります。
第6条(保証人)
連帯保証人を設定することで、誓約者本人が支払えない場合の回収手段を確保しています。家族や親族に保証人になってもらうことで、社会的な信用も担保できます。保証人には必ず内容を説明し、理解してもらった上で署名をもらいましょう。
第7条(誓約事項)
連絡先の変更届出や支払能力の変化報告など、継続的な信頼関係維持のためのルールです。引っ越しや転職で連絡が取れなくなることを防ぎ、早期の対応が可能になります。
第8条(契約解除)
ツケ払い利用を停止する条件を明確化しています。2回程度の延滞で停止するのが一般的ですが、店舗の方針に応じて調整してください。虚偽申告や迷惑行為についても明記することで、店舗運営の安定を図れます。
第9条(個人情報の取扱い)
個人情報保護の観点から、収集した情報の利用目的を限定しています。近年重要視されている個人情報管理への配慮を示すことで、お客様の安心感も高まります。
【4】活用アドバイス
まず、新しくツケ払いを始めるお客様には必ず記入してもらい、内容をしっかり説明することが大切です。特に保証人については、形式的に署名をもらうだけでなく、保証の意味を理解してもらいましょう。利用限度額は最初は低めに設定し、お客様との信頼関係が深まってから段階的に引き上げることをおすすめします。
支払期日の管理には、簡単な台帳やエクセルシートを併用すると効果的です。誓約書と合わせて使用することで、より確実な債権管理が可能になります。また、万が一の未払い時には、この誓約書が交渉や回収の強力な根拠となります。
【5】この文書を利用するメリット
口約束だけのツケ払いと違い、書面があることでお客様にも責任感が生まれ、支払いの確実性が向上します。トラブル発生時の証拠にもなるため、店舗側の立場が格段に強くなります。保証人制度により回収の可能性も高まり、経営の安定化に寄与します。
お客様との信頼関係を維持しながらも、きちんとしたルールを設けることで、長期的な常連客との良好な関係構築にも役立ちます。また、スタッフ間でもツケ払いの取り扱い基準が統一され、現場での判断ミスを防げます。
|