【1】書式概要
この相談書は、複数の人物から継続的な監視や嫌がらせを受けている方が警察に被害を相談する際に使用する専門的な書式です。近年、組織的な監視行為や集団による付きまといといった新しい形の被害が社会問題となっており、従来の個人的なストーカー被害とは異なる複雑な状況に対応するため、詳細な記録と体系的な整理が必要となります。
この書式を使用することで、被害の全体像を警察に効果的に伝えることができ、適切な対応を受けやすくなります。日常生活において不審な監視を感じている方、通勤や外出時に複数の人物から尾行されていると感じる方、住居周辺で継続的な監視や嫌がらせを受けている方などが、警察署の生活安全課や刑事課に相談する際の必須書類として活用できます。
被害の詳細な記録から証拠の整理、心身への影響まで網羅的に記載できる構成となっており、相談者の状況を正確に伝えるための実用的なツールです。警察への初回相談時はもちろん、継続的な相談の際にも有効に機能し、被害者の権利を守るための重要な第一歩となります。
【2】条文タイトル
第1条(相談の経緯)
第2条(被害の全体像)
第3条(具体的被害内容)
第4条(被害による影響)
第5条(これまでの対応)
第6条(証拠資料)
第7条(目撃者・参考人情報)
第8条(相談・要望事項)
第9条(連絡事項)
【3】逐条解説
第1条(相談の経緯)
この条項では、警察への相談履歴と今回の相談に至った背景を明記します。過去の相談回数や前回の相談日を記載することで、継続的な被害であることを示し、警察側の対応状況も把握できます。初回相談の場合は「今回が初回」と記載し、複数回目の場合は具体的な日付と回数を書くことで、事案の重要性を伝えることができます。
第2条(被害の全体像)
被害の基本情報を整理する重要な項目です。被害開始時期を明確にすることで、長期間にわたる継続的な被害であることを証明できます。加害主体の推定人数を記載することで、個人的な恨みではなく組織的な犯行である可能性を示します。たとえば「3名から5名程度の男女による」といった具体的な記載が効果的です。
第3条(具体的被害内容)
この条項が相談書の核心部分となります。A項では尾行・監視行為の詳細を、B項では嫌がらせ行為を、C項では心理的圧迫行為を分類して記載します。「午前7時30分頃の通勤時に駅で待ち伏せされる」といった具体的な時間と場所を記載することで、被害の実態を明確に伝えられます。車両を使用した監視の場合は、車種や色、ナンバーの一部でも記録しておくことが重要です。
第4条(被害による影響)
被害が日常生活に与えている具体的な影響を身体的、精神的、社会的な側面から記載します。医師の診断を受けている場合は診断名を、仕事への影響がある場合は欠勤日数や遅刻回数を具体的に記載することで、被害の深刻さを客観的に示すことができます。「不眠により業務効率が30%低下した」といった数値的な表現も有効です。
第5条(これまでの対応)
被害者自身が行った自己防衛措置と他機関への相談状況を記載します。防犯カメラの設置台数や記録の作成状況を具体的に示すことで、被害者が真剣に対処していることを証明できます。市役所の市民相談や法務局への人権相談など、他機関への相談履歴も重要な情報となります。
第6条(証拠資料)
収集した証拠の詳細を整理します。写真や動画の枚数、撮影期間を具体的に記載し、保存媒体も明記します。診断書がある場合は医師名と診断日を記載することで、医学的な裏付けも示せます。証拠の質と量が豊富であることを示すことで、警察の対応も変わってきます。
第7条(目撃者・参考人情報)
第三者による目撃証言は被害の客観性を示す重要な要素です。近隣住民や同僚など、被害を目撃した人の情報を記載します。証言の可能性についても併記することで、警察側の捜査の参考となります。
第8条(相談・要望事項)
警察に求める具体的な対応を明記します。単なる相談ではなく、パトロール強化や加害者特定など、具体的な要望を示すことで、警察側も対応方針を検討しやすくなります。防犯指導や関係機関との連携も重要な要望事項です。
第9条(連絡事項)
今後の連絡方法や希望時間帯を記載します。緊急時の連絡先も併記することで、事態が急変した場合の対応体制を整えます。処罰意思や民事手続きの検討状況も記載することで、被害者の意向を明確に示すことができます。