【1】書式概要
この申告書は、集団による監視やつきまといなどの嫌がらせ行為を受けている方が、法務局の人権擁護課に被害を正式に申告するための書式です。近年、複数の人間が組織的に特定の個人を監視したり、日常生活に支障をきたすような行為を継続的に行うケースが社会問題となっています。
一人では対処が困難な集団による嫌がらせや、証拠が掴みにくい微細な嫌がらせが続いている場合、個人での解決は限界があります。そんな時に頼りになるのが法務局の人権擁護制度です。この申告書を使用することで、被害の全容を整理し、専門機関に適切に状況を伝えることができます。
特に住居周辺での監視、外出先での追跡、職場での嫌がらせなど、日常生活の様々な場面で不安を感じている方にとって、この書式は被害を体系的に整理するのに役立ちます。警察に相談しても具体的な対応が得られなかった場合や、被害が広範囲にわたり複雑な場合にも、この申告書を通じて人権の観点から問題解決を図ることが期待できます。
【2】タイトル
- 申告者情報
- 代理人情報
- 人権侵犯事実の概要
- 詳細な侵犯事実
- 被害の具体的影響
- これまでの対応と結果
- 証拠資料
- 申告の趣旨・請求する措置
- 添付書類
【3】解説
申告者情報について
申告する本人の基本情報を記載する箇所です。住所や氏名はもちろん、生年月日や職業なども含めることで、被害者の社会的立場や生活状況を明確にします。例えば、会社員の方であれば職場での被害も考慮されますし、学生であれば学校周辺での監視なども重要な情報となります。
代理人情報について
本人が直接申告できない場合や、専門家のサポートを受けて申告する際に記載します。弁護士や行政書士などの資格者が代理で手続きを行う場合、その資格と登録番号を明記することで申告の信頼性が高まります。
人権侵犯事実の概要について
被害の全体像を簡潔にまとめる重要な部分です。加害者が特定できているか、何人程度の集団なのか、組織的な犯行なのかといった基本情報を整理します。例えば「近隣住民数名による組織的監視」といった具合に、被害の性質を明確にします。
詳細な侵犯事実について
プライバシー権の侵害、移転・居住の自由の侵害、名誉・信用の毀損、精神的自由の侵害という4つの観点から被害を分類整理します。住居周辺での監視であれば生活音への過度な反応、外出時の追跡であれば買い物先での監視など、具体的な行為を詳細に記録することが重要です。
被害の具体的影響について
健康面と社会生活面の両方から被害の深刻さを示します。不眠症や食欲不振といった身体症状、不安障害や抑うつ状態といった精神症状を医学的な観点から記録し、さらに欠勤日数や医療費など数値化できる被害も含めることで、被害の客観性を高めます。
これまでの対応と結果について
自分なりに解決を試みた経過や、他の機関に相談した履歴を記載します。警察への相談回数や市役所での相談など、既に取った対応を時系列で整理することで、問題解決への真摯な取り組みを示すとともに、他の手段では解決困難であることを明確にします。
証拠資料について
被害の裏付けとなる資料を整理します。日記形式の被害記録、写真や動画による証拠、医師の診断書など、様々な角度から証拠を収集することで申告の説得力を高めます。目撃者がいる場合は証言書も有効な証拠となります。
申告の趣旨・請求する措置について
具体的にどのような調査や措置を求めるかを明記します。事実関係の調査、侵犯行為の停止、再発防止措置、救済措置という4つの観点から、解決に向けた具体的な要望を整理します。例えば「監視行為の即時中止」「接近禁止の要求」といった具体的な措置を求めることで、問題解決への道筋を明確にします。