連結財務諸表作成基準

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連結財務諸表作成基準

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【1】書式概要

 

この書式は、複数の関連会社を抱える企業が統一されたルールで連結決算を行うために社内で定める作成基準の雛型です。親会社が子会社を含めたグループ全体の財産状況や経営成績を一つにまとめて報告する際、誰がどのように計算や集計を行うのか、その手順や考え方を明確にしておく必要があります。

 

この書式を使うのは、たとえば自社が他の会社の株式を半分以上持っていて実質的に支配している場合や、新たにグループ会社が増えて連結決算の体制を整えなければならない場面です。また、上場を目指している企業や、すでに上場していて毎年きちんとした形で投資家に報告する義務がある企業にとっても重要な書式になります。

 

連結決算というと難しく感じるかもしれませんが、要するに「うちのグループ全体でどれだけ資産があって、どれだけ儲かったのか」を正確に示すための計算方法と手順を定めたものです。グループ内での売買や貸し借りを二重に計上しないよう調整したり、それぞれの会社が使っている会計のやり方をできるだけ揃えたりするためのルールが細かく書かれています。

 

この書式はWord形式で提供されるため、自社の状況に合わせて会社名や決算日、連結の範囲といった具体的な内容を自由に編集できます。経理部門が中心となって作成し、公認会計士の監査を受ける際にも、この基準に沿って作業を進めたことを説明する根拠資料として活用されます。グループ全体の経営判断や投資家への情報開示において、透明性と信頼性を確保するための基盤となる書式です。

 

 

 

 

【2】条文タイトル

 

第1条(目的)
第2条(連結財務諸表)
第3条(定義)
第4条(一般原則)
第5条(連結決算日)
第6条(連結の範囲)
第7条(会計処理の原則および手続き)
第8条(法人税などの期間配分)
第9条(連結貸借対照表の基本)
第10条(投資勘定と資本勘定の相殺消去)
第11条(少数株主持分)
第12条(債権と債務の相殺消去)
第13条(持分法)
第14条(連結貸借対照表の表示方法)
第15条(連結損益および剰余金結合計算書の基本)
第16条(取引高の消去)
第17条(未実現損益の消去)
第18条(利益処分)
第19条(連結損益および剰余金結合計算書の表示)
第20条(連結決算手続)
第21条(諸法規との関連)
第22条(会計監査)
付則第1条(改廃)
付則第2条(施行)

 

 

 

 

【3】逐条解説

第1条(目的)

この基準が何のためにあるのかを宣言する条文です。会社がグループ全体の財産や業績をまとめて報告するとき、バラバラのやり方では混乱してしまいます。そこでこの基準を作ることで、経理担当者が迷わず同じ方法で連結決算を進められるようにしています。たとえば新しい経理担当者が入ってきたときも、この基準を読めば会社のルールがすぐ分かるという仕組みです。

 

第2条(連結財務諸表)

ここでは「連結財務諸表って具体的に何を指すの?」という疑問に答えています。連結貸借対照表と連結損益計算書、それに剰余金の計算書を組み合わせたものが連結財務諸表だと定義しています。決算書にもいろいろな種類があるので、この基準で扱う範囲を最初にはっきりさせておくわけです。

 

第3条(定義)

専門用語の意味を統一しておく条文です。たとえば「子会社」といっても、株式を何パーセント持っていれば子会社なのか、孫会社も含まれるのかといった細かい定義をここで決めています。関連会社との違いや、連結の対象に含める子会社とそうでない子会社の区別なども明確にしておくことで、後の条文を読むときに混乱しないようにしています。

 

第4条(一般原則)

連結決算を行う上での基本姿勢を示す条文です。真実を伝えること、一般的なルールに従うこと、見る人が誤解しないようはっきり示すこと、毎年同じ方法を続けること、表示の仕方を統一すること。こうした原則を守らないと、せっかく作った連結決算書が信用されなくなってしまいます。たとえば去年と今年で計算方法を勝手に変えたら、業績の比較ができなくなりますよね。

 

第5条(連結決算日)

いつを基準に連結決算を締めるかを決める条文です。親会社の決算日に合わせて12月31日を連結決算日とするのが一般的ですが、子会社の決算日がずれている場合の対応も書かれています。たとえば子会社が3月決算だったりすると、そのまま使うのか、12月末に合わせた仮決算を組むのか、その判断基準がここに示されています。

 

第6条(連結の範囲)

どの子会社を連結の対象にするかを定める重要な条文です。原則としてすべての子会社を含めるのですが、倒産手続き中の会社や一時的に株を持っているだけの会社は除外します。また、規模が小さくて連結してもしなくても全体の数字にほとんど影響しない子会社も省略できるとしています。ここで10%という具体的な基準が示されているのがポイントです。

 

第7条(会計処理の原則および手続き)

親会社と子会社で会計のやり方を揃えましょうという条文です。同じ取引でも会社によって計上の仕方が違うと、合算したときにおかしな数字になってしまいます。ただし業種が特殊で親会社と同じやり方が難しい場合には、一般的なルールに従っていれば認めるという柔軟性も持たせています。

 

第8条(法人税などの期間配分)

税金の扱いについて定めた条文です。連結決算では税金を期間ごとに細かく配分する処理を行わないと明記しています。これは実務的な簡便性を考慮したもので、複雑な税効果会計をあえて省略する選択をしているということです。

 

第9条(連結貸借対照表の基本)

連結貸借対照表をどうやって作るかの基本を示す条文です。親会社と子会社それぞれの貸借対照表をただ足し算するのではなく、グループ内での投資や貸し借りを相殺して消すという作業が必要になります。これをしないと、同じお金や資産を二重に計上することになってしまうからです。

 

第10条(投資勘定と資本勘定の相殺消去)

親会社が持っている子会社の株式と、子会社側の資本を相殺する手続きを説明する条文です。親会社が子会社に出資したお金は、グループ全体で見れば内部の移動に過ぎません。このときに出てくる差額は連結調整勘定という項目で処理し、5年かけて少しずつ費用として落としていくルールになっています。

 

第11条(少数株主持分)

子会社の株を100%持っていない場合、残りの部分は外部の株主のものです。この外部株主の持分をどう扱うかを定めた条文です。子会社が利益を出せば少数株主にも取り分があり、逆に損失が出れば原則として少数株主も負担しますが、損失が大きすぎる場合の処理方法も細かく規定されています。

 

第12条(債権と債務の相殺消去)

グループ内での貸し借りや売掛金・買掛金を消す手続きです。親会社が子会社にお金を貸していても、グループ全体で見れば右から左に移しただけなので、連結上は消去する必要があります。手形を割り引いた場合の処理や、貸倒引当金の調整方法も書かれています。

 

第13条(持分法)

連結の範囲に含めない子会社や関連会社に対しても、その業績の変動を反映させる持分法という方法について定めています。完全に連結するほどではないけれど、ある程度の影響力がある会社については、その会社の利益や損失に応じて投資の帳簿価額を毎期調整していくわけです。ただし規模が小さければ省略してもよいとされています。

 

第14条(連結貸借対照表の表示方法)

連結貸借対照表をどんな項目に分けて表示するかを示す条文です。資産の部、負債の部、資本の部といった大きな区分から、流動・固定といった中分類、さらに細かい科目分類まで、見やすく分かりやすい形で整理することが求められています。

 

第15条(連結損益および剰余金結合計算書の基本)

連結損益計算書の作り方を示す条文です。各社の損益計算書を合算するだけでなく、グループ内の取引から生じた売上や仕入、まだ実現していない利益、配当金などを消去する作業が必要です。こうして初めて、グループ全体の本当の利益が見えてきます。

 

第16条(取引高の消去)

グループ内での商品の売買や各種取引を消去する手続きです。親会社が子会社に商品を売っても、グループ全体で見れば売上にはなりません。こうした内部取引をすべて消さないと、売上高が実態より膨らんでしまいます。

 

第17条(未実現損益の消去)

グループ内取引で購入した在庫や設備に含まれる利益を消去する条文です。たとえば親会社が原価80で作った商品を子会社に100で売り、子会社がまだ外部に売っていない場合、この20の利益は連結上は未実現です。外部に売れるまで利益として認めないのがルールですが、金額が小さければ省略できるという実務的な配慮もあります。

 

第18条(利益処分)

利益の配分や積み立てをどう扱うかを定めた条文です。連結決算の期間中に確定した利益処分の内容をもとに、連結上の計算を行うというシンプルな規定です。

 

第19条(連結損益および剰余金結合計算書の表示)

連結損益計算書をどんな項目で表示するかを示す条文です。売上高から始まって、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益といった段階的な利益の区分が示されています。少数株主の取り分や持分法による損益も別に表示することで、グループの業績が詳しく分かるようになっています。

 

第20条(連結決算手続)

実際に連結決算を進める手順を1から10まで順番に示した条文です。個別の決算書を組み替えるところから始まって、債権債務の内訳を作り、未達取引を調整し、未実現損益を計算し、仕訳を切り、精算表を作って、最終的に連結財務諸表を完成させるまでの流れが具体的に書かれています。この手順に従えば、誰が担当しても同じ方法で連結決算ができるわけです。

 

第21条(諸法規との関連)

この基準に書いていないことは、会社法や金融商品取引法に基づく連結財務諸表規則、公認会計士協会が出している作成要領などに従いましょうという条文です。社内基準だけでカバーしきれない細かい点は、外部の公的なルールを参照するということです。

 

第22条(会計監査)

連結財務諸表は公認会計士の監査を受けることを義務づける条文です。特に上場企業では、外部の専門家によるチェックを受けることで、決算書の信頼性を担保する仕組みになっています。

 

付則第1条(改廃)

この基準を変更したり廃止したりする権限が経理部長にあることを定めています。会社の規程管理のルールに従って、必要に応じて見直しができるようにしているわけです。

 

付則第2条(施行)

この基準がいつから有効になるかを示す条文です。実際に使うときは、会社の状況に合わせて具体的な日付を入れます。

 

 

 

 

【4】FAQ

Q1: この基準は誰が使うものですか?

A: 主に経理部門の担当者が使います。連結決算を実際に行う経理スタッフや、決算を取りまとめる経理部長、財務担当役員などが中心です。また、監査法人の公認会計士もこの基準を参照しながら監査を進めます。

 

Q2: 小さな子会社も必ず連結しなければいけませんか?

A: いいえ、この基準では規模が小さく全体への影響が軽微な子会社(資産・売上・利益のいずれも10%以下)は連結の範囲から除外してもよいとしています。実務的な負担を考慮した規定です。

 

Q3: 子会社の決算日が親会社と違う場合はどうすればいいですか?

A: 基本的には子会社が連結決算日に合わせた仮決算を行います。ただし決算日のずれが3か月以内であれば、子会社の正規の決算をベースにして、必要な調整だけ行う方法も認められています。

 

Q4: グループ内で売買した商品の利益はどう扱いますか?

A: グループ内取引から生じた利益で、まだ外部に販売されていないものは「未実現損益」として連結上は消去します。外部に売れた時点で初めて利益として認識されます。

 

Q5: この基準を変更したいときはどうすればいいですか?

A: 付則に定められているとおり、規程管理規程に従って経理部長が改廃を行います。ただし会計処理の継続性が重要なので、正当な理由なく頻繁に変更することは避けるべきです。

 

Q6: 連結調整勘定とは何ですか?

A: 子会社株式の取得価額と、その時点での子会社の純資産額との差額です。いわゆる「のれん」に該当する部分で、この基準では5年以内に均等額以上を償却することとしています。

 

Q7: 持分法はどんなときに使いますか?

A: 連結の範囲に含めない非連結子会社や関連会社に対して使う方法です。これらの会社の利益や損失の変動を、持分割合に応じて親会社の投資勘定に反映させることで、影響を間接的に取り込みます。

 

Q8: 少数株主持分とは何ですか?

A: 親会社が100%所有していない子会社の場合、残りの株式を持っている外部株主の持分のことです。連結貸借対照表では負債の部の下に独立した項目として表示されます。

 

Q9: 税効果会計は行わないのですか?

A: この基準では法人税等の期間配分(税効果会計)を行わないとしています。これは実務的な簡便性を優先した判断です。ただし会社の方針や監査法人との協議で対応が変わることもあります。

 

Q10: Word形式で配布される理由は何ですか?

A: 各社の状況に合わせてカスタマイズできるようにするためです。会社名、決算日、連結範囲の判断基準など、自社の実態に合わせて編集して使うことが前提になっています。

 

 

 

 

【5】活用アドバイス

 

まずこの書式を入手したら、社名や決算日など基本情報を自社のものに置き換えることから始めてください。特に第1条の会社名、第5条の連結決算日、付則の施行日は必ず修正が必要です。

 

次に第6条の連結範囲や第13条の持分法適用範囲で示されている「10%」という基準が自社に適しているか検討しましょう。これは重要性の判断基準なので、会社の規模や業種によって調整が必要な場合があります。監査法人とも相談しながら決めるとよいでしょう。

 

子会社の数が多い場合は、第3条の定義部分を充実させておくと後々便利です。どの会社が子会社で、どの会社が関連会社なのか、一覧表を別紙として添付しておくと、実務担当者が迷わずに済みます。

 

第20条に示された連結決算手続の流れは、そのまま業務マニュアルとして使えます。各手続きの担当者を決めて、スケジュールに落とし込むと、決算作業が計画的に進められます。初めて連結決算を行う会社では、この条文を読みながら一つずつ手順を確認していくとよいでしょう。

 

第7条にあるように、子会社の会計処理を親会社に統一することは理想ですが、実際には難しい場合もあります。どうしても統一できない部分については、どんな違いがあるのか、それが連結決算にどう影響するのかを文書化しておくと、監査もスムーズに進みます。

 

この基準は一度作ったら終わりではありません。会計基準の改正や会社の組織変更、新しい子会社の取得などに応じて、定期的に見直す必要があります。付則第1条に改廃の手続きが書かれていますので、これに従って更新していきましょう。

 

経理部門の新人教育にも活用できます。連結決算の全体像を理解してもらうための教材として、この基準を読み合わせしながら、実際の数字を使った演習を行うと効果的です。

 

監査対応の際には、この基準に従って連結決算を行ったことを説明する根拠資料になります。監査法人から指摘を受けた事項は、必要に応じてこの基準に反映させていくことで、年々精度が上がっていきます。

 

最後に、この基準はあくまで社内ルールですので、外部の会計基準や法令と矛盾しないよう注意が必要です。第21条で触れられている連結財務諸表規則や公認会計士協会の指針も併せて参照しながら運用してください。

 

 

 

 

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