【１】書式概要
この退職金規程は、企業が従業員の退職時に支給する退職金制度を明確に定めた実用的な書式です。従業員の勤続年数と退職時の基本給に基づいて退職金を算定する仕組みを詳細に規定しており、人事担当者や経営者の方々にとって必要不可欠な文書となっています。
この規程があることで、退職金の支給基準が明確になり、従業員と会社双方にとって透明性の高い制度運営が可能になります。特に中小企業では退職金制度の整備が遅れがちですが、この書式を活用することで適切な退職金制度を構築できます。
勤続3年以上の正規社員を対象とし、勤続年数に応じた支給率表を用いて退職金を算定する方式を採用しています。自己都合退職の場合の減額規定や、功労のあった社員への加算制度も含まれており、実際の運用場面で必要となる様々なケースに対応できる内容となっています。
この書式はWord形式で提供されるため、各企業の実情に合わせて条文内容や支給率を自由に編集・カスタマイズすることができます。新しく退職金制度を導入する企業や、既存の制度を見直したい企業にとって、実務で即座に活用できる実践的なテンプレートです。
【２】逐条解説
第1条（総則）
この条文は退職金規程の適用範囲を明確にしています。正規社員のみを対象とすることで、パートタイマーや契約社員との区別を図っています。就業規則との関連性も示しており、人事制度全体の整合性を保つ重要な規定です。
第2条（支給要件）
退職金支給の最低条件として勤続3年以上を設定し、円満退職を要件としています。これにより短期間での離職を防止し、長期雇用を促進する効果が期待できます。例えば、2年11カ月で退職した場合は支給対象外となります。
第3条（算出方法）
退職金の基本的な計算式を定めています。退職時の基本給を基準とすることで、昇進や昇格による給与上昇が退職金に反映される仕組みになっています。例えば、基本給30万円で支給率が20の場合、600万円が基本退職金となります。
第4条（支給率）
別表による支給率の参照を規定しています。勤続年数が長いほど支給率が高くなる設計で、長期雇用へのインセンティブを提供しています。支給率表は企業の財務状況に応じて調整可能な設計となっています。
第5条（1年未満の端数の取り扱い）
勤続年数の計算方法を具体的に定めています。15日以上を1カ月とする規定により、例えば勤続5年2カ月16日の場合は5年3カ月として計算されます。この明確な基準により計算上の混乱を防げます。
第6条（自己都合退職の減額）
自己都合退職の場合の減額率を勤続年数別に設定しています。勤続15年以上では減額がないため、長期勤続者の退職時負担を軽減しています。例えば、勤続8年の自己都合退職では10%の減額が適用されます。
第7条（功労加算）
特別な貢献をした社員への加算制度を定めています。最大30%の範囲内で加算できるため、優秀な人材の確保と動機付けに活用できます。具体的な功労の判定基準は別途定める必要があります。
第8条（解雇者の取り扱い）
懲戒解雇の場合は退職金を支給しないことを明記しています。重大な違反行為に対する厳格な措置として機能し、職場規律の維持に寄与します。普通解雇の場合は別途検討が必要です。
第9条（支払方法）
退職金の支払い形態を一時金のみとし、分割払いを排除しています。口座振込による支払いを原則とすることで、事務処理の効率化と支払い記録の明確化を図っています。
第10条（支払時期）
退職から2週間以内の支払いを原則としつつ、引き継ぎ不備や貸与品未返却等の場合は例外を設けています。これにより適切な退職手続きの履行を促進し、会社の利益保護も図れます。
第11条（死亡退職のときの取り扱い）
在職中の死亡時における遺族への支払いを規定しています。労働基準法に準拠した遺族の範囲と順位を適用することで、適切な支払い先の決定が可能になります。
第12条（受給権の処分禁止）
退職金受給権の譲渡や担保設定を禁止しています。これにより従業員の生活保障という退職金本来の目的を確保し、第三者による不当な権利侵害を防止できます。
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