第1条(総則)
この条文は規程全体の適用範囲を明確にするものです。パートタイマーに特化した給与規程であることを宣言しており、正社員とは異なる給与体系を採用していることを示しています。実務では、この規程の適用対象者を明確にしておくことで、後の紛争を防ぐ効果があります。
第2条(給与の形態)
時間給制を採用することを明記した条文です。月給制ではなく、働いた時間に応じて給与を支給する仕組みを採用しています。これにより、勤務時間が不規則なパートタイマーでも公平な給与計算が可能になります。コンビニエンスストアやファミリーレストランなど、シフト勤務が中心の職場でよく見られる給与形態です。
第3条(採用時給与の決定基準)
新規採用時の時給をどのような基準で決定するかを定めた条文です。勤務時間数、勤務時間帯、職務内容、他社の給与基準という4つの要素を総合的に評価するとしています。例えば、深夜勤務が多い場合や責任の重い業務を担当する場合は、基本時給よりも高く設定することが想定されます。
第4条(通勤手当)
通勤手当の支給条件を定めた条文です。2km以遠の公共交通機関利用者に対して定期券代の実費を支給するとしており、非課税限度額内での支給を明記しています。これにより、通勤費の負担を軽減し、より遠方からの採用も可能になります。自転車通勤の場合は対象外となる点に注意が必要です。
第5条(計算期間・支払日)
給与計算の締切日と支払日を明確にした条文です。前月21日から当月20日までを計算期間とし、月末に支払うという一般的なパターンを採用しています。金融機関の休業日の場合は前営業日に支払うことで、従業員の生活に配慮した内容となっています。
第6条(控除)
給与から控除する項目を定めた条文です。所得税、住民税、社会保険料などの控除を明記しており、これらは給与支払時に自動的に差し引かれます。パートタイマーでも一定の収入がある場合は、これらの控除が発生することを事前に説明しておくことが重要です。
第7条(超過勤務手当)
残業代の支給基準を定めた条文です。1日8時間を超えた勤務に対して割増賃金を支給するとしており、労働基準法の規定に準拠しています。例えば、通常の時給が1000円の場合、8時間を超えた分については1250円(25%割増)で計算されます。
第8条(休日勤務手当)
休日出勤時の手当について定めた条文です。所定休日に勤務した場合の割増賃金を支給するとしており、こちらも労働基準法に基づいています。日曜日や祝日に勤務した場合、通常の時給の135%で計算されるのが一般的です。
第9条(給与の改定)
昇給の基準を定めた条文です。雇用契約更新時に職務遂行能力、勤務成績、勤務態度を評価して給与を改定するとしています。これにより、長期間勤務するパートタイマーのモチベーション向上と定着率の改善が期待できます。年1回の契約更新時に評価を行う企業が多く見られます。
第10条(賞与の支給)
賞与の支給時期と支給条件を定めた条文です。6月と12月の年2回支給とし、支給日在籍と出勤率3分の2以上という条件を設けています。これにより、長期間安定して勤務するパートタイマーに対してインセンティブを提供できます。出勤率の条件は、頻繁な欠勤を防ぐ効果もあります。
第11条(支給額)
賞与の支給額決定方法を定めた条文です。会社の業績と個人の勤務成績・勤務態度を総合的に評価して決定するとしています。これにより、業績が良い年は多めに支給し、厳しい年は抑制するなど、柔軟な運用が可能になります。個人評価も含めることで、優秀なパートタイマーの処遇改善にもつながります。