第一条(目的物)
この条項では売買の対象となる自動車の詳細を明記します。車名、型式、車体番号、登録番号、登録年月日、付属品などの情報を正確に記載することで、売買対象を明確に特定し、後日のトラブルを防止します。車体番号は車両の個体識別に重要な要素であり、必ず正確に記入してください。付属品については、スペアタイヤ、工具類、カーナビ、ETC車載器などの有無を具体的に記載することが重要です。
第二条(代金)
売買価格の総額とその内訳を詳細に定める条項です。車両本体価格のほか、自動車税、自賠責保険料、リサイクル料金などの諸費用を明確に分けて記載します。これにより買主は支払う金額の内容を正確に把握でき、売主は適正な価格設定であることを示すことができます。リサイクル料金については、既に預託済みの場合にのみ記載し、未預託の場合は除外します。
第三条(代金の支払)
代金の支払期限と支払方法を定める重要な条項です。支払期限を明確に設定することで、売主は確実な代金回収が期待でき、買主は支払スケジュールを把握できます。支払方法については銀行振込と現金持参の両方を選択肢として設けており、取引の利便性を図っています。振込の場合は売主が振込手数料の負担者を別途定めることも可能です。
第四条(引渡し)
車両の引渡し日時と場所を定める条項です。引渡し日を明確に設定することで、危険負担の移転時期や保証期間の開始時期が明確になります。引渡し場所については売主・買主の協議により決定するとしており、双方の都合を考慮した柔軟な対応が可能です。引渡し時には車両の状態確認と必要書類の授受を同時に行うことが重要です。
第五条(費用負担)
売買に関連する諸費用の負担区分を明確に定める条項です。引渡し時までの費用は各自負担、引渡し後の名義変更等の費用は買主負担とすることで、費用負担の公平性と明確性を確保しています。名義変更費用には登録手数料、印紙代、行政書士費用などが含まれ、これらを買主負担とすることで一般的な商慣行に沿った内容となっています。
第六条(危険負担)
契約締結後から引渡しまでの期間における車両の滅失・毀損リスクの負担者を定める条項です。改正民法に対応し、引渡し前の危険は売主が負担する旨を明記しています。これにより買主は引渡しを受けるまで車両に関するリスクを負わず、安心して取引を進めることができます。天災等の不可抗力による損害も売主負担となるため、売主は適切な保険加入を検討することが重要です。
第七条(保証期間)
売主が負う瑕疵担保責任(契約不適合責任)の期間と内容を定める条項です。保証期間を具体的に設定することで、買主は一定期間内に発見された欠陥について修理等を求めることができ、売主は責任範囲を明確に把握できます。ただし、通常の使用による消耗部品の交換は除外されており、合理的な責任範囲の設定となっています。保証期間は取引の性質に応じて適切に設定してください。
第八条(途中解約)
契約の途中解約に関する条項です。売主・買主のいずれからも解約の申し立てが可能であり、違約金の支払いにより契約を解除できる旨を定めています。違約金額を事前に設定することで、解約時のトラブルを防止し、円滑な契約解除を可能にします。違約金額は契約金額や取引の性質を考慮して適正な金額を設定することが重要です。
第九条(特約事項)
標準的な契約条項以外に、当事者間で個別に定める事項を記載する条項です。例えば、特定の修理歴の開示、改造部品に関する取り決め、引渡し後の連絡先変更通知義務など、取引の特殊事情に応じた条項を追加できます。この条項により契約書の柔軟性を確保し、多様な取引ニーズに対応可能な契約書となっています。
第十条(協議)
契約書に定めのない事項が発生した場合の解決方法を定める条項です。当事者双方が誠意をもって協議により解決する旨を定めることで、予期しない問題が生じた際の対応方針を明確にしています。この条項により、契約書で想定されていない事態が発生しても、当事者間の話し合いによる円満解決を促進し、訴訟等の法的紛争を回避する効果が期待されます。