【1】書式概要
この個別の教育支援計画要望書は、発達障害やその他の特別な支援が必要なお子さまをお持ちの保護者の方が、学校に対して具体的な教育支援を正式に依頼するための重要な書類です。現在多くの学校現場で、発達障害の特性を持つ児童生徒への適切な配慮が求められる中、保護者が学校側に対して我が子の特性や必要な支援内容を明確に伝えることは非常に重要となっています。
この書式を使用する場面として最も多いのは、お子さまの発達障害の診断を受けた後に学校での学習環境や指導方法について具体的な配慮を求める際、また進級や転校のタイミングで新しい環境での支援体制を整えたい時、さらには現在の学校生活で困りごとが生じている状況を改善したい場合などがあります。特に新学期が始まる前や、お子さまの学校での適応に課題が見られるようになった時期に活用されることが多い書類といえるでしょう。
この要望書の特徴は、単なる相談ではなく、医師の診断内容から具体的な配慮事項まで体系的に整理して学校側に伝えられる点にあります。学習面での座席配置や課題量の調整から、感覚過敏への対応、行動面でのサポート方法まで、チェックボックス形式で必要な配慮を選択できるため、保護者の方も記入しやすく、学校側も理解しやすい構成になっています。また添付資料の項目も明確に示されているため、診断書や発達検査の結果など必要な書類を漏れなく準備することができます。
【2】逐条解説
児童生徒の基本情報について
この部分では支援を必要とする児童生徒の基本的な情報を記載します。単純な情報記載に見えますが、学年や組の情報は担任教師の特定や校内での情報共有において重要な役割を果たします。例えば「3年2組」と明記することで、学校側も即座にどの教員が関わるべきかを把握できるのです。
診断特性についての記載
医療機関での正式な診断情報を記載する箇所で、支援の根拠となる最も重要な部分です。診断名だけでなく診断年月日や医療機関名まで詳細に記載することで、学校側が医学的根拠に基づいた支援の必要性を理解しやすくなります。実際の記入例としては「ADHD(注意欠如・多動症)、令和5年4月15日、○○大学病院精神科、田中一郎先生」といった具体的な情報を記載します。
主な特性困難さの整理
認知面から感覚面まで6つの領域に分けて特性を記載する構成になっており、これは文部科学省の特別支援教育の枠組みに沿った分類です。例えば認知面では「複数の指示を同時に処理することが困難」、言語コミュニケーション面では「相手の表情から気持ちを読み取ることが苦手」といった具体的な困りごとを記載することで、学校側も適切な支援方法を検討しやすくなります。
学校での様子の現状把握
授業中、休み時間、友人関係という学校生活の主要な場面での様子を記載することで、支援が必要な具体的な場面を明確にします。「授業中は集中が続かず立ち歩いてしまう」「休み時間は一人で過ごすことが多い」といった観察された行動を記載することで、教師陣も支援のポイントを理解しやすくなるのです。
個別の教育支援計画策定の要望
ここでは包括的な支援計画の作成を依頼する内容となっており、短期目標と長期目標の設定、具体的支援方法の明記、定期的な評価見直しの実施という3つの要素が含まれています。これにより学校側も体系的な支援体制を構築する必要性を認識できます。
学習面での配慮要望
座席配置から評価方法まで、学習環境に関する具体的な配慮をチェックボックス形式で選択できます。例えば「前方座席の配置」を選択した場合、教師の指示が聞き取りやすく、板書も見やすくなるため、注意集中に困難を抱える児童にとって有効な配慮となります。
環境面での配慮設定
感覚過敏への対応を中心とした環境調整に関する要望です。「イヤーマフ使用許可」などは聴覚過敏を持つ児童にとって必須の配慮であり、学校側の理解と協力が不可欠な部分です。体育館での集会や音楽の授業など、大きな音が発生する場面での配慮として具体的に活用されます。
行動面での配慮対応
パニック時の対応方法や構造化された指示提示など、行動上の困りごとに対する支援方法を明記します。例えば「見通しの提示」を要望した場合、一日のスケジュールを視覚的に示すことで、予測できない状況への不安を軽減し、安定した学校生活を送ることができるようになります。
支援体制の構築要請
担任教師だけでなく、特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーとの連携体制を求める内容です。月1回程度の定期面談を設定することで、支援の効果を継続的に確認し、必要に応じて支援内容を調整していくことが可能になります。
保護者連携の確立
家庭と学校の連携を密にするための具体的な方法を選択します。連絡帳での情報交換は日常的な様子の共有に、定期面談は支援内容の詳細な検討に、それぞれ重要な役割を果たします。学校行事での配慮についても事前に相談できる体制を整えることで、お子さまにとってストレスの少ない参加が可能になります。
添付資料の準備
診断書や発達検査結果など、支援の根拠となる客観的な資料を添付することで、要望の妥当性を証明します。療育機関からの意見書があれば、専門機関での支援内容との連続性も確保でき、より効果的な学校での支援につながります。