紛争が起きたときにどの裁判所で解決するかを定める条文です。合意管轄を定めておかないと、受託者の住所地や事業地を管轄する裁判所に訴えられるケースもあり、委託者にとって不利な状況が生まれることがあります。委託者の本店所在地を管轄する裁判所を指定しておくのが一般的な実務対応です。
【4】FAQ
Q. 業務委託の競業禁止は本当に有効になりますか?
A. 条件次第です。期間・地理的範囲・代償措置・競合の定義が合理的に整っている場合は有効とされますが、どれか一つでも欠けると無効と判断されるリスクが高まります。この書式は有効性チェックリスト(別紙C)で事前に自己診断できる設計になっています。
Q. 雇用契約の競業禁止条項と何が違うのですか?
A. 雇用契約では労働法の保護が前提にあるため、一定の制限が容認されやすい面があります。業務委託は対等な事業者間の取引として扱われるため、代償なしの制限や広範な禁止はより厳しく審査される傾向があります。
Q. フリーランス保護法との関係は?
A. 2024年施行のフリーランス保護法は、発注者と受託者の取引条件の明確化を求めるものです。競業禁止そのものを直接規制するものではありませんが、不当に広い制限は同法の趣旨にも反するとみなされるリスクがあります。
Q. 別紙は必ず全部使わないといけませんか?
A. 必須ではありませんが、別紙A(競合の定義)と別紙B(地域リスト)は使用することを強く推奨します。これらがないと「競合」の範囲をめぐる解釈の争いが起きやすく、誓約書自体が機能しなくなるリスクがあります。
Q. 個人事業主ではなく法人の受託者にも使えますか?
A. 使えます。署名欄に法人用の記載欄を設けています。ただし法人の場合は、法人そのものへの競業禁止に加えて、主要株主や実質的な経営者個人への誓約取得も検討してください。
Q. 違約金の金額はいくらに設定すればよいですか?
A. 委託料の総額を基準に1〜3倍の範囲が実務上の目安です。抑止力としては高いほど効果的ですが、過大すぎると裁判所が減額する場合があります。業種や取引規模に応じて設定してください。
【5】活用アドバイス
まず別紙Cの有効性チェックリストを起点にしてください。8項目すべてにYESがつく状態にしてから締結することで、後から「この条項は無効だ」と争われるリスクを大幅に下げられます。
次に別紙Aの競合事業の定義は、できるだけ具体的に書き込んでください。「IT関連事業」「デザイン業」のような抽象的な表現のままでは、実際に紛争になったときに範囲の解釈で長期戦になります。自社の主力商品・サービスの名称や顧客層を具体的に記載することが、後々の混乱を防ぐ最短ルートです。
代償補償金の金額は、受託者と誠実に協議して決めることをお勧めします。一方的に低額を設定すると代償なしと認定されるリスクがありますし、受託者の合意を得やすくするためにも、禁止する範囲と補償額のバランスを説明できる状態にしておくと安心です。
なお、この書式は業務委託契約書の本体とセットで保管してください。誓約書単体では「どの契約に基づくものか」が不明確になるため、基本契約書との連動を前文で確認している点をご活用ください。