【1】書式概要
この「PRODUCT SALES AGREEMENT(製品販売契約)」は、国際取引において製品を販売・購入する際に使用できる二言語対応の契約書雛型です。この契約書は、日本の法人が米国企業に対して製品を販売する場合を想定し、英語と日本語で記載されているため、両当事者が内容を正確に理解できる利点があります。
本契約書は特に製造業における大型設備や機械の販売に適しており、分割払いのマイルストーン方式の支払いスケジュール、詳細な納入条件、製品の受入検査手順、保証条項、責任制限などを明確に規定しています。インコタームズ2010に基づく取引条件や、契約不履行時の対応、秘密情報の取り扱い、不可抗力条項なども含まれており、国際取引特有のリスクに対処する内容となっています。
製造業、輸出入業、商社などが海外企業との間で製品販売契約を締結する際に役立ちます。特に高額な製造設備や機械の販売取引において、支払い、納期、検査、保証などの重要事項を明確にし、潜在的なトラブルを未然に防ぐための基礎として活用できます。また、改正民法に対応していることも特徴で、最新の法的要件を満たした契約書として安心してご利用いただけます。
経験豊富な国際取引の専門家により作成されたこの契約書雛型は、取引条件や金額、納期などの個別事情に合わせて調整することで、さまざまな国際販売取引に適用可能です。専門的な法律知識がなくても基本的な契約枠組みとして使用でき、国際取引における重要な契約上の保護を確保することができます。
〔条文タイトル〕
第1条(定義)/ Article 1. Definitions
第2条(引渡し)/ Article 2. Delivery
第3条(価格および支払い)/ Article 3. Price and Payment
第4条(契約解除)/ Article 4. Termination
第5条(保証)/ Article 5. Warranty
第6条(責任の上限)/ Article 6. Limitation of Liability
第7条(納期遅れ)/ Article 7. Delay in Delivery
第8条(売主の秘密情報)/ Article 8. Seller's Proprietary Information
第9条(所有権および危険負担)/ Article 9. Title and Risk of Loss
第10条(権利放棄)/ Article 10. Waiver
第11条(分離独立条項)/ Article 11. Severability
第12条(完全合意条項)/ Article 12. Entire Agreement
第13条(不可抗力)/ Article 13. Force Majeure
第14条(譲渡)/ Article 14. Assignment
第15条(準拠法)/ Article 15. Governing Law
第16条(裁判管轄)/ Article 16. Jurisdiction
【2】逐条解説
第1条(定義)/ Article 1. Definitions
この条項では契約書内で使用される重要な用語の定義を明確にしています。「買主の工場」「契約金額」「引渡し」「引渡し日」「債務不履行事由」「製品」などの基本的な用語について説明し、契約の解釈における齟齬を防ぐ役割を果たします。特に「引渡し」がインコタームズ2010に基づく「関税込持込渡(DDP)」と定義されている点は重要で、売主の責任範囲を明確にしています。
第2条(引渡し)/ Article 2. Delivery
この条項では製品の引渡し期限と受入検査の手順を規定しています。引渡し日の期限、買主による受入検査の実施期間、欠陥発見時の通知期間と売主の対応義務、検収書の発行条件などが詳細に定められています。また、買主が受入検査を実施しない場合の取り扱いについても規定されており、引渡しプロセスの透明性を確保しています。
第3条(価格および支払い)/ Article 3. Price and Payment
契約金額とその支払い方法について規定しています。マイルストーン方式による分割払いの具体的なスケジュール、請求書発行のタイミング、支払期限、支払遅延時の金利(1%/月)、関税と税金の負担区分(関税は売主負担、その他税金は買主負担)などが明記されています。国際取引における資金の流れと責任分担を明確にする重要な条項です。
第4条(契約解除)/ Article 4. Termination
買主側の債務不履行事由とその場合の売主の権利について規定しています。買主が支払いを行わない場合や破産・支払不能となった場合を債務不履行事由と定義し、その場合に売主が義務から解放され、契約を解除し、製品を処分・保持できる権利を有することを明確にしています。
第5条(保証)/ Article 5. Warranty
製品保証に関する条件を規定しています。保証期間(引渡し日から1年間)、保証の範囲(付属文書Aの仕様への適合性)、黙示的保証の排除、保証請求の期限(引渡し日から15ヶ月以内)、保証不履行時の救済方法(修理または交換)などが定められています。保証の範囲と限界を明確にすることで、将来の紛争を防止する役割を果たします。
第6条(責任の上限)/ Article 6. Limitation of Liability
売主の責任範囲を制限する条項です。特別損害、付随損害、結果損害、間接損害、懲罰的損害に対する責任の免除と、全体的な責任額の上限(契約金額を超えない)を規定しています。高額な取引における売主のリスク管理として重要な条項です。
第7条(納期遅れ)/ Article 7. Delay in Delivery
引渡し遅延時の対応を規定しています。不可抗力によらない納期遅れの場合、買主は契約金額の0.1%/日の遅延損害金を請求できる権利を持ちますが、総額は契約金額の10%を超えないという上限も設けられています。
第8条(売主の秘密情報)/ Article 8. Seller's Proprietary Information
機密情報の取り扱いについて規定しています。売主が明示的に秘密と指定した情報について、買主の秘密保持義務、使用制限、アクセス制限、複製禁止、返却義務などが定められています。また、これらの義務が保証期間終了後または契約解除後も5年間存続することも明記されています。
第9条(所有権および危険負担)/ Article 9. Title and Risk of Loss
製品の所有権と危険負担の移転時期を規定しています。危険負担は引渡し時に買主に移転しますが、所有権は全代金の支払いが完了した時点で移転するという、所有権留保の仕組みが採用されています。
第10条(権利放棄)/ Article 10. Waiver
契約条項の不執行や執行遅延が、その条項や他の条項の権利放棄とみなされないことを明記しています。契約の一貫性と継続性を保護するための条項です。
第11条(分離独立条項)/ Article 11. Severability
契約の一部が法的に無効となった場合でも、他の部分は影響を受けないことを規定しています。これにより、契約全体の効力が一部条項の無効によって損なわれることを防いでいます。
第12条(完全合意条項)/ Article 12. Entire Agreement
本契約が両当事者間の唯一の合意であり、以前の合意に優先すること、また書面による合意と署名なしには変更・修正できないことを規定しています。契約の安定性と明確性を確保するための条項です。
第13条(不可抗力)/ Article 13. Force Majeure
当事者のコントロールを超えた状況による義務不履行に対する免責を規定しています。天災、地震、洪水などの自然災害、戦争、テロ、ストライキなどの社会的混乱、政府の行為などが不可抗力として例示されており、その発動の際の通知義務も明記されています。
第14条(譲渡)/ Article 14. Assignment
契約上の権利義務を第三者に譲渡・委託する際には相手方の書面による事前同意が必要であることを規定しています。当事者間の信頼関係を保護するための条項です。
第15条(準拠法)/ Article 15. Governing Law
契約の解釈と適用に関する準拠法をニューヨーク州法と規定しています。国際取引においては、どの国・地域の法律が適用されるかは非常に重要な事項です。
第16条(裁判管轄)/ Article 16. Jurisdiction
紛争解決のための裁判管轄をニューヨーク州の連邦地方裁判所と規定しています。紛争発生時に裁判を行う場所と裁判所を事前に合意しておくことで、管轄争いを防止しています。