【1】書式概要
この「M&Aマッチングサービス利用規約」の雛型は、事業売買や事業承継をオンラインでサポートするプラットフォーム運営者にとって非常に価値のある文書です。この雛型は2020年の民法改正に対応しており、M&Aマッチングサービスの運営に必要な法的要素を包括的にカバーしています。
この雛型は、サービスの定義から始まり、ユーザー登録、手数料体系、機密保持、知的財産権の保護、禁止行為、反社会的勢力の排除まで、M&Aプラットフォームの運営に不可欠な要素を明確に規定しています。特に重要なのは、プラットフォーム運営者の責任範囲を適切に限定しながらも、ユーザー間の健全な取引環境を確保する条項が含まれている点です。
この文書は、新規にM&Aマッチングサイトを立ち上げる企業や、既存のサービスの利用規約を見直す事業者にとって最適です。特に地域密着型の事業承継支援サービスや小規模事業のM&Aを支援するプラットフォームにおいて有用性を発揮します。実際の使用にあたっては、手数料率や管轄裁判所などの具体的数値・情報を各事業者の状況に合わせてカスタマイズする必要があります。
M&Aという重要な取引をオンラインでサポートするサービスには、明確な利用規約が不可欠です。本雛型はその土台として、透明性のある取引環境構築と、万が一のトラブル発生時の対応基準を提供します。専門家のレビューと併用することで、さらに堅牢な法的枠組みを構築できるでしょう。
〔条文タイトル〕
第1条(定義)
第2条(サービスの内容)
第3条(登録)
第4条(手数料)
第5条(機密保持)
第6条(知的財産権)
第7条(禁止行為)
第8条(反社会的勢力の排除)
第9条(免責)
第10条(利用停止・登録抹消)
第11条(規約の変更)
第12条(準拠法・管轄裁判所)
【2】逐条解説
第1条(定義)
この条文では、規約内で使用される重要な用語の定義を行っています。特に「譲渡側」(事業を売却する企業)、「譲受側」(事業を買収する企業)、「マッチング」(両者の情報交換や交渉プロセス)という本サービスの核となる概念を明確に定めています。この定義によって、以降の条文における権利義務関係の主体が明確になります。
第2条(サービスの内容)
サービスの基本的な性質と範囲を規定しています。重要なのは、プラットフォーム提供者は「マッチングの支援」を行うのみで、取引の成立や情報の真実性を保証するものではないという責任範囲の限定です。これにより、プラットフォーム運営者とユーザー間の責任分担を明確にしています。
第3条(登録)
サービス利用のための登録手続きとその維持に関する規定です。ユーザーの登録情報の正確性維持義務と、虚偽情報提供時の登録拒否・取消権を定めることで、プラットフォームの信頼性確保のための基盤を整えています。
第4条(手数料)
収益モデルの中核となる手数料について規定しています。料率の基準(譲渡額等の●%)と支払方法について定めていますが、具体的な料率は各事業者がビジネスモデルに応じて設定する必要があります。
第5条(機密保持)
M&A取引で最も重要な要素の一つである情報管理について規定しています。ユーザーがサービスを通じて得た情報の目的外使用や第三者開示を禁止することで、取引の安全性と信頼性を担保しています。
第6条(知的財産権)
サービス自体に関する知的財産権の帰属と、ユーザーによる無断使用の禁止を明確に規定しています。これにより、プラットフォームの技術やコンテンツの保護を図っています。
第7条(禁止行為)
ユーザーが行ってはならない行為を列挙しています。法令違反行為、権利侵害行為、サービス妨害行為、虚偽情報提供などを禁止することで、健全なプラットフォーム環境の維持を図っています。
第8条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力の排除に関する条項で、ユーザーが反社会的勢力に該当しないことの表明保証と、違反時の契約解除権を規定しています。M&A取引の健全性確保に不可欠な条項です。
第9条(免責)
プラットフォーム運営者の免責事項を定めています。サービスの中断や変更、ユーザー間の紛争などに関する免責を規定することで、運営リスクの管理を図っています。
第10条(利用停止・登録抹消)
ユーザーによる規約違反や不適切行為があった場合の、サービス利用停止や登録抹消に関する運営者の権限を規定しています。これにより、問題ユーザーへの対応メカニズムを確保しています。
第11条(規約の変更)
規約変更の手続きと効力発生時期を規定しています。プラットフォームの発展や法改正に対応するための柔軟性を確保する条項です。
第12条(準拠法・管轄裁判所)
紛争解決の基準となる準拠法(日本法)と、訴訟時の管轄裁判所(運営者の本店所在地)を定めています。国際的な取引にも対応できるよう、法的な基盤を明確にしています。