【１】書式概要
この契約書テンプレートは、IT業界でのコンサルタント業務に特化した法的文書です。改正民法に対応した本雛型は、ITシステムコンサルタントと依頼企業との間の権利義務関係を明確に定義し、適切な業務範囲、報酬体系、秘密保持義務などを包括的にカバーしています。
月間訪問回数やタイムチャージ方式の報酬計算、実費の取り扱いなど、実務上重要な事項が詳細に規定されており、コンサルティング業務特有の柔軟性と明確な境界設定を両立させています。特筆すべきは、メンテナンスやプログラミングなど具体的な作業をコンサルテーション範囲から除外する条項や、秘密保持義務の例外を明確にした条項など、後々のトラブルを未然に防ぐための工夫が随所に見られます。
また、現代のビジネス契約書として不可欠な反社会的勢力の排除条項も完備し、契約当事者双方の安全を担保しています。契約期間の自動更新規定や紛争解決のための協議・合意管轄条項など、長期的な取引関係を見据えた条項も充実しています。
この雛型は、ITコンサルタントとして独立開業する方はもちろん、外部のITコンサルタントと契約を結ぶ企業にとっても、公正かつ明確な契約関係を構築するための確かな土台となるでしょう。必要事項を埋めるだけで、すぐに実務で使える実用的な契約書テンプレートです。
〔条文タイトル〕
第１条（目的）
第２条（報酬）
第３条（実費）
第４条（秘密保持）
第５条（契約期間）
第６条（反社会的勢力の排除）
第７条（協議事項）
第８条（合意管轄）
【２】逐条解説
第１条（目的）
この条項では契約の本質的な内容を規定しています。ITシステムに関するアドバイスや相談などのコンサルタント業務の基本的な枠組みを示しています。特に月間訪問回数の設定、電話・FAXによる相談対応が含まれる一方で、実際のメンテナンス作業やプログラミングなどの具体的なIT作業は業務範囲外と明確に線引きしています。これにより、コンサルタントの責任範囲を明確にし、後の紛争を防止する効果があります。
第２条（報酬）
報酬に関する詳細を定めています。時間単価制を採用し、15分単位のタイムチャージ方式という細かい計算方法まで規定しています。また請求書の送付タイミングや支払期日、振込手数料の負担についても明確に定めており、金銭的なトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。特に15分未満は10分に切り上げるという細かい取り決めまであり、実務に即した内容となっています。
第３条（実費）
コンサルティング業務に付随して発生する実費の取り扱いについて定めています。資料収集や調査活動に要した費用の負担を明確にしつつ、事前承諾を得ることを条件とすることで、無制限な実費請求を防止する仕組みとなっています。これにより、依頼者側の予算管理と、コンサルタント側の適切な実費回収の両立を図っています。
第４条（秘密保持）
コンサルティング業務において極めて重要な秘密保持義務について規定しています。コンサルタントが知り得た依頼者の経営内容や商品情報などの秘密情報の漏洩を禁止する一方で、秘密保持義務の例外となる5つのケースを明記しています。これにより、過度に広範な秘密保持義務からコンサルタントを保護し、合理的な秘密保持の枠組みを設定しています。
第５条（契約期間）
契約の有効期間と自動更新の仕組みを定めています。1年間の有効期間を基本としつつ、一定期間前までに終了の意思表示がない場合は自動更新される設計となっています。これにより、継続的な関係を前提としたコンサルティング業務の性質に合致した柔軟な契約期間管理が可能となります。
第６条（反社会的勢力の排除）
現代の契約書に不可欠となっている反社会的勢力排除条項です。双方が反社会的勢力に該当しないことの表明保証と、相手方が反社会的勢力であることが判明した場合の無催告解除権を定めています。また、反社会的勢力との関係性について5つの類型を具体的に列挙することで、反社会的勢力の定義を明確にしています。
第７条（協議事項）
契約書に定めのない事項や履行上の疑義が生じた場合の対応方法として、当事者間の誠実な協議による解決を定めています。あらゆる事態を契約書に規定することは不可能であるため、このような一般的な協議条項が設けられています。
第８条（合意管轄）
契約上の紛争が生じた場合の管轄裁判所を特定の地方裁判所に限定する条項です。これにより、万が一の紛争発生時に、どの裁判所で争うかという問題を事前に解消し、紛争解決の予測可能性を高めています。
