【1】書式概要
この示談書雛型は、飲食店内の事故に関する示談をスムーズに進めるための実用的な文書です。お客様が店内で転んだり、設備の不具合で怪我をしたりした場合に、公平な解決を図るために作られています。
改正民法に合わせて更新されており、事故の詳細から補償金額、支払い方法、今後の治療についてまでしっかりと記載できます。特に重要なのは第7条で、示談後に予想外に症状が悪化した場合の対応も定めており、双方を守る内容になっています。
この文書は、床が濡れて転倒した場合や、椅子が壊れて怪我をした場合、食中毒が発生した場合など、様々な店内事故に対応できます。店舗側には迅速な問題解決のツールとして、お客様側には適切な補償を受けるための基準として役立ちます。
また、第8条では今後同じ事故が起きないための対策も約束する内容が含まれており、単にお金で解決するだけでなく、店舗の安全性向上にもつながります。これにより、事故後も良好な関係を維持しながら問題を解決できる点が大きな特長です。
〔条文タイトル〕
第1条(事故の発生状況)
第2条(過失の認定)
第3条(損害の内容)
第4条(示談金の支払)
第5条(示談金の支払方法)
第6条(今後の治療)
第7条(示談の効力)
第8条(再発防止)
第9条(秘密保持)
第10条(協議解決)
【2】逐条解説
第1条(事故の発生状況)
いつ、どこで、どんな事故が起きたのかを書く部分です。例えば「2025年4月10日、〇〇レストランで床が濡れていて滑って転んだ」といった具体的な状況を記録します。後で「そんな事故じゃなかった」というトラブルを防ぐために大切です。
第2条(過失の認定)
お店側が「この事故は当店の責任です」と認める部分です。店の設備管理が悪かったことや安全対策が不十分だったことを認めることで、示談の根拠をはっきりさせます。
第3条(損害の内容)
怪我をした人の損害を金額で示す部分です。病院代、病院への交通費、仕事を休んだ分の給料、精神的な苦痛に対する慰謝料など、すべての損害を項目別に書き出します。
第4条(示談金の支払)
実際にお店が支払うお金の総額を決める部分です。この金額で全ての損害を精算することを明記します。「この金額を支払えば、今後追加の請求はしません」という約束をする重要な条項です。
第5条(示談金の支払方法)
お金をいつまでに、どうやって支払うかを決める部分です。銀行振込の場合は口座情報を書き、振込手数料は店側が負担するといったことを決めます。
第6条(今後の治療)
示談する時点での症状と、これからの治療見通しを書く部分です。「現在は軽い痛みがあり、医師からはあと2週間で良くなると言われている」などと記録します。
第7条(示談の効力)
示談が成立したら、原則として追加でお金を請求できないことを確認する部分です。ただし、示談時には予想できなかった重い症状が後から出てきた場合は、再度話し合いができる例外も設けています。
第8条(再発防止)
同じ事故が二度と起きないよう、お店側が取る対策を約束する部分です。定期的な設備点検や従業員教育など、具体的に何をするか書きます。これはお金だけでなく安全面での解決を図る大切な条項です。
第9条(秘密保持)
示談内容を外部に漏らさないことを約束する部分です。SNSなどで広まると店の評判に関わるため、お互いに内容を秘密にすることを約束します。
第10条(協議解決)
示談書に書かれていないことや、解釈が分かれる問題が出てきた場合は、お互いに話し合って解決すると約束する部分です。将来トラブルが生じても冷静に対応するための条項です。