【1】書式概要
この金銭消費貸借契約書は、根抵当権付きの分割払い契約に対応した改正民法準拠の雛型文書です。企業間の融資取引において、貸主が貸付金の上限を設定し、その範囲内で複数回の貸付を行う際に最適な契約書となっています。
本契約書では、上限金額を定めた上で個別の貸付を行うという柔軟な運用が可能な設計となっており、担保として根抵当権を設定することで債権の保全も図れます。遅延損害金の定めや期限の利益喪失条項、反社会的勢力排除条項など、現代の取引実務で必要とされる条項を網羅しています。
ビジネスローンや運転資金の調達、プロジェクトファイナンスなど、継続的な資金需要がある場面で活用できる実用的な契約書です。火災保険の質権設定条項も含まれており、不動産を担保とする金融取引において重要なリスク管理要素をカバーしています。
中小企業の資金調達から企業間の融資まで、幅広い場面で活用できる標準的な契約書フォーマットとして、経営者の方や法務担当者の方にお勧めします。改正民法に対応済みのため、安心してご利用いただけます。
〔条文タイトル〕
第1条(消費貸借)
第2条(利息)
第3条(弁済方法)
第4条(遅延損害金)
第5条(期限の利益の喪失・解除)
第6条(根抵当権の設定)
第7条(登記義務)
第8条(担保価値の保持)
第9条(追加担保の提供)
第10条(火災保険の設定)
第11条(合意管轄)
第12条(協議)
【2】逐条解説
第1条(消費貸借)
この条項では、金銭消費貸借契約の基本的な内容を定めています。貸主が借主に対して上限金額を定めた上で金銭を貸し付けることを規定し、契約締結時の貸付と将来の追加貸付の仕組みを明確にしています。特徴的なのは、一度の貸付ではなく、上限額の範囲内で複数回の貸付を可能とする点です。
第2条(利息)
利息率を具体的に定める条項です。年率で表示することにより、利息の計算方法を明確にしています。改正民法では法定利率が変動制となりましたが、当事者間で約定利率を定めることで、取引の予測可能性を確保しています。
第3条(弁済方法)
借主が元金と利息をどのように返済するかを規定しています。弁済の場所、方法を具体的に定めることで、返済に関するトラブルを防止します。また、履行に必要な費用の負担者を明確にすることで、後々の紛争を避けられます。
第4条(遅延損害金)
返済が遅れた場合の損害金について定めています。遅延損害金の利率を明確にすることで、借主に対して期限内の返済を促す効果があります。改正民法の遅延損害金に関する規定と整合性を持たせています。
第5条(期限の利益の喪失・解除)
借主が期限の利益を失う場合と、貸主が契約を解除できる場合を詳細に規定しています。倒産や財産状態の悪化、反社会的勢力との関係など、現代の取引実務で重要視される事由を網羅的に列挙し、債権保全のための重要な条項となっています。
第6条(根抵当権の設定)
借主の債務を担保するために、不動産に根抵当権を設定することを定めています。根抵当権は、将来発生する債権も含めて担保できるため、継続的な取引関係における債権保全に適しています。
第7条(登記義務)
根抵当権の対抗要件を具備するための登記手続きについて規定しています。登記費用の負担者を明確にすることで、実務上の混乱を避けられます。
第8条(担保価値の保持)
担保不動産の価値を維持するための借主の義務を定めています。貸主の承諾なく担保不動産の現状を変更することを禁止し、債権の保全を図っています。
第9条(追加担保の提供)
担保不動産が滅失・毀損した場合の通知義務と、追加担保の提供義務を規定しています。担保価値の減少に対する対応を明確にすることで、貸主の債権保全を図っています。
第10条(火災保険の設定)
担保不動産に対する火災保険の設定と、保険金請求権への質権設定を定めています。万が一の災害に備えて、債権の回収を確実にするための重要な条項です。
第11条(合意管轄)
紛争が生じた場合の管轄裁判所を定めています。あらかじめ管轄裁判所を合意しておくことで、紛争解決の予測可能性を高めています。
第12条(協議)
契約に定めのない事項や疑義が生じた場合の解決方法を規定しています。協議による円満解決を図ることで、取引関係の維持に配慮しています。