【1】書式概要
この通知書は、連帯保証契約を締結した後に、契約締結時の前提条件が崩れた場合に使用する重要な書面です。具体的には、他の方も一緒に保証人になるという約束があったからこそ自分も保証人になったのに、実際にはその方が保証人にならなかった場合に活用します。
2020年4月に施行された改正民法では、動機の錯誤に関する規定が明確化されており、契約締結時の動機が相手方に表示されていた場合、その動機に錯誤があれば契約を無効にできる可能性があります。この通知書は、そうした状況において債権者に対して保証契約の無効を主張するために作成されています。
実際の使用場面としては、親族や知人から「他の人も一緒に保証人になるから」と説明を受けて連帯保証人になったものの、後からその約束が守られなかったことが判明したケースなどが考えられます。また、事業の連帯保証において複数の保証人が前提とされていたにも関わらず、実際には一人だけが保証人になってしまった場合にも使用できます。
この書面を送付することで、保証契約の無効を主張し、将来的な保証債務の履行を避けることができる可能性があります。ただし、動機の錯誤による無効の主張が認められるためには、その動機が契約締結前に相手方に明示されている必要があるため、この点についても書面で明確に記載しています。
【2】解説
宛先および差出人の記載
債権者を特定し、通知の相手方を明確にする部分です。実際の使用時には具体的な氏名や住所を記載します。通知書の効力を発生させるためには、相手方の特定が不可欠です。
契約締結の経緯説明
保証契約を締結した際の具体的な状況を記載する箇所です。ここでは「他にも保証人がいる」という説明を受けて契約に至ったことを明記しています。実際のケースでは、どのような説明を受けたのか、いつ・どこで・誰から説明されたのかを具体的に記載することが重要です。
動機の表示に関する記述
改正民法95条の適用要件である「動機の表示」について言及している部分です。契約締結前に、他の保証人の存在が自分の契約動機であることを相手方に伝えていたことを明記しています。例えば「一人では責任が重すぎるので、○○さんも一緒に保証人になるなら私も引き受けます」といった発言をしていた場合などが該当します。
前提条件の変更通知
他の保証人が実際には保証人にならないことが判明した旨を記載する部分です。この事実の変更により、契約締結時の前提が崩れたことを明確にしています。
無効主張の根拠条文
改正民法第95条を根拠として契約の無効を主張する旨を記載しています。同条は動機の錯誤について規定しており、表示された動機に錯誤があった場合の無効を定めています。
債権の詳細記載
保証の対象となる債権の内容を具体的に記載する部分です。金額、利率、返済期日など、保証契約の前提となる主債務を特定するために必要な情報を列挙しています。実際の使用時には、金銭消費貸借契約書や借用書の内容に基づいて正確に記載する必要があります。