【1】書式概要
この覚書は、既存の契約において連帯保証人を変更する際に使用する重要な契約書式です。企業間取引や個人事業における各種契約で、当初設定した連帯保証人を別の人に交代させる必要が生じた場合に活用します。
改正民法に完全対応しており、現行制度下での保証債務の適切な処理を可能にします。元の保証人の債務を完全に免除し、新しい保証人に責任を移転する手続きを明確に定めています。この書式により、関係者全員の権利義務関係を整理し、将来的なトラブルを未然に防げます。
具体的な使用場面としては、会社の取引先企業で保証人となっていた役員が退任する場合、個人事業主の家族が保証人を辞めたい場合、M&Aに伴い保証体制を見直す場合などが挙げられます。また、保証人の経済状況変化により、より安定した保証人への変更が必要になった際にも重宝します。
書面による明確な合意形成により、後日の紛争リスクを大幅に軽減できる実践的な書式です。各当事者の署名押印により、保証人変更の効力発生時期も明確になります。
【2】逐条解説
第1条(確認)について
この条項では、まず現状の把握を行います。既存契約における保証関係の確認と、債務の滞納状況をチェックする重要な規定です。例えば、設備リース契約で親会社の役員が保証人になっていたケースを想定すると、その役員が確実に保証債務を負っていることを全関係者で再確認します。また、保証人変更の時点で延滞や未払いがないことも同時に確認することで、新保証人が過去の問題まで引き継ぐリスクを排除します。この確認作業により、スムーズな保証人交代の土台を築けます。
第2条(旧連帯保証人に対する免除)について
元の保証人を完全に解放する条項です。債権者が明確に免除の意思表示を行うことで、旧保証人の将来的な責任を断ち切ります。実際の事例では、町工場の社長の息子が保証人だったものの、独立開業のため保証から外れたいという場合があります。この条項により、息子は過去から現在までの全ての保証債務から解放され、今後一切の責任を負わなくなります。免除の効果は確定的で、後から取り消すことはできないため、慎重な判断が求められます。
第3条(新連帯保証人の設定)について
新しい保証人の責任範囲を定める核心部分です。旧保証人に代わって、新保証人が同等の責任を引き受けることを明記します。例として、IT企業の業務委託契約で、創業メンバーの一人が保証人だったところ、新たに参画した投資家が保証人となるケースが考えられます。新保証人は、主債務者と同じ立場で債権者に対して責任を負うことになり、催告の抗弁権や検索の抗弁権も放棄した状態での責任となります。この重い責任を新保証人が十分理解した上で合意することが不可欠です。
第4条(本件契約の不変更)について
保証人変更が元契約の他の条件に影響しないことを確認する安全装置的な条項です。賃貸借契約を例にとると、保証人が父親から兄に変わったとしても、賃料や契約期間などの基本条件は一切変更されないことを明確にします。この規定により、保証人変更を理由とした契約条件の見直し要求を防ぎ、元契約の安定性を保持できます。当事者全員がこの点を認識することで、不要な混乱や交渉の蒸し返しを避けられる重要な規定といえます。