【1】書式概要
この文書は、お金を借りる際に担保として預けた物品(質物)を、お金を貸した人(質権者)が使用する場合の約束事を定めた書類です。民法の改正にも対応しており、安心してご利用いただけます。
たとえば、工場の機械設備や高額な製造装置などを担保にお金を借りた場合、その機械を貸し手である金融機関や個人が一時的に使用したいというケースがあります。このような場合に、使用条件を明確に取り決めることで、両者にとって有益な関係を築けます。
主な使用場面として、中小企業が資金調達のために重要な機械を担保に入れたものの、その機械を継続して事業活動に活用したい場合や、金融機関側も担保物件を遊休資産とせず活用して収益を上げながら融資リスクを管理したい場合などが挙げられます。
この文書では、質物の正しい使用方法、修理費用の負担、使用によって得られた収入の取り扱いなど、具体的な条件を明記します。特に重要なのは、使用によって得られた収入が借金の返済に充当されることや、毎月の収支報告義務により透明性を確保する点です。
このような明確な取り決めがあることで、「機械の使い方が悪い」「修理代は誰が払うのか」「収入はどう使われるのか」といったトラブルを未然に防ぎ、お互いに安心して取引を進めることができます。
小規模な個人間の貸し借りから、企業と金融機関の大規模な融資取引まで、幅広い場面で活用できる汎用性の高い文書テンプレートです。法律の専門知識がなくても、必要事項を記入するだけで適切な法的文書を作成できます。
【2】逐条解説
この文書は、お金を貸した人(質権者)が担保として預かった物(質物)を使用する際の約束事を明確にするものです。別途取り交わした質権設定契約書の補足文書として機能し、担保物の有効活用を図りながら貸したお金の回収を効率的に進めるための仕組みを提供します。
冒頭部分では、既に締結されている質権設定契約書との関連を明示することで、この使用承諾書の法的な位置づけをはっきりさせています。これにより、質権設定という基本的な契約と、使用承諾という追加的な取り決めの関係性が整合性を保ちながら運用できるようになります。
1番目の条件では、担保物を適切に使用することを求めています。「通常の使用方法」とは、一般的に認められている使い方や業界の慣習に従った使用を意味します。これにより、過度な使用による劣化や損傷を防ぎ、担保価値を維持します。
2番目の条件は、修理代などの費用負担について定めています。質権者に費用負担の責任を課すことで、担保物の適切な維持管理を促すとともに、物の持ち主(質権設定者)の経済的負担を軽減します。
3番目の条件は、使用によって生じた収入の扱いについて説明しています。収入から費用を差し引いた残額を借金の返済に充てることで、担保物の活用が直接的に債権回収につながる仕組みを作っています。また、毎月の書面による報告義務を通じて、収支の状況を両者で共有し、信頼関係を維持します。
担保物の詳細記載欄では、製品名や型式、製造番号などを具体的に記入することで、対象となる物を明確に特定し、将来のトラブルを防ぎます。これらの情報は、担保物の同一性を証明する重要な要素となります。