第1条(管理委託物件)
この条項では、管理を委託する物件の詳細情報(所在地、家屋番号、種類、構造、床面積など)を明記します。物件を特定する重要な項目なので、住所や建物の詳細情報は正確に記載しましょう。例えば、マンションの一室だけを委託する場合は部屋番号まで、一棟丸ごと委託する場合はすべての部屋数や総床面積なども記載するとよいでしょう。物件情報が不明確だと後々トラブルの原因になることがあります。
第2条(管理業務の内容)
管理会社に委託する具体的な業務内容をリストアップしています。一般的には「保存・衛生管理・営繕」「入居者募集・契約管理」「家賃徴収・収支管理」などが含まれます。実際の契約では、例えば「24時間対応の緊急連絡窓口の設置」や「定期的な物件巡回(月2回)」など、より具体的な内容を追加することもできます。オーナーがどこまでを任せたいのかをはっきりさせておくことが重要です。
第3条(契約期間)
契約の有効期間と自動更新についての取り決めです。多くの場合は1年契約で、特に申し出がなければ自動更新される形式になっています。契約開始日は管理業務が実際に始まる日を設定します。例えば新築物件なら入居者募集を始める1〜2ヶ月前から契約することが一般的です。
第4条(管理料)
管理会社への報酬額と、その改定条件について定めています。管理料は通常、月額賃料の5〜10%程度が相場です。空室時の管理料をどうするかも明記した方がよいでしょう。家賃5万円の物件なら月2,500円〜5,000円程度、10室あれば月25,000円〜50,000円程度の管理料が目安になります。
第5条(諸費用の負担)
管理業務を行う上での必要経費の負担者を明確にしています。例えば共用部の電気代や清掃費、広告費などが含まれますが、契約によってカバーされる範囲は異なります。特に入居者募集のための広告費について、どちらが負担するのかは事前に確認しておくべき重要なポイントです。
第6条(甲の同意を必要とする事項)
オーナーの承認が必要な事項、特に修繕に関する決裁権限の範囲を定めています。例えば「3万円以上の修繕はオーナーの許可が必要」といった形で金額的な基準を設けるのが一般的です。ただし給水管の破裂など緊急時には事後承諾でよいとする例外規定も設けられています。エアコンの修理など高額になりがちな修繕については、事前に対応方針を決めておくと安心です。
第7条(収支報告書の提出等)
管理会社からオーナーへの収支報告義務と、集金した家賃等の送金時期や方法について定めています。一般的には翌月10日頃までに前月分の報告と送金が行われます。報告書には入居者の入退去情報や修繕履歴なども含まれるのが望ましいです。オーナーは報告書をよく確認し、不明点があればすぐに質問するようにしましょう。
第8条(紛争等の対応)
入居者とのトラブルや近隣との紛争など、通常の管理業務を超える事態への対応方法を定めています。例えば騒音トラブルや家賃滞納者への対応など、専門的な知識や時間を要する業務については追加報酬が発生する場合があります。夜間の緊急対応や強引なクレーム対応などは、基本管理料とは別に費用がかかることもあります。
第9条(協議事項)
契約書に明記されていない事項への対応方針を定めています。不明点や解釈の違いが生じた場合は、民法や慣習に従い、オーナーと管理会社が話し合いで解決することを原則としています。例えば、災害時の対応など予測できない事態が発生した場合も、まずは当事者同士の誠実な協議で解決策を探ることになります。
この契約書は不動産オーナーと管理会社の関係を明確にし、トラブルを未然に防ぐための重要な書類です。物件の特性や管理会社のサービス内容によって、条項の一部を修正・追加することも検討しましょう。特に管理料や修繕費の決裁権限、報告義務などは、オーナーにとって重要なポイントになります。契約前に十分な話し合いを行い、お互いが納得した上で契約を結ぶことが大切です。