【1】書式概要
この荷為替手形売買契約書は、会社間で商品を売り買いする際に使える契約書の見本です。特に、売り手が商品を送り、買い手がその代金を支払う流れを安全に進めるために役立ちます。
荷為替手形とは、商品の引換証や船荷証券と一緒に使われる支払いの約束書のようなものです。この契約書は、2020年に改正された新しい民法に合わせて作られており、最新の法律に対応しています。
この契約書を使うと、いつ・いくらの支払いが必要か、商品はどのように届けられるか、もし商品に問題があった場合どうするか、支払いが遅れたらどうなるかなど、取引の重要なポイントをはっきりさせることができます。また、契約を途中でやめる条件や、反社会的な団体との関わりを禁止する内容も含まれています。
特に輸出入業務や大きな金額の取引をする企業に役立ちますが、商品の売買を行う様々な場面で使えます。この見本をもとに、自社の取引に合わせて内容を調整すれば、トラブルを防ぎ、安心して取引を進められるでしょう。商品が確実に届き、支払いもしっかり行われる、そんな取引のための基本的な枠組みを提供します。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(荷為替手形の内容)
第3条(決済の方法)
第4条(商品の引渡し)
第5条(契約不適合責任)
第6条(危険負担)
第7条(所有権の移転)
第8条(決済遅延の損害賠償)
第9条(秘密保持)
第10条(契約の解除)
第11条(反社会的勢力の排除)
第12条(管轄裁判所)
第13条(準拠法)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条項は「この契約は何のためにあるのか」を説明しています。要するに、売主(甲)が買主(乙)に荷為替手形という支払いの仕組みを使って商品を売り、買主はそれを買うという基本的な約束事を書いています。
第2条(荷為替手形の内容)
荷為替手形の具体的な中身を決めています。いくらの金額か、いつ支払うのか、そして商品を受け取るための証明書(貨物引換証や船荷証券)をつけることを定めています。これは「お金を払わないと商品は受け取れませんよ」という安全装置のようなものです。
第3条(決済の方法)
お金の支払い方法を具体的に説明しています。買主は荷為替手形を受け取ることで支払う約束をし、決められた日までに銀行を通じて支払います。売主はお金を受け取った後で、商品を受け取るための証明書を買主に渡します。これで「先に払ってから商品をもらう」という流れが確保されます。
第4条(商品の引渡し)
商品をどうやって届けるかの手順です。売主は運送会社を通じて商品を送り、買主は商品を受け取るための証明書と引き換えに運送会社から商品を受け取ります。直接手渡しではなく、運送会社を間に入れるのが荷為替取引の特徴です。
第5条(契約不適合責任)
2020年に民法が変わって新しくなった条項です。届いた商品が約束と違っていた場合(種類が違う、品質が悪い、数が足りないなど)の売主の責任を定めています。買主は「これ、注文したものと違うよ」と言える権利が保障されています。
第6条(危険負担)
商品がまだ途中で届いていない間に、誰のせいでもなく壊れたり無くなったりした場合、そのリスクは誰が負うのかを決めています。この契約では「売主に責任がない場合は買主が損害を負担する」としています。例えば、自然災害で商品が損傷した場合などが該当します。
第7条(所有権の移転)
商品の「持ち主」がいつ売主から買主に変わるのかを明確にしています。この契約では、買主がお金を払った時点で商品の所有権が移るとしています。これにより「お金を払ったのに商品がもらえない」「商品を渡したのにお金がもらえない」といったトラブルを防ぎます。
第8条(決済遅延の損害賠償)
買主が期日までにお金を払わなかった場合のペナルティについて定めています。支払いが遅れた場合、約束した年率の遅延損害金(遅延利息のようなもの)を払わなければならないとしています。これは「ちゃんと期日を守って支払いましょう」という動機づけになります。
第9条(秘密保持)
取引を通じて知った相手の会社の秘密情報を外部に漏らしてはいけないというルールです。お互いの信頼関係を守るための約束で、「この取引で知った情報は口外しません」という誓約にあたります。
第10条(契約の解除)
どういう場合に契約を途中で終わらせることができるかを詳しく説明しています。相手が契約に違反した場合や、経営が悪化した場合(手形が不渡りになった、破産申請したなど)には、契約を解除できるとしています。また、契約を解除しても損害賠償を請求する権利は残ることも明記しています。
第11条(反社会的勢力の排除)
暴力団などの反社会的な団体との関係がないことを互いに約束する条項です。両者とも「自分は反社会的勢力ではない」と宣言し、もしそうだったり関係があったりした場合は、相手はすぐに契約を解除できるとしています。これは健全な商取引を確保するための重要な約束です。
第12条(管轄裁判所)
もし争いごとが起きた場合、どこの裁判所で解決するかを決めています。この契約では特定の地方裁判所を第一審の裁判所と定めています。これにより「裁判するならどこでやるの?」という余計な争いを防ぎます。
第13条(準拠法)
この契約は日本の法律に基づいて解釈されることを明記しています。特に国際取引の場合、「どの国の法律で判断するのか」が重要になるため、この条項で「日本法で判断します」と明確にしています。