【1】書式概要
この自動車売買契約書は、改正された民法に完全対応した買主保護を重視した契約書式です。自動車の個人間売買や中古車販売店での取引において、購入者側の権利をしっかりと守る内容で作成されています。
従来の売買契約では見落とされがちだった契約不適合責任や危険負担の規定を明確化し、買主が不利にならないよう細心の注意を払って条文を構成しました。特に中古車特有のトラブルである隠れた瑕疵や所有権の問題についても、買主の立場から万全の対策を講じています。
この契約書が威力を発揮するのは、中古車販売店での車両購入時、個人間での自動車売買、オークションサイトでの車両取引、法人間での社用車売買など、様々な場面です。契約後のトラブルを未然に防ぎ、安心して取引を進めることができます。
Word形式で提供されているため、取引の内容に応じて条文の修正や追加が簡単に行えます。車両情報や代金の記載欄は●印で示されており、実際の取引内容を入力するだけで即座に使用可能です。反社会的勢力の排除条項も盛り込まれており、現代のビジネス環境に対応した実用性の高い契約書となっています。
【2】条文タイトル
第1条(本件車両の売買) 第2条(代金の支払い) 第3条(本件車両の引き渡し・所有権の移転) 第4条(危険の移転) 第5条(公租公課) 第6条(保証) 第7条(催告解除・無催告解除・損害賠償) 第8条(契約不適合) 第9条(合意管轄) 第10条(協議)
【3】逐条解説
第1条(本件車両の売買)
この条文は契約の根幹となる売買の対象となる車両を特定し、売買代金を明確にします。登録番号や車体番号といった車両を一意に特定できる情報を記載することで、後日の混乱を防ぎます。例えば「品川500あ1234」といった登録番号を正確に記載することで、同じ車名でも別の車両との取り違えを防げます。代金についても「金150万円」のように具体的な数字を入れることで、支払い義務を明確化しています。
第2条(代金の支払い)
支払方法と期限を定める重要な条文です。一括払いの場合は「令和6年8月15日限り」といった具体的な期日を、分割払いの場合は「令和6年9月から令和7年2月まで、毎月末日限り、金25万円ずつ」のように詳細な支払スケジュールを記載します。この明確化により、支払遅延時の対応もスムーズになります。
第3条(本件車両の引き渡し・所有権の移転)
代金支払いと車両引き渡しの同時履行を定めた条文で、買主を保護する重要な規定です。車を先に渡したのに代金が支払われないといったトラブルを防ぎます。また、名義変更手続きについても売主の義務として明記していますが、費用負担は買主となっています。実際の取引では陸運局での手続きに数万円かかることもあるため、事前の確認が必要です。
第4条(危険の移転)
車両の引き渡し前後で事故や災害による損害の負担者を明確にした条文です。例えば引き渡し前に地震で車両が損傷した場合、売主が損害を負担し、買主は代金を支払う必要がありません。引き渡し後であれば買主の負担となります。この規定により、天災などの不可抗力による損害の責任が曖昧になることを防げます。
第5条(公租公課)
自動車税や重量税などの税金負担について定めた条文です。通常、年度途中の売買では月割りで計算することが多く、例えば6月に売買した場合、4月から5月分は売主、6月以降は買主が負担するといった取り決めをします。この条文では買主がすべて負担することになっているため、実際の取引では調整が必要な場合もあります。
第6条(保証)
売主が車両について保証する内容を定めた重要な条文です。担保権の不存在や占有状況について売主が責任を持つことを明記しています。例えば車両にローンが残っていたり、第三者が使用権を持っていたりする場合、売主が自己負担で解決しなければなりません。中古車取引でよくあるトラブルを事前に防ぐ効果があります。
第7条(催告解除・無催告解除・損害賠償)
契約違反や特定の事由が発生した場合の契約解除について定めた条文です。買主の支払能力に問題が生じた場合や反社会的勢力との関係が判明した場合など、売主が即座に契約を解除できる条件を列挙しています。一方で、通常の契約違反については催告期間を設けることで、買主に是正の機会を与える公平な内容となっています。
第8条(契約不適合)
改正民法の目玉である契約不適合責任について詳細に定めた条文です。従来の「瑕疵担保責任」から変更された新しい制度に対応しています。例えば走行距離の改ざんや事故歴の隠蔽が発覚した場合、買主は修理請求や代金減額を求めることができます。ただし3年の期間制限があるため、早期の発見と通知が重要です。
第9条(合意管轄)
契約に関する紛争が生じた場合の裁判所を事前に決めておく条文です。例えば「東京地方裁判所」と記載すれば、双方が離れた場所に住んでいても東京で裁判を行うことになります。これにより、どこで裁判をするかでもめることを防げます。買主に有利な契約書では、買主の住所地を管轄する裁判所を指定することも考えられます。
第10条(協議)
契約書に記載のない事項や解釈に疑問が生じた場合の解決方法を定めた条文です。まずは当事者間の話し合いで解決を図ることを明記しており、いきなり裁判に発展することを防ぐ効果があります。実際の取引では細かな点で疑問が生じることも多いため、この条文があることで円滑な問題解決が期待できます。
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