【1】書式概要
この終身定期金契約書は、人生の様々な局面で必要となる重要な合意事項を明確にする書式です。まるで長期の約束事を紙の上で形にするように、お金を借りた人(甲)が、お金を貸した人(乙)に対して抱える義務を、第三者(丙)への定期的な支払いによって返済していく仕組みを定めています。
この書式が特に力を発揮するのは、高齢の親への生活資金の支援や、老後の生活保障を約束する場面、あるいは離婚に伴う養育費や慰謝料の代替手段として活用される際です。例えば、事業の資金繰りで親から借り入れた資金を、その親への定期的な生活費として返済していくケースや、住宅ローンの連帯保証で協力してもらった親族への謝礼を月々の支払いという形で実現する場合など、家族間の金銭問題を円滑に解決するための強力なツールとなります。
何より、この契約書の最大の特徴は、一度の大きな支払いではなく、毎月の定期的な小さな支払いに分割することで、債務者の負担を軽減しながら、受益者には安定した収入を保障するという、まさに「一石二鳥」の効果を生み出す点にあります。しかも、受益者が生存している限り支払いが続くという「終身」の性質は、老後の不安を和らげる安心の担保となり、お金の問題が人間関係を壊すリスクを最小限に抑えてくれます。
さらに、この書式は民法改正にも対応しており、時代の変化にも柔軟に対応できる信頼性の高いツールとして、多くの方に活用いただけることでしょう。契約書という堅い響きとは裏腹に、人と人とのつながりを大切にする温かな約束事を守るための、心強い味方となるはずです。
〔条文タイトル〕
第1条(債務の確認)
第2条(定期金の支払)
第3条(債務の消滅)
第4条(契約解除)
第5条(期限の利益喪失)
第6条(管轄合意)
【2】逐条解説
第1条(債務の確認)
この条文は、甲(債務者)が乙(債権者)に対して負っている金銭債務を明確に文書化しています。書面により双方の認識を統一することで、後日の紛争を防止する機能を持っています。
第2条(定期金の支払)
この条文は、丙(受益者)が権利の行使を明確に示すことで、丙の生存中、甲から毎月一定額の支払いを受ける仕組みを定めています。支払方法として銀行振込を指定し、毎月末日という明確な期日を設定することで、確実な履行を図っています。契約終了月も支払対象となる点を明記しています。
第3条(債務の消滅)
この条文は、第2条の定期金支払義務を履行することにより、第1条で確認した債務が消滅することを明確にしています。これにより、定期金の支払完了後は新たな債務が残らないことを保証しています。
第4条(契約解除)
この条文は、甲が定期金の支払いを3ヶ月以上怠った場合、乙が丙の同意を得た上で契約を解除できる権利を定めています。これにより、支払い遅滞に対する救済措置を明確化しています。
第5条(期限の利益喪失)
この条文は、契約解除時の清算方法を規定しています。解除された場合、甲は第1条の金額を即時に弁済する義務を負いますが、既に支払った定期金額の半額を控除できるルールを設けています。これにより、清算時の計算方法を明確化しています。
第6条(管轄合意)
この条文は、本契約に関する紛争の際の裁判管轄を定めています。乙又は丙の住所地を管轄する地方裁判所を第一審の専属管轄とすることで、訴訟時の裁判所を明確化し、手続きの円滑化を図っています。