【1】書式概要
この「税理士紹介サービス利用規約〔サイト有利版〕」は、税理士紹介プラットフォームを運営するビジネスオーナーのために作成された実用的な規約テンプレートです。改正民法に完全対応しており、サービス提供者側に有利な条件設定となっています。
税理士とクライアントを繋ぐマッチングサービスを始める際に必要な法的保護と責任範囲を明確に定義しています。利用者登録から税理士との契約成立まで、トラブル防止に役立つ包括的な内容となっています。
特に紹介手数料の設定や禁止事項の明記など、事業収益を確保するための重要条項も盛り込まれています。これからマッチングサービスサイトを立ち上げる方や、既存の規約を見直したい運営者にとって、すぐに活用できる即戦力の文書です。各条項は実務経験に基づいて練り上げられており、サービス提供者の立場を守りながらも、利用者にとっても分かりやすい内容となっています。
【2】条文タイトル
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(規約の適用及び変更)
第4条(利用登録)
第5条(アカウント管理)
第6条(サービス内容)
第7条(税理士との契約)
第8条(利用料金及び支払方法)
第9条(紹介手数料)
第10条(禁止事項)
第11条(サービスの停止・中断)
第12条(利用制限・登録抹消)
第13条(保証の否認・免責事項)
第14条(秘密保持)
第15条(個人情報の取扱い)
第16条(権利義務の譲渡禁止)
第17条(損害賠償)
第18条(通知等)
第19条(分離可能性)
第20条(準拠法及び管轄裁判所)
第21条(協議解決)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条項では規約の基本的な目的と適用範囲を明確にしています。運営会社と利用者間の権利義務関係を定めることがメインであり、この規約への同意がサービス利用の前提条件となります。例えば、Webサイト上で「同意する」ボタンをクリックする仕組みを設けると、利用者の明示的な同意を得るプロセスになります。
第2条(定義)
規約内で使われる重要な用語の定義付けを行っています。「利用者」「税理士」「紹介サービス」などの基本概念だけでなく、「知的財産権」「投稿データ」といった専門的な用語も明確に定義することで、後の条項での解釈の違いによるトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。特に「投稿データ」の定義は、利用者が投稿した情報の取扱いに関する権利関係を整理する上で重要です。
第3条(規約の適用及び変更)
規約の適用範囲と変更手続きについて定めています。特に重要なのは、規約変更の際の通知義務や変更後の規約発効タイミングです。実際の運用では、ウェブサイト上での告知や登録メールアドレスへの通知などの方法が考えられます。また、変更後のサービス利用をもって同意とみなす規定は、再同意取得の手間を省く実務的な対応として有効です。
第4条(利用登録)
利用者としての登録手続きに関する規定です。登録希望者は真実かつ正確な情報を提供する義務があり、虚偽情報の提供や反社会的勢力との関わりがある場合などは、登録を拒否できる旨を明記しています。実際の運用では、登録フォームに必須項目を設け、登録拒否事由に該当しないことを確認するチェックボックスを設置するなどの対応が効果的です。
第5条(アカウント管理)
利用者のアカウント管理責任について規定しています。ID・パスワードの管理不十分による損害は利用者が負うことを明確にし、不正アクセスが判明した場合の通知義務も規定しています。実際には、定期的なパスワード変更推奨や、不審なログインがあった場合のアラート機能の実装なども検討すると良いでしょう。
第6条(サービス内容)
サービスの本質的な内容と、その変更・中止に関する運営側の権限を規定しています。サービス内容の変更や中止について事前通知義務を免除する条項は運営側に大きな裁量を与えるものですが、急なシステムトラブルなどの緊急事態にも対応できる柔軟性を確保できます。ただし、実際の運用では、可能な限り事前告知を行うことが顧客満足度の維持には重要です。
第7条(税理士との契約)
本サービスの核心部分である、利用者と税理士間の契約関係について規定しています。紹介サービスとしての立ち位置を明確にし、実際の契約は当事者間で直接行われること、紛争についても当事者間で解決することを明記しています。
例えば、税理士が約束した期限内に対応しなかった場合や、利用者が支払いを怠った場合などのトラブルに対して、運営会社は原則として責任を負わない立場を明確にしています。
第8条(利用料金及び支払方法)
サービス利用料金とその支払いに関する基本的な事項を規定しています。料金体系、支払方法、遅延損害金(年14.6%)の規定などを含み、返金不可の原則も明記しています。実務上は、クレジットカード決済や銀行振込など複数の支払い方法を用意し、自動更新課金の場合は事前通知の仕組みを設けるなどの配慮が望ましいでしょう。
第9条(紹介手数料)
税理士との契約成立時に発生する紹介手数料について規定しています。この条項はサービスの収益モデルに直結するため、手数料の計算方法や支払時期について別途詳細を定めることが想定されています。
例えば、契約金額の10%を初回のみ支払う方式や、継続的な顧問契約の場合は月額報酬の一定割合を定期的に支払う方式など、ビジネスモデルに応じた設計が可能です。
第10条(禁止事項)
利用者が行ってはならない行為を詳細に列挙しています。特に重要なのは、法令違反行為の禁止や、他の利用者・税理士への嫌がらせ行為の禁止、そして(16)項の「本サービスを通さずに直接依頼する行為」の禁止です。後者は収益の漏出を防ぐ重要な規定であり、例えば初回面談後に「今後は直接連絡を取り合おう」と持ちかけるような行為を禁止することで、プラットフォームとしての収益を守ります。
第11条(サービスの停止・中断)
システムメンテナンスや障害発生時などに、サービスを一時的に停止・中断できる条件を規定しています。災害などの不可抗力による停止も含めており、そのような事態による損害の免責も明記されています。実際の運用では、定期メンテナンスは事前告知を行い、緊急停止時には迅速に情報共有を行うなど、ユーザー体験を考慮した対応が望ましいでしょう。
第12条(利用制限・登録抹消)
利用者側の問題行為があった場合に、サービス利用を制限したり、登録を抹消したりできる条件を規定しています。規約違反はもちろん、長期間のサービス未利用や、運営会社からの連絡に応答しないといった場合も対象となります。例えば、3ヶ月以上ログインがない場合にはアカウント停止の事前通知メールを送るといった運用も考えられます。
第13条(保証の否認・免責事項)
サービスに関する保証の否認と、損害賠償の上限を定めています。特に、過去12ヶ月間の利用料金を超える賠償責任を負わないこと、間接損害や逸失利益については賠償責任を負わないことを明記している点が重要です。具体例としては、紹介された税理士のアドバイスに基づいて行った申告が後に誤りと判明し、追徴課税された場合でも、プラットフォーム運営者は責任を負わないということになります。
第14条(秘密保持)
本サービスを通じて知り得た秘密情報の取扱いについて規定しています。何が秘密情報に該当するかの定義、秘密情報の利用目的の制限、第三者への提供禁止、複製禁止、そして契約終了時の返却・廃棄義務まで詳細に定めています。例えば、顧客の財務情報や税務戦略などの機密性の高い情報が、関係のない第三者に漏れないようにするための規定です。
第15条(個人情報の取扱い)
利用者の個人情報の取扱いに関する規定です。プライバシーポリシーに従って取り扱うことと、サービス提供のために必要な範囲で税理士に個人情報を提供する可能性があることを明記しています。実際の運用では、氏名・連絡先・相談内容などの個人情報が税理士に共有されることになりますが、これに対する同意を得ることをここで規定しています。
第16条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を禁止する規定と、事業譲渡時の例外規定を設けています。後者は、運営会社が事業譲渡や会社分割などを行う際に、利用者との契約関係を円滑に移転するための重要な条項です。例えば、スタートアップが大手企業に買収される場合や、事業部門の分社化を行う場合などに適用されます。
第17条(損害賠償)
利用者が規約違反などで運営会社に損害を与えた場合の賠償責任や、第三者との紛争発生時の対応について規定しています。特に、運営会社が第三者から請求を受けた場合に、その支払いを利用者が賠償する義務を明記している点は重要です。例えば、利用者が投稿した内容が第三者の著作権を侵害し、運営会社が権利者から損害賠償請求を受けた場合などに適用されます。
第18条(通知等)
運営会社と利用者間の連絡や通知の方法について詳細に規定しています。特に、通知の到達時点や効力発生時点を明確にしている点が重要です。実務上は、重要な通知はメールと運営サイト上の両方で行うなど、確実に情報が届くための工夫が望ましいでしょう。
第19条(分離可能性)
規約の一部が無効となった場合でも、残りの部分は有効に存続することを確認する条項です。例えば、禁止事項の一部が消費者契約法に抵触して無効と判断された場合でも、その他の規定は引き続き効力を持つことを明確にしています。これにより、一部条項の無効が規約全体の崩壊につながることを防いでいます。
第20条(準拠法及び管轄裁判所)
規約の解釈や紛争解決に適用される法律(日本法)と、裁判となった場合の管轄裁判所を定めています。通常は運営会社の所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることが多いでしょう。この規定により、遠隔地の利用者との紛争でも、運営会社に便利な裁判所で解決できる利点があります。
第21条(協議解決)
規約に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法として、当事者間の信義誠実の原則に基づく協議を規定しています。実際の運用では、問題発生時にまずは話し合いでの解決を試み、それでも解決しない場合に裁判等の手続きに移行するという段階的なアプローチが一般的です。