【1】書式概要
この私道負担付土地売買契約書は、改正民法に完全対応した実務で即使える専門テンプレートです。私道(道路)を含む土地の売買は通常の不動産取引とは異なり、道路使用権の確保や地役権の設定など、特別な配慮が必要となります。
本契約書は、私道部分の権利関係を明確に規定し、将来的なトラブルを防ぐための実践的な条項を網羅しています。不動産業者様、司法書士様、行政書士様をはじめ、個人間での私道付き土地取引にも対応可能な汎用性の高い書式となっています。
実測売買方式を採用しているため、測量による面積の増減にも柔軟に対応でき、公正な取引を実現します。また、私道使用規約の順守や将来的な譲渡時の注意点についても明確に定めており、長期的な安定した私道管理が可能です。
契約不適合責任の規定は改正民法に準拠し、現代の不動産取引に則した内容となっています。専門知識なしでも安心して使用できるよう、条文は平易な表現で作成されており、必要に応じて項目のカスタマイズも容易です。
私道付き土地の売買は複雑な権利関係を伴うため、適切な契約書が不可欠です。本書式を活用することで、買主・売主双方の権利を守りながら、スムーズな取引を実現することができます。不動産取引の専門家から個人まで、幅広くご活用いただける実践的な契約書テンプレートです。
〔条文タイトル〕
第1条(売買)
第2条(私道負担)
第3条(実測による売買代金の修正)
第4条(手付け)
第5条(代金の支払)
第6条(所有権の移転)
第7条(所有権移転登記)
第8条(引渡し)
第9条(担保権等の抹消)
第10条(契約不適合の担保責任の免除)
第11条(危険負担)
第12条(公租公課の負担)
第13条(解除)
第14条(違約金)
第15条(契約締結費用の負担)
第16条(管轄)
第17条(協議事項)
【2】逐条解説
第1条(売買)
本条は私道負担付土地売買における売買の基本的な合意を明確にする条項です。宅地部分と私道部分を明確に区別し、両方が売買対象となることを確認します。私道部分の存在は土地の利用形態に大きく影響するため、物件の属性として特に明示する必要があります。
第2条(私道負担)
私道部分の法的位置づけと使用関係を規定する最も重要な条項です。地役権設定の承認、無償での道路使用、通行妨害の禁止など、私道の円滑な管理運営に不可欠な事項を定めます。私道使用規約の順守義務も含まれ、私道を利用する他の所有者との調和を図ります。
第3条(実測による売買代金の修正)
実測売買方式を採用することで、公正な取引を実現します。測量費用の負担者の明確化により、売主の責任を明確にし、買主の不利益を防ぎます。単価精算による公平な代金調整方法は、実務で広く採用される標準的な手法です。
第4条(手付け)
解約手付としての性質を明確にすることで、契約解除時の取り扱いを予め定めます。手付金の充当方法や履行着手の概念についても規定し、契約履行プロセスを明確化します。
第5条(代金の支払)
中間金と残代金の支払時期を明確にし、引渡しや登記手続きとの連動を図ります。支払いスケジュールの明確化により、資金計画の確実性を高め、取引の安全性を確保します。
第6条(所有権の移転)
所有権移転の時期を明確に規定することで、権利関係の不明確さを排除します。代金完済時点での所有権移転という明確な基準は、取引の安全性を高めます。
第7条(所有権移転登記)
登記手続きの実施時期と費用負担を明確にし、必要な変更登記についても規定します。書類交付による履行完了という実務的な取り扱いを定め、手続きの確実性を担保します。
第8条(引渡し)
物理的な引渡しと金銭支払いを同時履行とすることで、双方の権利保護を図ります。具体的な引渡日の定めにより、取引完了時期を明確化します。
第9条(担保権等の抹消)
買主の完全な所有権取得を確保するため、売主に担保権等の抹消義務を課します。ただし、私道部分に関する道路使用の負担は除外され、私道の継続的使用を保証します。
第10条(契約不適合の担保責任の免除)
改正民法に準拠した契約不適合責任の規定を設けつつ、現状有姿での引渡しを基本とすることで、売主の負担を軽減します。ただし、故意に告げない事実や売主自身が設定した権利については責任を免れないことを明確にし、バランスの取れた責任配分を実現します。
第11条(危険負担)
引渡しまでの期間における危険負担を売主に帰属させることで、買主の保護を図ります。不可抗力による滅失・毀損のリスク配分を明確化し、紛争予防に寄与します。
第12条(公租公課の負担)
公租公課の負担時期を明確に区分することで、金銭的な権利関係を整理します。引渡日を基準とした負担区分は、実務で一般的に採用される方法です。
第13条(解除)
契約違反時の解除手続きを明確化し、催告と解除の関係を規定します。適切な履行の機会を与えることで、性急な契約解除を防止し、当事者間の権利保護を図ります。
第14条(違約金) 違約金の額を予め定めることで、契約違反時の損害賠償を明確化します。売主・買主それぞれの場合における違約金額の規定により、契約の履行を確保し、紛争時の迅速な解決を可能にします。
第15条(契約締結費用の負担)
契約書作成等に要する費用の負担を明確化することで、後日の紛争を防止します。折半とすることで、当事者間の公平な負担配分を実現します。
第16条(管轄) 紛争解決の場となる裁判所を予め定めることで、争訟手続きの確実性を高めます。管轄合意により、予測可能な紛争解決プロセスを確保します。
第17条(協議事項)
契約に定めのない事項の取り扱いを規定し、当事者の誠実協議義務を明確化します。関係法令や慣行に従うことで、社会的に妥当な解決を指向します。