【1】書式概要
この規約は、遠方に住んでいてなかなかお墓参りに行けない方や、高齢や体調の問題で墓所への訪問が難しい方に代わって、お墓の清掃やお参りを行うサービスを提供する事業者のための契約書テンプレートです。
近年、少子高齢化や地方からの人口流出により、先祖代々のお墓が遠方にあって定期的な墓参りが困難になっているケースが増えています。また、身体的な理由で墓所まで足を運べない方も少なくありません。そうした社会的ニーズに応える形で誕生したのが墓参り代行サービスで、この文書はそのサービスを安心して提供するために必要な契約内容を整理したものになります。
この規約をベースにすることで、サービスの具体的な内容、料金の支払い方法、天候不良時の対応、キャンセル時の取り決め、万が一のトラブル時の責任範囲など、事業者とお客様の双方が安心して取引できる枠組みを作ることができます。新しく墓参り代行事業を始める方、既存の便利屋や清掃サービスに新メニューとして追加したい方、葬儀社や石材店が付帯サービスとして展開する際など、様々な場面で活用できる内容となっています。
Word形式で提供されるため、自社の事業内容に合わせて自由に編集が可能です。会社名や料金設定、サービスの詳細などを書き換えるだけで、すぐに実務で使える契約書として完成させられます。専門的な知識がなくても分かりやすい表現を使っているので、初めて契約書を作る方でも安心してお使いいただけます。
【2】条文タイトル
- 第1条(目的)
- 第2条(定義)
- 第3条(サービス内容)
- 第4条(利用申込)
- 第5条(利用料金及び支払方法)
- 第6条(サービス実施日の変更・中止)
- 第7条(キャンセル)
- 第8条(利用者の義務)
- 第9条(禁止事項)
- 第10条(免責事項)
- 第11条(個人情報の取扱い)
- 第12条(写真・報告書の利用)
- 第13条(契約の解除)
- 第14条(規約の変更)
- 第15条(準拠法及び管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文では、この規約が何のために存在するのかを明確にしています。墓参り代行サービスという特殊なサービスを提供する際に、事業者とお客様の間でどういったルールで取引を行うのかを定めるための基本方針を示すものです。契約書全体の入り口として、読む人に「これは墓参り代行に関する約束事ですよ」と分かってもらう役割があります。
第2条(定義)
契約書の中で繰り返し使われる言葉の意味をあらかじめ決めておく条文です。たとえば「利用者」というのはサービスを申し込んだお客様のことで、「代行者」は実際に墓所に行ってお参りをする担当者のことを指します。「墓所」についても、お墓だけでなく納骨堂なども含むことを明示しており、言葉の解釈でトラブルにならないよう配慮されています。こうした定義をしっかり決めておくと、後々の条文を読むときにスムーズですし、何かあったときも「あの言葉はこういう意味だったよね」と確認できるわけです。
第3条(サービス内容)
墓参り代行サービスで具体的に何をするのかを列挙した条文です。墓所への訪問、墓石の簡易清掃、お花や供物を供えること、合掌してお参りすること、そして訪問の様子を写真に撮って報告書にまとめることなどが含まれています。お客様からすれば「お金を払って何をしてもらえるのか」が一目瞭然になりますし、事業者側も「ここまでやります、ここから先は別料金です」という線引きができます。たとえば墓石の本格的なクリーニングや雑草の除去は含まれないといった具合に、後からオプションとして追加することも想定できる作りになっています。
第4条(利用申込)
サービスを利用したい人がどうやって申し込むのか、そして事業者がどんな場合に申し込みを断れるのかを定めています。申込書に嘘の情報が書いてあったり、過去にトラブルを起こした人だったり、墓地の管理者が代行サービスを禁止している場所だったりすると、事業者は契約を結ばなくてもいいという内容です。これは事業者を守るための大切な条文で、リスクの高い取引を避けることができます。
第5条(利用料金及び支払方法)
料金をいくらにするか、どうやって支払ってもらうかを決める条文です。クレジットカードや銀行振込など、支払い手段も明記されています。振込手数料はお客様負担とする一方で、料金には交通費や献花代、清掃用具代が含まれることも書かれており、追加料金が発生しない安心感を与えています。料金体系を明確にすることは、後々の金銭トラブルを防ぐうえで非常に重要です。
第6条(サービス実施日の変更・中止)
予定していた日にサービスが実施できなくなる場合の取り決めです。台風や豪雪で墓所に行けない、墓地が臨時休業している、担当者が急病になったなど、やむを得ない理由があれば日程変更や中止ができるとしています。ただし、その場合は速やかにお客様に連絡して代わりの日を相談することも義務付けており、一方的に放置されることがないよう配慮されています。サービス業ではこうした不測の事態への対応を決めておくことが信頼につながります。
第7条(キャンセル)
お客様の都合でキャンセルする場合のルールです。1週間前までなら無料、それ以降は実施日に近づくほどキャンセル料が高くなる仕組みになっています。これは事業者が既にスケジュールを確保していたり、準備を始めていたりすることへの補償という意味があります。飛行機やホテルの予約と同じような考え方で、多くのお客様に納得してもらいやすい料金設定になっています。
第8条(利用者の義務)
お客様側に守ってもらいたいことを定めた条文です。墓所の場所を正確に伝える、墓地に入る許可を取っておく、特別な作法があれば事前に教える、鍵が必要なら預けるといった内容です。たとえば宗派によって線香の本数が決まっていたり、特定の日に訪問してほしかったりすることもあるので、そういった希望は申し込み時に伝えてもらう必要があります。お客様にも協力してもらうことで、スムーズなサービス提供が実現できます。
第9条(禁止事項)
お客様がやってはいけないことを列挙しています。嘘の情報を伝えたり、担当者に暴言を吐いたり、モラルに反する目的でサービスを使ったりすることを禁止しています。残念ながら世の中にはサービススタッフに対して理不尽な要求をする人もいるので、そういった行為を明確に禁止しておくことで、働く人を守ることができます。
第10条(免責事項)
事業者が責任を負わなくていい場合を定めた重要な条文です。たとえば地震や台風といった自然災害、戦争やテロ、墓地管理者の判断で立ち入りができなくなった場合などは、事業者の責任ではないとしています。また、お客様が教えてくれた墓所の場所が間違っていて無駄足になった場合や、もともと墓石がひび割れていたような場合も責任を負わないと明記しています。仮に事業者のミスで損害が出たとしても、賠償額はサービス料金が上限というルールも設けており、過大な賠償リスクから事業を守る仕組みになっています。
第11条(個人情報の取扱い)
お客様の名前や連絡先、墓所の場所といった個人情報をどう扱うかを定めています。プライバシーポリシーに従って適切に管理することを約束する内容で、情報漏洩などのトラブルを防ぐための条文です。近年は個人情報保護の意識が高まっているので、この一文があるだけでお客様の安心感が違います。
第12条(写真・報告書の利用)
サービス実施後に墓所の写真と報告書を提供することを定めています。遠方のご家族にとっては「ちゃんとお墓参りしてくれたんだな」と確認できる大切な証拠になります。同時に、事業者が勝手に写真を広告などに使わないことも約束しており、プライバシーへの配慮も示しています。もし写真を宣伝に使いたい場合は事前に許可を取る必要があるという、バランスの取れた内容です。
第13条(契約の解除)
お客様が規約に違反した場合、事業者は即座に契約を解除できるという条文です。たとえば担当者への暴言が続いたり、嘘の情報で何度もトラブルを起こしたりする悪質なケースでは、もうサービスを提供しませんと伝えることができます。その場合、既に受け取った料金も返さなくていいとしており、事業者が泣き寝入りしなくて済む仕組みです。
第14条(規約の変更)
時代の変化やサービス内容の進化に合わせて、規約を更新できることを定めています。変更内容はウェブサイトに掲載した時点で有効になり、その後もサービスを使い続けた人は新しいルールに同意したとみなされます。いちいち全員に個別連絡しなくても規約を改定できるので、事業者にとって非常に実用的です。
第15条(準拠法及び管轄裁判所)
万が一裁判になった場合、日本の法律に従って、特定の裁判所で争うことを決めておく条文です。事業者の本社がある地域の裁判所を指定しておけば、遠方の裁判所まで出向く手間とコストを避けられます。トラブルを想定した備えとして、契約書には必ず入れておきたい内容です。
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