【1】書式概要
隣接する土地所有者同士で境界線を明確にする際に必要となる境界確定契約書のテンプレートです。2020年施行の改正民法に完全対応しており、隣地との土地境界に関するトラブルを未然に防ぐための重要な法的文書として活用できます。
この契約書は、土地売買や相続、建築工事の前に境界を確定する必要がある場面で特に効果を発揮します。境界線の位置を図面で特定し、境界柵の設置に関する費用負担や所有権の取り決めまで詳細に記載できる構成になっているため、将来的な紛争リスクを大幅に軽減することが可能です。
契約書には物件目録、境界線の特定方法、境界柵の仕様と費用分担、将来の異議申し立て防止条項、紛争時の管轄裁判所指定など、実務上必要な条項がすべて網羅されています。不動産業者や土地所有者の方が、安心して境界確定の合意を形にできる実用的なテンプレートとなっています。
〔条文タイトル〕
第1条(定義)
第2条(甲乙間の土地の境界)
第3条(境界柵の設置)
第4条(将来の合意)
第5条(協議事項)
第6条(管轄合意)
【2】逐条解説
第1条(定義)
本条では、契約当事者が所有する土地を明確に特定しています。土地の所在地、地番、地目、地積といった不動産登記上の必要事項を物件目録として詳細に記載することで、境界確定の対象となる土地を特定します。この明確な定義により、後の紛争リスクを軽減します。
第2条(甲乙間の土地の境界)
境界線の具体的な位置を定める最も重要な条項です。別紙図面上の特定ポイント(甲点と乙点)を結んだ線を境界線として確定する旨を明記しています。図面と連動させることで、境界の位置を視覚的かつ法的に確定させ、将来の境界紛争を防止します。
第3条(境界柵の設置)
境界柵の具体的な仕様(高さ、長さ、品番、材質など)と設置方法を定めています。設置費用と所有権を各2分の1ずつ負担・共有することを明記し、民法上の共有関係を明確化しています。この条項により、境界が物理的にも明確になり、越境や境界侵害のトラブルを防ぎます。
第4条(将来の合意)
契約締結後、当事者が境界線について異議を申し立てないことを合意する条項です。この条項により、一度確定した境界を後から争うことを防止し、権利関係の安定性を確保します。改正民法下でも有効な紛争予防条項として機能します。
第5条(協議事項)
契約書に定めのない事項が発生した場合の対応方法を規定しています。当事者間の協議による解決を原則とすることで、予期せぬ問題が生じた際にも柔軟に対応できる仕組みを設けています。
第6条(管轄合意)
境界確定に関する紛争が発生した場合の裁判管轄を定めています。特定の地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所として合意することで、紛争解決の予測可能性を高め、法的安定性を確保しています。
この境界確定契約書は、改正民法に対応した形で各条項が構成されており、土地所有者間の権利関係を明確化し、将来の紛争を未然に防ぐための法的文書として完成度の高い内容となっています。