【1】書式概要
この〔改正民法対応版〕仲裁に関する合意書は、取引や契約から生じる可能性のある紛争を、裁判所での訴訟ではなく仲裁によって解決するための合意文書です。近年の民法改正に対応しており、最新の規定に準拠した内容となっています。
取引先との間で問題が発生した際に、時間と費用を抑えつつ専門的な判断を得られる仲裁手続きを選択するための重要な文書です。特に商取引や業務提携、継続的な取引関係にある企業間での使用に適しており、紛争発生前に予め合意しておくことで、将来的なトラブル解決の道筋を明確にします。
仲裁人の選定方法や仲裁地、準拠法などの重要事項をあらかじめ定めておくことで、紛争発生時の混乱を最小限に抑える効果があります。実務上は新規の取引開始時や重要な契約締結の際に、本合意書を別途交わしておくケースが増えています。
【2】条文タイトル
第1条(仲裁合意)
第2条(仲裁人)
第3条(仲裁地)
第4条(準拠法)
第5条(仲裁手続きの言語)
【3】逐条解説
第1条(仲裁合意)
この条項は仲裁合意の核心部分を定めています。当事者間で発生した紛争を仲裁で解決する意思を明確に示すものです。実務上は、どの範囲の紛争を仲裁の対象とするかが重要になります。例えば「本契約から生じるすべての紛争」とするか、「本契約の解釈または履行に関する紛争」と限定するかで、後の紛争解決の範囲が変わってきます。特に取引基本契約などの継続的契約関係では、広めの合意範囲を設定するケースが多いですね。
第2条(仲裁人)
仲裁人の選定方法を規定しています。一般的には日本商事仲裁協会などの機関に仲裁人選定を委ねるパターンが多いですが、当事者自身が選定する方式もあります。実際の事例では、技術的な専門知識が必要な紛争の場合、その分野に詳しい仲裁人を指名できる条項を入れることもあります。例えば「当事者の合意により選定された1名または3名の仲裁人」といった表現が用いられます。
第3条(仲裁地)
仲裁を行う場所を定める条項です。仲裁地は単なる物理的な場所ではなく、仲裁手続きに適用される手続法を決定する重要な要素です。国内取引であれば東京や大阪など主要都市を指定するケースが多いですが、国際取引では中立的な第三国を選ぶこともあります。例えば「仲裁地は東京とする」と明記することで、日本の仲裁法が適用される形になります。
第4条(準拠法)
紛争解決の際に適用される実体法を指定する条項です。通常は契約の準拠法と同じものを選択しますが、必ずしも一致させる必要はありません。例えば「本合意及び本合意に基づく仲裁手続きには日本法を適用する」といった形で明記します。国際取引では「国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)を除外する」といった条項を追加することもあります。
第5条(仲裁手続きの言語)
仲裁で使用する言語を定める条項です。国際取引では特に重要で、証拠や証言の翻訳コストにも関わってきます。例えば「仲裁手続きで使用する言語は日本語とする」と規定します。外資系企業との契約では「日本語及び英語」と複数言語を指定し、矛盾がある場合の優先言語も定めるケースが増えています。