【1】書式概要
この書式は、株式会社における代表取締役や取締役が自らの意思で役職を辞める際に必要となる「辞任届」の雛形です。2020年の改正民法に完全対応しており、会社法上の要件を満たした正式な書面として使用できます。
取締役が会社の役員を退任する際には、適切な手続きと書類作成が求められますが、この書式を活用することで、手続きの煩雑さを軽減し、スムーズな役員変更を実現できます。特に中小企業のオーナーや総務担当者、また新たに就任・退任する役員にとって便利なテンプレートとなっています。
辞任届は法務局への登記申請時にも添付書類として必要となることがあり、この書式を利用することで法務局からの補正指示を受けるリスクを減らせます。取締役会や株主総会での承認手続きの前段階において、役員本人の意思を明確にするための重要書類として、多くの企業の実務で活用されています。
【2】条文タイトル
第1条(代表取締役の地位)
第2条(取締役の辞任届)
【3】逐条解説
第1条(代表取締役の地位)
代表取締役は会社の代表機関として、対外的に会社を代表し、対内的には業務執行の中心的役割を担います。この条文では、代表取締役の基本的な地位と権限について規定されています。会社法上、代表取締役は株式会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有しますが、同時に善管注意義務や忠実義務も負っています。
例えば、中小企業のA社では創業者が代表取締役を務めていましたが、高齢となり後継者に事業を引き継ぐ際、この条文に基づいて権限移譲の手続きを適切に行いました。代表取締役の地位は単なる肩書きではなく、会社経営における重要な法的ポジションであり、その変更には厳格な手続きが求められるのです。
第2条(取締役の辞任届)
取締役が自らの意思で辞任する場合、会社に対して辞任の意思表示を行う必要があります。この条文では辞任届の提出方法や記載事項、効力発生時期などが規定されています。辞任は一方的な意思表示で足りるとされていますが、実務上は円滑な引継ぎのために一定の予告期間を設けることが望ましいとされています。
たとえば、B社では取締役の一人が健康上の理由で突然辞任を申し出た際、この条文に則った適切な辞任届の提出により、後任者の選定と業務引継ぎを計画的に進めることができました。また、辞任届には日付、宛先(会社名)、辞任者の氏名・押印が必要です。
特に押印については実印を用いることで本人の真正な意思であることを担保する役割を果たします。なお、辞任の効力は原則として会社に到達した時点で発生しますが、実務上は取締役会の承認や後任者の選任といったプロセスと連動させることが一般的です。