【1】書式概要
この契約書は、企業や団体が所有するパソコン、サーバー、スマートフォンなどのIT機器を安全に廃棄する際に必要となる重要な書式です。現代のビジネス環境において、機器の更新や事業所の移転、会社の統廃合などの際に、古いIT機器を適切に処理することは避けて通れない課題となっています。
特に個人情報保護法や企業のコンプライアンス要求が厳しくなる中、単純に機器を廃棄するだけでは不十分で、内部に保存されたデータを確実に消去し、第三者による復元を完全に不可能にする必要があります。この契約書は、そうした専門的な作業を外部の業者に委託する際の条件や責任範囲を明確に定めたものです。
改正民法に対応した最新の内容となっており、契約期間、委託料の支払い方法、業務の具体的な実施方法、秘密保持義務、個人情報の取扱い、瑕疵担保責任など、トラブルを未然に防ぐための重要な項目が網羅されています。Word形式で編集可能なため、自社の状況に応じて条文の内容を調整したり、具体的な金額や期間を入力したりすることができます。
IT機器のリプレースを検討している企業、オフィス移転を予定している事業所、機密情報を扱う医療機関や金融機関、個人情報を大量に保有する教育機関や自治体など、様々な場面でご活用いただけます。専門的な知識がなくても、この書式を使用することで適切な委託契約を締結することが可能です。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(用語の定義) 第3条(委託業務) 第4条(契約期間) 第5条(委託料及び支払方法) 第6条(業務の実施) 第7条(作業場所) 第8条(機器の引渡し) 第9条(再委託の禁止) 第10条(秘密保持) 第11条(個人情報の取扱い) 第12条(報告義務) 第13条(納品物及び検収) 第14条(瑕疵担保責任) 第15条(権利義務の譲渡禁止) 第16条(損害賠償) 第17条(免責) 第18条(解除) 第19条(反社会的勢力の排除) 第20条(存続条項) 第21条(協議事項) 第22条(管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文は契約全体の根幹を成す重要な規定です。単純に「機器を処分する」というだけでなく、「適切かつ安全に」という文言を入れることで、業者側に高い水準での作業を求めていることが分かります。例えば、ハードディスクをハンマーで物理的に破壊するだけでなく、専用ソフトウェアによる完全消去も併用するような、より確実な方法を期待していることを示します。
第2条(用語の定義)
契約書において最も重要な条文の一つです。「PC等機器」の定義を幅広く設定することで、将来的に新しい機器が登場した場合でも対応できるよう配慮されています。また「復元不可能な方法」という表現により、単純なファイル削除やフォーマットでは不十分であることを明確にしています。実際のビジネス現場では、この定義の範囲によって作業料金が大きく変わることもあります。
第3条(委託業務)
業務の基本的な枠組みを定めた条文です。別紙「業務仕様書」への言及により、具体的な作業内容は柔軟に設定できる仕組みになっています。進捗報告の義務付けにより、委託者側も作業の進行状況を把握できるため、例えば大量の機器を処理する場合でも安心して任せることができます。
第4条(契約期間)
自動更新条項を含む実用的な設定です。多くの企業では機器の更新サイクルが定期的にあるため、毎回契約を結び直す手間を省けるメリットがあります。1ヶ月前の通知により、どちらの当事者も十分な準備期間を確保できます。
第5条(委託料及び支払方法)
支払条件を明確に定めることで、後日のトラブルを防止します。振込手数料の負担者を明記することで、細かな費用負担についても曖昧さを排除しています。業務範囲変更時の料金調整条項により、追加作業が発生した場合の対応も可能です。
第6条(業務の実施)
業者の基本的な義務を定めた条文です。「関連法令の遵守」により、廃棄物処理法や個人情報保護法などの遵守を求めています。資格や許認可の保有義務により、適切な業者選定の基準も示されています。
第7条(作業場所)
セキュリティ管理の重要性を強調した条文です。データ消去作業は機密性の高い作業であるため、作業場所のセキュリティレベルが委託者にとって重要な判断材料となります。例えば、監視カメラの設置や入退室管理システムの導入などが期待されます。
第8条(機器の引渡し)
機器の受け渡し時のトラブル防止を目的とした条文です。立会いと受領書の作成により、後日「機器が足りない」「傷が付いていた」といった問題を防げます。大企業では数百台の機器を一度に処理することもあるため、この手続きは特に重要です。
第9条(再委託の禁止)
情報セキュリティの観点から設けられた重要な条文です。委託者が信頼して選んだ業者以外に作業を任せることを制限し、責任の所在を明確にしています。万が一再委託が必要な場合でも、元の業者が全責任を負う仕組みになっています。
第10条(秘密保持)
データ消去業務では、作業過程で機密情報に触れる可能性があるため、厳格な秘密保持義務を課しています。5年間という長期の義務継続期間により、契約終了後も安心できる仕組みです。従業員への義務付けにより、実際の作業者レベルでも徹底されます。
第11条(個人情報の取扱い)
個人情報保護法の厳格な適用を求める条文です。医療機関や教育機関など、大量の個人情報を扱う組織では特に重要な条項となります。漏洩防止のための技術的・組織的措置の実施により、高いセキュリティレベルが確保されます。
第12条(報告義務)
委託者の安心感を高めるための条文です。作業の透明性を確保し、問題が発生した際の迅速な対応を可能にします。例えば、予定よりも作業が遅れている場合や、特殊な処理が必要な機器が発見された場合などに威力を発揮します。
第13条(納品物及び検収)
作業完了の証明と品質確認のための条文です。データ消去証明書は、監査や内部統制の観点から重要な書類となります。検収期間を設けることで、委託者側も十分な確認時間を確保できます。
第14条(瑕疵担保責任)
作業品質の保証を定めた条文です。データ消去が不完全だった場合などに備えた重要な規定です。期間制限により業者側の負担も合理的な範囲に収められていますが、故意・重過失については期間制限がない点で厳格さも保たれています。
第15条(権利義務の譲渡禁止)
契約の安定性を確保するための条文です。委託者が信頼できる業者を選んで契約したのに、勝手に別の業者に権利が移転することを防ぎます。M&Aや事業譲渡が頻繁な現代では重要な条項です。
第16条(損害賠償)
責任関係を明確にした条文です。第三者への損害についても業者が責任を負う仕組みにより、委託者のリスクを最小限に抑えています。例えば、作業ミスにより近隣に迷惑をかけた場合でも、委託者は巻き込まれません。
第17条(免責)
不可抗力による履行不能の場合の取扱いを定めた条文です。天災などの予見できない事態に対する合理的な規定であり、双方の負担を軽減します。近年の自然災害の多発を考慮すると、現実的な条項といえるでしょう。
第18条(解除)
契約関係を終了させるための条文です。段階的な解除手続きにより、可能な限り契約の継続を図りつつ、重大な違反には迅速に対応できる仕組みになっています。経営破綻などの客観的事由についても網羅されています。
第19条(反社会的勢力の排除)
コンプライアンス強化の観点から設けられた現代的な条文です。企業のリスク管理において必須の条項となっており、取引先の健全性を確保します。上場企業や公的機関との取引では特に重要視されます。
第20条(存続条項)
契約終了後も効力を継続させる条文を明確にした規定です。秘密保持義務や損害賠償責任など、契約終了後も重要な条項については引き続き有効であることを確認できます。
第21条(協議事項)
紛争の平和的解決を目指す条文です。契約書では予見できない事態が発生した場合の対応方法を定めており、当事者間の話し合いによる解決を優先します。実際のビジネスでは、この条項により多くの問題が円満に解決されています。
第22条(管轄裁判所)
最終的な紛争解決手段を定めた条文です。管轄裁判所を事前に決めることで、万が一の訴訟時の手続きを迅速化できます。専属的合意により、他の裁判所での提訴を防ぎ、紛争解決の効率化を図っています。
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