【1】書式概要
この利用規約テンプレートは、クリニックがオンライン診療サービスを提供する際に患者様との間で取り交わす契約条件を明確に定めるために作成されました。近年の医療DX推進とコロナ禍を契機としたオンライン診療の普及に伴い、適切な法的枠組みのもとでサービスを提供することが重要になっています。
本規約は医療機関と患者様の権利義務関係を明確にし、トラブルを未然に防ぐとともに、個人情報保護法や厚生労働省のガイドラインに準拠した内容となっています。診療の範囲や制限事項、免責事項、個人情報の取扱い、暴力団排除条項など、オンライン診療に必要な法的要素を網羅しています。
医療機関がオンライン診療を開始する際や、既存の規約を見直す場合に活用できます。特に初めてオンライン診療を導入する診療所やクリニックにとって、患者様との信頼関係を維持しながら法的リスクを最小化するための基礎となる文書です。改正民法に対応しているため、最新の法体系にも適合しています。
貴院の実情に合わせて、クリニック名や管轄裁判所などの情報を適宜修正してご利用ください。オンライン診療は対面診療の補完として位置づけられる性質上、その限界と責任範囲を明確にすることで、患者様の理解と適切な利用を促進する効果も期待できます。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(患者様による本サービスの利用)
第3条(診療)
第4条(免責)
第5条(規約の変更)
第6条(損害賠償)
第7条(患者様情報の取扱い)
第8条(暴力団等排除条項)
第9条(準拠法および管轄裁判所)
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文は規約の目的と適用範囲を定めています。オンライン診療サービスを適正かつ円滑に運営するために必要な事項を規定し、患者様と医療機関の関係性に適用されることを明確にしています。また、本規約と他の関連規定(ガイドラインやプライバシーポリシー等)との間に齟齬がある場合の優先順位も示しており、法的安定性を確保しています。
第2条(患者様による本サービスの利用)
患者様のサービス利用条件と義務を規定しています。患者様の同意の取得方法、自己責任原則、正確な情報提供義務、情報変更時の通知義務、個人情報の第三者提供への同意などを定めています。また、医療機関がサービス提供を拒否できる具体的な事由(対面診療の拒否、急性疾患等の不適切な状況、規約違反、虚偽情報提供など)を列挙し、医療機関側の権利も明確化しています。
第3条(診療)
オンライン診療の特性に関する重要事項を規定しています。初診対面原則の可能性、疾患によるサービス提供制限、通信品質による診療精度の限界、料金体系(自由診療の原則)、医薬品処方における医師の裁量権などを明記し、患者様の事前同意事項としています。特にオンライン診療の技術的限界について患者様の理解を得る条項が含まれています。
第4条(免責)
医療機関の免責事項を包括的に規定しています。患者情報の正確性・有用性の不保証、サービスの継続性・安定性に関する免責、損害賠償責任の範囲限定(故意・重過失以外の免責)、賠償上限額の設定、各種リスク(情報消失、サービス停止等)に対する免責、診療効果の不保証、配送遅延の免責などが含まれています。医療機関のリスク管理のための重要条項です。
第5条(規約の変更)
医療機関による一方的な規約変更権と、その発効時期(サイト表示時点)を定めています。オンラインサービスにおいて一般的な規約変更条項です。
第6条(損害賠償)
患者様の規約違反による損害賠償責任を規定しています。医療機関または第三者に与えた損害に対する賠償義務(弁護士費用含む)を明記し、患者様の責任範囲を明確化しています。
第7条(患者様情報の取扱い)
個人情報保護に関する条項です。医療機関の患者情報管理義務、セキュリティ対策義務、関連法規の遵守義務、利用目的の範囲内での適切な情報利用、従業員・委託先への監督義務などを規定しています。個人情報保護法や厚労省ガイドラインに準拠した内容となっています。
第8条(暴力団等排除条項)
反社会的勢力の排除を目的とする条項です。患者様による暴力団員等でないことの表明保証と、暴力的行為等を行わないことの確約を求めています。契約書において標準的な暴力団排除条項となっています。
第9条(準拠法および管轄裁判所)
紛争解決の枠組みを規定しています。日本法を準拠法とし、第一審の専属的合意管轄裁判所を特定の地方裁判所と定めることで、紛争発生時の法的安定性を確保しています。